勝利・・・?
そろそろストックが切れてきたので一日一話更新に戻ると思います(時間は10時)
水無月三週目日曜日
新技を使うのは構わないんだけどこれまだ未完成なんだよね。というか完成ってなに?状態だしもうわからん。先輩たちに聞いてみたけどそんな技知らないって言われたしもうどうしようもない。というか僕の使い魔法のほとんどがオリジナルって言われたんだけど。似たような魔法はもちろんあるけど言い方が違うって。いや言い方なんて人それぞれでしょうに。それでも『電気鎧・第二形態』は紛れもなくオリジナルだとさ。
前置きが長くなったけど僕の考えた魔法は何が完成なのかわからず、またどうすれば発動するのかもよくわからない。でも、その感覚ならわかっている。クレアとの戦いの最後らへんだ。やけに動くことができて早さも力も急激に高まり、また回復能力?も向上したのか一時的に痛みを忘れて動かせたし、ようはアドレナリン放出状態だと思っていた時のことだ。
あれが僕のスキルによって起こされたのだとしたら?そうクレアに言われたのは戦いの次の日。明らかに動きがおかしかったと言われた
「おかしいってどういうことだよ」
「なんかね、怪我している人の動きというのかな鎮痛剤を打たれてもあそこまではうごけないはずなんだけど」
そもそも鎮痛剤なんて打つ暇なんてなかったでしょうに。仮にあったとしても反則負けで終わりだよ。先輩の見ている前で堂々と反則なんてできないししたとしても絶対にバレる確信がある。
「じゃあどうしたっていうんだよ。電気マッサージでも行われてたっていうのか?」
「電気でもマッサージできるの?」
あ、電気マッサージは知らない感じか。僕も詳しくは知らないけど電気を当てることによってリンパの流れを良くするんだっけ?肩とか背中とかに電流を当てるとなんか気持ちいいって聞いたことがある。でもあれって確かに疲労回復するかもだけど怪我なんて治らないし動きが良くなるとは考えにくい。そもそも僕の場合電気を直に体に当ててるようなものだろうに。スキルのおかげか耐性がついているのか自分でダメージをおうことなんてないけどね
「マッサージできても効果は違うんだね。じゃああれじゃない?電気の力でなんか活性化!」
「丸投げはやめて」
何も考えてつかないからってからに。てか活性化って何?どこが活性化するっていうんだよ。あれか筋肉か筋肉を直接なのか?
「・・・待てよ」
中学校の理科で習ったような気がするぞ。確か反応と反射だったかな?人間は何かものを見た時や感じた時にその場所から脊椎、そして脳へと電気信号が送られるってやつ。もう2、3年も前の話だから忘れちゃったけど・・・電気信号?
そういえば体を動かすのも全て電気信号が脳内を駆け巡ることで動かすことができるんだっけ?詳しいことはわからないけどなんかそんなような気がする。
「そっか!そういうことか!」
「え?わかったの?」
なるほど、だから戦った後にやけに疲労が溜まっていたのもうなづける。体を動かすことができなかったのも全部反動だ。僕は自分で電気を操作して筋肉に流れる信号を動かすという動作に変えたんだ。ついでに痛みの信号を全部カットして。だから痛みが消えて怪我していた箇所を動かすことができ、また通常よりも早く動くことができ、強い力を出すこともできたんだ
これを使いこなせれば楠の『予知夢』を超えることができるかもしれない。それにさっきの催眠術。催眠術って結局眠たくなるように操作しているんだよね?さっきは電気を纏っていたからそこに少しのズレというか精神攻撃をしようにも妨害されてしまったとかそんな感じだろうな。
「『電気鎧』」
体の外側を電気で覆う。そしてここから、外にある電気を体の内側に送り込んでいく。まだ完成していないけど・・それでも勝つためにやるしかない
「『電気鎧・第三形態』」
「第三形態?そ、そんな魔法聞いてないよ」
そりゃこれが初めての使用だからね。さあ、始めようか。体の周りにはまだ少し電気が残っているけど・・・これ体の内側にもちゃんと電気が流れているのか?いやもちろん普段から電気信号が流れているのは知っていますよ
「くらえ!」
『電気鎧・第三形態』を発動した際に作られてしまった距離を詰めるように動く。あまり体感的には速度に変化がないか。つまりまた失敗ってことなのかな
「何が変わったの・・・?い、いやともかく『夢の世界へ』」
バチン、そんな音が頭の中で響いた気がする。でもよくわからない。わかったことは僕は今度こそ楠の催眠術を完全に弾くことができたということだ。
「?ど、どうして。どうして眠らないの?そして今度は突っ込んでくるうえ!?」
まずはお腹に一発。綺麗に決まったな。一撃必殺ばかりに頼っているからこうなるんだよ。相手が悪かったとしか言いようがないけど
「え、えと『予知夢』」
また未来予知か。でも僕の動きは早くなったんだ。その対応に追われるだろ・・・ん?そっか、勘違いしていたけど未来予測じゃなくて未来予知か。つまり早くなったとしても未来を見えているから関係ないってことじゃないか。やべーどうしよ。
「ぐえ・・・避けれない」
あ、当たった。なるほどね。楠の反応速度を超えたっていうことか。これなら勝てる。あとはひたすら殴り続けるだけだ。
相手の動きを見ては殴るのがいいのかけるのがいいのか判断していく。もうここら辺から一方的な試合になっていたと思う。楠の攻撃は僕に一つも効かないし『予知夢』を使ってカウンターをしようにも僕の動きについてくることができない。だんだんと楠の動きが小さくなってきた。疲れが溜まってきたのかな?
「はあ・・・ま、まってよ」
ナンカイッテイルケドカンケイナイネ。メノマエニイルナラタオサナイト
目の前にいる対象を殴ってける。それしか考えられない。えっと、今僕は何をしているんだっけ?とりあえず殴って蹴って倒せば問題ないんだけどね
「おいおい・・・あれさすがにやばいんじゃないか?」
「あれもう楠は意識ないじゃねぇか!紅は何考えてやがる」
「あ、ついに楠君が倒れた」
地面に倒れた楠を見る。倒すことができたのか・・・?あ、でもスコシウゴイタまだ倒れていたいってことだな
「そこまでです!そこまでですよ!ミライ・・・聞こえてない。セリア!」
「なんでこうなっちゃうのかね『時よ止まれ』」
あれ・・・体が動かない。僕はどうしちゃったんだろう。でもこの目の前の敵を倒さなきゃ・・・あ、増えた。増えたのなら仕方がない。こいつらも殴って蹴ろう。あ、体が動かないんだった
「ミライはどうしたんですか?」
「わかりません・・・ですが、これはまずいことになりましたね」
「え?」
「いろいろな国のお偉いさんが見ている中でのこの行動・・・何か言われなければいいのですが」
あれは・・・サリア先輩?なんでここに。あ、クレアもいる。そしてその横には。シェミン先輩もか
「・・・ミライくん・・・どうしちゃったの?」
「まさかまたスキルの暴走か?」
「それだといいのですが・・・」
なんかざわめいているんだけどみんなどうしたんだろう。そして、なんで動けないのかな。敵を倒せないじゃないか




