だから強キャラの出現率が高すぎるって
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皐月4週目日曜日
僕は目の前の現実を直視できずにいた。なんでシェミン先輩が捕まっているんだろう。それにその原因って僕のせい?僕がギルドにいなくて外に出ていたからこんなことになってしまっているのか。
「それは言いがかりです。あなたたちの出迎えにギルド員が全員いる必要はありません。それにそもそもここに来ると言ったのはあなたたちではないですか?」
「しらん。・・・この女が陛下に無礼を働いたのは事実。だから連れていく」
「無礼って・・・あれを無礼だなんてなにを言っているんですか」
サリア先輩が必死に食い下がっている。二人の関係性がよくわからないけど普段のあの二人を見る限り中は決して悪くないんだよな。副会長として学生を守らなきゃってのもあるのだろうけどやっぱり一番は友人だからだろうな
「ムグムグ・・・ぷはぁ」
いい加減その手を離してくれよ。・・・確かにあそこに僕が出向いてもなにも事態が好転しそうにないな。むしろ余計なことを言って悪くさえしそうだ。
でも、それでもまだ出会って1ヶ月そこらとはいえ、お世話になった先輩のピンチならば助けたいと思うのが僕の正直な気持ちだ。そのために少しぐらい我慢したってもいい。
「わかってる・・・だから、そろそろ行くよ。準備して」
了解。ならばすることは一つ。そのタイミングを見逃さないことだ。
シェミン先輩はまったく動こうとしない。どうしてだろう、眠らされたりしているのだろうか。そしてまだサリア先輩が食い下がってる。でも王様とかはけんもほろろ、まったく聞き入れる素振りがない。
「あなたたちは何のために視察に来たんですか!シェミンを捉えるのが目的ではないでしょう」
「確かにそうだ。だが、それはこいつがなにもしなかった場合だ」
「その無礼行為事態が言いがかりでしょうが」
「なにを言っておるのだ・・・いかに副会長とはいえ、陛下へのその発言はいかがなものかと」
むかつく。なにが起きたのかは正確なところはわからないけども、あの王様に嫌悪感しか感じないんだけど・・でも今あの二人の意識はサリア先輩に向かっている
「よし、ミライ・・・行こう」
「りょうかい!」
クレアの合図に合わせて突っ込む。とりあえずシェミン先輩を取り返すだけでいい。抱えているあの騎士が面倒くさそうだけど二人で力を合わせれば問題ないよね
「!二人とも・・・ここから離れなさい」
「嫌です」「サリア先輩の言葉でもそれは聞けません」
心配してくれているのはわかっているけどもそれでも決めたから
「なんだね君たちは・・・邪魔するのなら君たちも一緒に連れていくぞ」
「なんでシェミン先輩を連れていくんだ」
「それを君たちに話す義理はない」
あれ、サリア先輩の時と答えが違う・・・なるほど、関係ない人間は知るかってことだな
「なぜだ!僕はここのギルドの人間だ。どうしてシェミン先輩を」
「!なるほど・・・これはちょうどいい」
それを聞いてなぜか王様はニヤリと笑った。僕がシェミン先輩と同じギルドだからってなんの関係があるのだというんだ。
「おい、ジグ。予定変更だ。こいつを殺れ」
そう言って指差してきたのは、シェミン先輩ではなく、僕
「!・・・まって・・・手を・・・出さないて」
初めて口を開いた。よかった意識はちゃんとあるみたいだ。
「大丈夫ですよ」
「僕たちにまかしてください」
なにも心配しないで・・・ってあれ、クレア、なんで僕たち?
「僕もやるよ」
「え?でも・・」
「僕も少しムカついてるからね・・・だから協力するよ」
有無を言わせぬ口調。事実ありがたいことだし遠慮なく助けてもらうことにするか。それで、どうやって取り合えすか・・・まあ一番の安全策はここで最後にサリア先輩が取り戻すってのかな。結局僕らが陽動っていうね。
「お前たちに恨みはないが・・・雇い主の意向だ。お前たちを・・・殺す」
えっと、ジクさんだっけ。みためかrして普通の騎士とは違うな。なんで漆黒の鎧なんて着ているんだろう。ポリシーかな。暑くないのかな。まだ季節的に問題ないけど夏とかあれ絶対にムレるよね。黒なんて特に光を吸収しやすいんだから余計に熱を吸収してしまうよね。暑くて倒れるとかないのかな
さらに言えばフルフェイス。だから顔はわからない。声の感じからして男性ということはわかるけど、何才ぐらいかはわからない。ま、そんなこと言ったら全く関係ない話だけどね。
持っている武器は・・・なにもなし、か。素手で戦うなんてありえないけどまあ刃物とかを持っていない分少しは気が楽になったかな。相手の魔法を警戒すればいいし少しくらいなら防御することが可能だから。
「さてと・・だが、さすがにこんなガキをいたぶるのも気がひける。一応聞くが降参しないか」
「誰が」
「降参するか、よ」
返事代わりにそれぞれの魔法を放つ。牽制と陽動目的だ。口に出さなくても魔法は発動する。まあその代わりに威力が格段に落ちるから牽制くらいにしか使えないんだけどね
「ま、だろうな。それに貴様らから攻撃してくれて助かった」
どこまで舐めてんだこいつ。そりゃ子供かもしれないけどさ・・・ってまじかよ。あいつ避けるどころか防御の姿勢すら取ろうとしなかったぞ。
「なんで避けないんだ・・・」
「気にするな!攻撃が当たったんなら畳み掛けるよ」
クレアの言葉にハッとする。そうだ。別に正々堂々戦って勝ちたいわけではない。目的を見失わないようにしなきゃ。攻撃の衝撃で土煙が上がってなにも見えないけど動いたらさすがに音がするし・・・
「『火の領域』・・・うん、あいつは動いてないよ。ミライ!」
「わかった!」
動いていないのなら丁度いい。僕の持っている魔法の中で最大の魔法を・・・
「あ、『領域』発動してない」
「なにやってんの?」
しまったああああ。痛恨のミス。こうしている間にも距離が縮まってしまった。『領域』を展開する余裕なんてない。仕方がない。ここは僕が陽動だと割り切って・・・
「クレア!本命は任せた『電気鎧』」
いつもなら体全体に電気を張り巡らせるところだけど、これを一点に集中したらどうなるんろう。『電気鎧・第2形態』の時は事実上拳だけに集中してるし・・・でも今はそんな不確定なことに意識を割くべきではないな。
拳を握り、振りかぶり、相手のいるであろう場所へと振り抜く。狙うはもちろん兜の隙間、目があるところだ。え?腹とかを殴らないのかって?いやいやたとえ卑怯だとしても急所を狙うのが当たり前でしょ。律儀に防御の堅そうな腹を殴るってどんな主人公だよ
「ふむ、なかなかな技能だな・・・だが惜しい、その体全体にある電気全てをこの拳に集めることができていれば突き破れたかもしれぬものを」
だが、僕の拳は届くことがなかった。到達する直前のジクの手に掴まれてしまっていた。
「くそっ」
「甘いな。貴様らの技能で俺の鎧が傷ついたとでも?」
確かに傷一つ付いているようにはみれない。でもあれは威力の低い魔法だから。
「はあ、そして観察力も足りぬ。俺の拳から逃げることに意識を向けすぎたな」
「なにをいって・・・!」
「遅い」
手を離されたと思ったらそこから蹴りが飛んできた。受け身を取ることもできずにそのまま吹き飛ばされてしまう。
「『火剣烈火乱b』・・・」
「なるほど、本命だからかなかなかの威力でも早まったな。こいつを蹴られたことに動揺して発動の力が少し足りてない」
クレアの魔法は威力が凄まじい。その分タメが必要だから僕が時間を稼いだっていうのに・・・
「『深淵の闇』」
そしてクレアの魔法は謎の闇に吸収されてしまう。さっきもそうだ。僕の拳の電気が、体に張っていた電気が全てあいつの手に吸収されていった
「闇属性・・・!お前、何者だ」
「貴様らに名乗る名などない」
いや、ジクって名乗ってんじゃん。そんな話ではないんだろうけどね。でもクレアの驚きようからいって『闇』のスキルって珍しいのか。いや『光』があるんだしそんな・・・あ、もしかして魔族にそういうスキル持ちが多かったとか。ま、なんにせよありがたい。時間を稼いでくれて
「さて、貴様らもわかっただろ・・・む」
「『電気鎧・第2形態』」
お前が言ったように拳だけに集中してやったぞ。ついでに『領域』も発動したから電気だけじゃない。砂鉄もおまけでひっついているぞ。
「はあ、一発目で諦めたらいいものを」
「それは、嫌だね」
諦めたらなんとやら・・・とまでは思わないけれどなんか手加減してくれてるしまだ大丈夫でしょ。殺すっていった割には殺しに来てないからね
「これなら・・・どうだ!」
今度はちゃんと腹に向けて殴る。うん、よくよく思えばこいつ背が高すぎて目の位置まで届かなかったわ




