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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第0章 森からの脱出
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初めての仕事がハードすぎるんだが

 

 角先の元にたどり着いて、そこで見たものは・・・


「川?」

「そう、川だ。運良くたどり着くことができた」


 確かにここで川に出ることができたのはかなり良かったな。そろそろ歩き疲れてきた頃だし。あ、時間なんだけど、アポロαがあれ以降ずっと高度を下げていったのでおそらく13時だったんだろうってことで落ち着いたよ。それであれから体感時間で2時間近く歩いてた気がするので今はもう15時か。2時間も森の中を歩きっぱなしだったから喉がカラカラだよ。そういう意味でも水源にたどり着くことができたのは良かったな。


 さて、問題となるのはこの水が飲めるのかっていうことだな。一応自然の中の水ってことだからそれなりに清らかなんだろうけど・・・それでもここは地球じゃないしな。もしかしたら未知の物質が混ざっていたとしてもおかしくない。でも水が飲みたい。さてさて、どうするか。


「これ・・・飲めるのかな?」

「さあ・・・でも正直緊急事態だし、飲めるにかけるしかないよ」

「それもそうかな」


 もうそれしかないよね。というわけでこの水は飲めるに自分の腹を賭ける。うん、だって万一飲めなかったら腹が下るもんね。最悪命を落とすことになるかもだけどそこはもう今更だよな。


 さて、飲んでみよう。味は・・・うん、美味しい。地球で普段当たり前のように飲んでいた水とあまり変わりないな。あ、でも少し金属、鉄かな?そんな感じの味がするな。ということは水の中に含まれる金属の量がそれなりに高いのかな?ということは硬水か。そうなったら栄養の面も少し改善されたかな。量はかなり意識しなければならないけどーああ、もともと硬水はヨーロッパをはじめとする外国の水で日本の水は金属が少ない軟水という水で、日本人は硬水に慣れていないから飲みすぎると腹を下しやすい。だが、逆にマグネシウムやカリウムを手軽に手に入れられることができるからダイエット中などに飲まれることもあるらしい。というわけで、栄養面は最低限保障された、もちろんまだ足りないが、それでもなんとかなるだろうという希望が見え始めたかな。とは言ってもこれは素人的な考えだ。きちんと安全な飲み水を確保しなければならないという根本的な問題はまだ残っている。どうしようかな。水をひたすら電気分解してみようかな


「それだと水素と酸素の気体・・しか発生しないからな」


 うーん。そうなんだよね。そんな気体を集めたところで飲み水には戻せそうにないしな。・・・おや、五月雨さんがこっちに歩いてきたな。どうしたんだろ


「ねえ、角先くんちょっといいかしら」

「ん、どうした?五月雨さん」


 なにか思いついたみたのかな。それでリーダーっぽいポジションにいる角先に話しかけにきたと。確かにこいついつの間にかこの集団のリーダーっぽい感じになっていたしな。


「思いついたんだけど・・・」


 なになに・・・っておい。ふ、二人してヒソヒソ話さなくてもいいじゃないか。僕も入れてくれよ仲間はずれにしないでくれ。・・・わかってますよ。三人よりも二人の方が意見を言いやすいってね。とは言えこれから強制的とはいえ一緒に生活していくことになるんだからそこまで邪険にしなくてもいいじゃん。・・・あ、あれかな。思いついてみたはいいけど自信がなくて、とりあえず角先リーダーにだけ話ににったと。それなら納得できるな。


「うん、それなら大丈夫そうだな。おーい!みんなちょっとここに集まってくれ」


 あ、まとまったみたいだ。


「おう、どうした?」

「みんなのこれからの役割を言おうと思ってさ。とりあえず今必要なのは食料と飲み水だ。それを解決するためにみんなに指示を出す」


 角先がリーダーっぽい。こいつ本当に性格変わったな。こんなにみんなの前で堂々と発言できるタイプだったかな。


「まずは天衣」

「おう、なんだ?」

「細かい作業になるが頑張ってくれ」

「は?」


 天衣に告げられた役割は器作り。そこらへんに山ほど生えている木をくりぬいて器を作る。そこに水を貯めたり食事の皿変わりにしようというのだ。


「とりあえず人数分は欲しいから10個ほどお願いね」

「いや、いきなり言われても難しいんだけど?そんな細かい作業できるか。俺ができるのって風を起こすくらいだぞ」

「まあそこは気合で」

「気合でなんとかなるレベルじゃねえぞ」


 まあまだ力を使いこなせるかも怪しいのにそんな細かい作業は普通無理だよな。でもこれをしていかなきゃ厳しいから、天衣、頑張れ。


「紅、お前も人を心配できるほど余裕ないぞ」

「え?僕はなにをすればいいんだ?」

「火を起こしてくれ」


 は?


「火?僕のスキルは電気なんだけど?」

「わかってるって。でもさ、ほらテレビとかでよくあったじゃん落雷が起きた後に火災が発生したとか。雷という高エネルギーをぶつけることで発熱させるとか」


 思わず絶句してしまう。いやあのね。わかりますよ。火が必要なのは。この状況において火があれば貯めた水を煮沸させることができる。一回煮沸することができればほとんどの微生物とかを死滅させることができ直に飲むのに比べかなり安全に水を得ることができる。だから火を起こす必要があるのはわかる。だが、ここには火を起こすための道具がなにもない。だからこそ僕に白羽の矢がたったんだろう。角先のいうように落雷からの火災はよくあることだ。それにコンセントなどの取り扱いに気をつけていないとそこから火災が発生して大火事になるなんてニュースもよく聞く。だからこそ、この中で火を起こすことができるのは僕だけだ。だから僕に火を起こす役割が与えられたんだ。理屈はわかる、わかるんだけどさ


「さすがに無理だよ。そんなすぐに高火力の電気なんて発生できるかっての」

「えっと、天衣くんにも言えるんだけど。君たち二人には相当無理をさせているという自覚があるわ。まだろくに力を使うことができないのにかなり繊細なこと要求してる。でもお願い。私たちが生き残るために必要なの」

「「・・・」」


 天衣と顔を見合わせる。多分思っていることが同じだから、きっと同じことを言うだろう。


「「わかったよ。とりあえずやってみる((だって五月雨さんにそこまで言われたらやるしかないだろ))」」


 うん、心の声までが完全に一致したな。角先には全部読まれたっぽいけど、気にしない気にしない。


「それで、あとのみんなの役割なんだけど、さっき見たときにこの川には魚が生息していた。だからまずは麺山と米柔がそれぞれ土の壁を作って川の一部を隔離してくれ。よくわからないけどそれくらいできそうか?無理なら別の計画を立てるからすぐに教えてくれ。さて、できたあとのことを話すぞ。麺山と俺が川に入って魚を捕まえる。五月雨さんたち女子と米柔はこのあたりの探索と木の枝を集めてくれ・・・みんなこれでいいか?」


「「「「「「「うん/はい/おう/ええ」」」」」」」


 うなづいたところで、行動開始。さあ、異世界生活一日目。これからの生活に大きく影響するだろうからできる限り失敗のないようにしたい。できればある程度の生活の基盤を作っておきたい。よし、頑張ろう。


 ・・・・・・・・・・・・火起こせるかな?それに見逃していたけどなんで僕(と天衣)は成功することが前提なんだよ。ちょっと理不尽を感じながらも僕は火を起こすべく、強い電気を生み出そうとした。

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