クレア戦中編
水無月2週目風曜日
突っ込んだ先は火の海でした。そんな歌あったっけ?なかったかもしれない。ま、いいや、それで。違っていたらすみませんってやつだ。こういうことってあるよね?まああんまり言いすぎるとどっかから怒られそうだからやめるけど
「抜けた!」
「え、突っ込んできたのか?」
想定外って顔をしているね。それなら都合がいい。初めて主導権を握れたよ。・・・この先どうするか全く考えていなかった。殴るか?殴ろう。近接戦闘を始めよう
「『火の玉』」
「距離をとるか」
「そりゃ近距離でミライに勝てるとは思っていないからね」
また距離を取られてしまう・・・『電気鎧』で足を強化して詰めてみるか。ここで一撃入れておかないときついよな。
「炎の壁」
「それ使われると動けないんだけど!」
目の前に炎が広がる。今は電気を足に集中させているからさっきみたいに突っ込んで突破という手段が取れそうにない。・・・これ『放電』で吹き飛ばせるかな・・・あ、無理だ。範囲が狭すぎて壁に穴を開けることができるけれどすぐに周りの炎によってふさがってしまう。少しの傷ならば自動で修復可能ってかなり万能だな。
「ふうーこれでまた振り出しだね」
「こっちはそれなりにダメージくらってっけどな」
壁が消えたと思ったらまた距離を取られてた。なんでわざわざ一度壁を消したんだろう。僕の位置なんてすぐにわかるはずなのに。・・・もしかしてわからないのか?いやそんなことないか
「『火剣乱舞』」
「『電気の領域』」
飛んでくる火の剣を吹き飛ばす。よし、今回の読み《・・》は勝てた?かな。
「『放電』」
「『火の領域』」
「ああ、もうその技うざい!」
「いや君もたった今つかっただろう」
聞こえない聞こえない。ほぼ全ての技を吹き飛ばすとかやっぱり反則だろうに。しかもどうやらこの使い方での『領域』は連続使用できないみたいだけど、普通に別の魔法は使えるみたいだ。ああ、ますます便利な魔法じゃないか。
「『火剣乱舞』」
「くっ・・・」
これはもうまた距離を取らざるを得ないな。あいかわらず距離をとる手段が豊富だよな。というか僕とクレアのそもそもの持ち手札の数が違っていないかな。あの遠距離攻撃を避ける方法が全くないんだけど。
「『放電』」
右の手の平から放出させるようにしてそのまま横になぎ払っていく。それで見える範囲の剣は全て落とした。あとは空いている左手で直接ねらう!
「そんな使い方もできるんだね」
「こっちの動きを見てから対応するんじゃねえよ」
電気に火の玉を合わされた。放出されている電気に当てられたことで軌道をずれされて外してしまう。お互いに相手の手札に対策できるものを持っているからそれの使い合いになるんだけど、そしてお互い鍛えられた魔法のコントロール能力と格上にも戦える発想力を持っているからずっと堂々めぐり状態だ。
まあ散々先輩たちと戦ってきたからねそれも二ヶ月。さすがにどんなに運動オンチでも少しぐらいは戦いのコツ的なものを覚えてくるところだからね?あれ、もっとかかるっけ?まあこれも異世界に転移したボーナス的なものかもしれないんだけど知識の吸収が早いんだよね。あとどうやらシェミン先輩の治療って経験値は筋肉に蓄積されるみたい・・・つまり普通に筋肉痛が治ったのと同様に筋肉はちゃんと強化されているらしい。だからこの二ヶ月間毎日毎日体を極限まで鍛え続けていたってわけだ。そんなサポートがあったならばしっかり強くなれるよね
「あの二人の性格もあったけどね〜」
「そうですね。あの二人が思考タイプだったこともあっていい感じに成長できましたよね」
「それだけじゃない。あいつらは目的があった。それが二人を強くしたんだろう」
なんか外野が言っているけどむしむし「いや先輩たちの言葉だよ?」今は勝負に集中しなきゃいけないだろうが「まあそれもそうか」
なんで先輩たちが解説係になっているんですかねー。
「『放電』・・・あーもうあたらねぇ!」
「そりゃ当たったら距離詰められるもんね!」
さっきから同じことの繰り返し、でもお互いにわかっている。これはお互いに打つ手がないから同じことを繰り返しているのだと・・・だから、先に攻撃の手を考えついたほうが動く。
「『火剣乱舞』」
「!『電気の領域』」
一瞬でも気を抜けない。抜いてしまえばすぐに攻撃の対処が遅れてしまう。それはまずい。でも今弾いたので
「『放電』」
ここは同じことを繰り返そう。何も考えつかなかった。そしてここでクレアは『領域』で弾いてくるはず
「『火の玉』」
「な!弾かないだと」
「『火の領域』」
そしてここで『領域』展開。まずいな。出だしが遅れたから辺り一面火の海だ。これはまずい。そこにいるだけで熱気が。すぐに『電気鎧』で口を覆わなかったら肺が焼かれてしまったかもしれない。
「『炎の壁』!」
「しまった!」
四方を壁で囲まれてしまった。まずい。逃げ場がない
「『火剣烈火乱舞』」
どこからくる。上か?それとも壁を突き破って飛んでくる。こうなってしまったら無理やり『電気の領域』で感知を行うしかない。
「ふぃー・・・」
「遅い!」
「くっ」
全ての壁と上空から剣が向かってくる。まじかよ。これさすがに避けきれない『簡易版・領域』。ちょっときついけど一瞬のうちに飛んでくる火の剣の位置を把握。致命傷になりそうなのは・・・三つ!上と右と後ろか!
「『放電』」
まずは右の剣を飛ばす。『領域』はさっき使ったから間に合わない。次は後ろ。幸い剣は直線で動いているから攻撃は当たってしまうけれども致命傷を避けることはできる。あとは上の
「ぐわぁ」
左肩に入った。少しずれたおかげで心臓からは外れたけど、それでも大分深く入ったな。腕は動かせるかな・・・かなり痛む。これはもう動かすのは難しそうだな。大分血も出ているし・・・剣が火そのものであるのは少し救いだったな。おかげで傷跡がすぐに焼けてふさがった。これで戦闘が続行できる
「その腕だともう無理でしょ。諦めなよ」
「嫌だね。まだ右手が動く・・・だから問題ないんだよ『電気の領域』!」
突き刺さっている剣を吹き飛ばす。さっきも言ったけど火だから直接触るのは避けたい。それに大きいのは左肩だけど他にも数カ所切られているみたいだからね・・・これで長期戦は不利になったな。でも短期決戦にしようにも近づくことが難しいし。なによりお互いの『感知』能力が高すぎる。僕だけが感知できてクレアは見失うとかそんな手段ないのかな
「ならこれで終わらせる『火の壁』」
また四方を囲まれる・・次の一手が来る前に無理やり突っ込んで超える。でもここで素直に横にとんでもすぐにバレるから後ろに・・・いやそれも読まれるのか?『感知』でクレアの場所はわかる。右に回りこんでいるのか。なら、ちょうど反対の位置に逃げる。
「『火剣烈火乱舞』」
再び剣を作り出し、壁の中に飛ばしていく。え?僕そこにはもういないんだけど・・・あ!わかった。僕だけが感知可能な手段。これは・・・光が見えたかもしれない。あと必要なのはどうやって一撃でクレアを倒すかだな。これは一度しか使えないというか、僕が気がついていないと思い込んでいる今しか使えないというか。とにかくフィニッシュまでの動きを考えないと。
まさかの3話に渡るとは・・・(つまりおおよそ一万字)さすがはライバル
決着は次回です




