しれっと飛ばされた葛藤
10000pvありがとうございます
これからも頑張っていきます
???
「だから、何も知りませんし、誰にも指示を出していませんって」
「それを証明できるかしら」
「無理です」
「ならあなたが主犯ということに」
「なんでそうなるんですか!」
これなんていうんだって?そうだ悪魔の証明だ。厳密には違うけどそれに近いものを感じる。悪魔の証明っていうのは要は不可能の証明だ。今回の場合は僕が爆発事件を起こしていないってことを証明しなければならないんだけどリンナ先輩たちは僕がしたってことに固執してるし話を聞いてくれそうにない。おまけに僕が誰かに指示を出したっていうけどそうなるとされた側の人間が当然入ることになる。でもその人は誰なんですかって聞いたら知らないって帰ってくるし。あ、これ悪魔の証明っていうより魔女裁判の方が近い気がする
「じゃあどうすればいいっていうんですか」
こういうのって大抵お金目当てだっけ?まあお金なら最悪先輩たちに泣きつけばなんとかなると思うし「ミライ・・・」ちゃんと後で返すからね?心配しなくても借りてそのままなんてしない。それをしてしまうと目の前の人たちと同レベルまで身を落とすことになるからね。それに僕ってなんだかんだ一人で戦ったことなんてないし一人でお金を稼ぐのってなかなか難しいんだよね。命を賭けた戦いというかモンスターの討伐にはいつも誰かと一緒にいたし実を言えば止めとかしたことないんだよね。命をかけなければ戦えるっていう状態になるので精一杯だった。
「それにしては最初に僕と戦った時とかちゃんと戦えていたけど」
「それは直前まで戦わないと死ぬって状況にいたからね」
あの森での生活はモンスターと戦うってことに慣れるのにはとても都合が良かったのかもしれない。それになんやかんやで角先や天衣が全部倒してくれていたし。それに僕はあのとき後方だったからね。後ろから『放電』をひたすら打ち続けるだけの作業だからあんまり罪悪感とか感じなかった。そして少し慣れ始めたら『電気鎧』を使って前線で戦うことにしたんだ。そこで実際にモンスターに殴るって経験を積むことができたし大分戦いになれることができた。葛藤がなかったと言えば嘘になる。けどもその時は生き残らなきゃという思いと仲間がいることでなんとかごまかして疑問を持つ前になれたって感じかな
「でも誰かを直接殺したことはないんだよね?」
「まあ・・・そうだね」
「そう」
なんだよその何か言いたそうな顔は。すごく不安になるんですけど
「ちょっと、あんたら何こそこそ話してるのよ。もしかして逃げる相談?」
「なんでそうなるんですか」
全部が全部悪い方向に向かって行っているんだけど悲しいなぁ。もう少し僕らを信じてくれよ「だから僕は関係ない」うるさいここまできたら一連托生だっつーの「ねえそれ死んでない?大丈夫?」そんな意味あったっけ?なんかこういう時に使われる言葉じゃなかったか?ま、話を戻すともとから信用値って0に近いから関係なかったね
「あの」
「なにかしら?」
「その現場っていうか森に案内してもらえますか?」
「それでどうするっていうのよ?もしかしてまだ燃やしたりないの?」
だめだ話聞かないタイプだよこの人。こういう時に僕が次にいう言葉って大抵嫌疑を晴らしたいの一択でしょうに。まあそれだけこの森が大切ってことなのかな。いいなぁその故郷を大切に思う感じ。そういえば今親とかどうしているのかなぁ・・・だめだこういうのって考え出したら止まらないから考えないようにしていたのに
「え?」
「僕が・・・僕たちが犯人を見つけますってことですよ」
「ふーん?」
「そうですね・・・三日!三日以内に何も手がかりを見つけることができなかったら僕が犯人だってことでいいですよ」
「そう・・・わかったわ。もし見つけられなかったら燃やした分の木々を回復させなさいよ」
まあそうなるよな・・ってペナルティーが弱すぎないか?そんなのでいいのかよ
「まあ子供にそんな酷なことさせられないからね」
そういうものなんですかね。よくわからないけどエルフの人たちって意外と優しいのかな。子供で良かったかなぁと思う。
「それで案内してもらえますか?」
「ええ、そうね」
「ちょっと待ちな」
「おじいさま?」
なんだよ。いい感じにまとまってきたのになに口出してくるんだよ。
「リンナちゃん。甘い。こいつらはもう罪人として取り扱ってもいいではないか」
「・・・そりゃ可能性は高いけどでも確定ってわけじゃないわ」
あれ?さっきと言っていることが全く逆なんだけど。さっきは僕たちが犯人だーって決めつけていたのに。なんだよこの変わりっぷりは。女って怖いな。これどっちが本心なんだ?
「とにかく。私がこの二人を案内するわ。だからおじいさまは引っ込んでて」
「しかし罪人とお前を一緒にいらせるわけにはいかない。せめて他に」
「私の魔法なら大丈夫よ・・・わかってるでしょ」
催眠魔法か。あれ僕にはまったく無意味なんですけど。それをわかっているはずなのにちょっとおかしいかな。
「まあそれはそうじゃが」
もしかしてまだ見せてない魔法とかがあるのかな?なんにせよありがたい
「それに魔法封じの手枷をはめてるでしょ・・・ああ、死んじゃうと困るから少し治療をお願いできる?彼壊死しそうなの」
「なら都合がいいが」
「死なれると復興ができないじゃない」
「うむむ・・・『回復』」
あ、なんか腕が大分楽になった。回復してくれたのかこのおじいさん。結構ひどい怪我だと思っていたけどそれをすんなり治してくれるんだなぁ。さすが亀の甲よりも年の功って言われるだけはあるな
「ひどい怪我だと思うなら自重してくれ」
「すみません・・・」
『電気鎧・第三形態』を早く使いこなせるようになりたいなぁ。ま、今はそれよりも自分にかけられた嫌疑を晴らさないとね。リンナ先輩についていくことにしよう
「まあもう日が暮れるし今日は森にはいかないわ。私の家で夕飯を食べましょ案内するわ」
「ありがとうございます」
リンナ先輩に連れられたエルフの里を歩く。あ、エルフの里って名前でいいのかな?
「まあそれでいいわ。特に名前なんてないもの」
そういうものなんですね。それでエルフの里をじっくり観察してみる。本当に田舎って感じかな。のどかだよ。あ、田んぼもある。意外と現代では見る機会がないんだよねー。特に都会だと。それでなにを育ててるのかな?まあ見た感じ稲か?お、向こうには野菜を育ててるのかな。採れたての野菜を食べるのってなんかわくわくするよね。食べたことないけど
「ここよ・・・私しかいないからゆっくりしてね」
それは不味くないですか?女一人の家に男二人を連れ込むなんてさすがに無用心がすぎると思うんだけど
「なにもしないって思われてるんじゃない?」
「じゃあクレアがその考えを壊してくれよ」
「なんで僕?・・ああ、ミライには」
「なんだその含みのある言い方」
そのわけ知り顔をやめろ気持ちが悪い
「あ、ミライ君そうなんだ」
そしてリンナ先輩もなに納得しているんですか。そう、って言われてもまったくわからないんですけど
「まあそのうちわかるわ。それよりもご飯を作るわ。そこでゆっくりしてなさい」
まあ・・・特にすることもないしのんびりするとしますか
「ああ、そういえば今日はね、水無月の最後の水曜日よあなたたち丸々二日くらい寝ていたわ疲れてたのね」
そうなんですか・・・馬車で二日ってそこまで距離ないのかな?馬車の早さがわからないからなんとも言えないけど・・えっと、10キロ?とすればどんなに飛ばしてもせいぜい300キロくらいか。うん遠いな。にしても寝てたのかー疲れが溜まっていたのかな?それよりも・・・
「また先輩たちに怒られる」
帰ったらお説教ですね。はい、辛い