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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第0章 森からの脱出
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男女間のこの差はなんなんだろう

 

「『精霊』スキル・・・」


 またまたとんでもないスキルきたな・・・。というか男子と女子で差がありすぎないか。こっちはなんか基本魔法みたいなのばっかりなのに女子は『空間』『精霊』って。『空間』はまだチートか否か議論する余地があるけれども、『精霊』スキルはどんなときだってそれなりにあたりスキルじゃないですか。精霊を見ることができるのかな。いいないいな。イフリートとか会いたいな。精霊ってどんな姿をしているのかな。やっぱり小説とかによくあるように美少女の姿をしているのかな。それとも大人のお姉さん的な。


「えっと?」

「あ、え。ごめん。ちょっと驚いて」

「驚いたもなにもないよ。すごいよ茜ちゃん。『精霊』だよ。当たりすきるじゃん。かわいい精霊たちといっぱい出会えるじゃん」

「あ、ははは」


 おいおい、五月雨さんどんびいているじゃないか。さすがに異世界系の知識のない人からしたらどんなスキルがすごいのかなんてわかるわけないもんね。テンションが上がってしまうのもわからなくはないけども少しは自重しなきゃ。


「すごい、すごいよ。もしかして女子はみんな当たり引いてるとかそんなことあるのかな。聖奈ちゃんはどう?」


 いや、その言い方はダメだろ。これで僕と同じ『電気』とかを手に入れていたとしたら悲惨だぞ。さっきから聞いてみれば山胡桃さん結構空気読まない人なのかな。それともこの特殊な状況がそんな性格にしているのかな。


「わ、私?私は・・・『聖』ってスキルなんですけど」

「「「え?」」」「うん?」「「こ、これは」」


 固まったのが僕と天衣と山胡桃さん。『聖』ってよくある聖なる光とかの聖だよな。あ、聖奈さんの聖か。なるほど。うまいな。でもそうだとしても、『聖』だけってのは少し引っかかるな。普通なら『聖女』とか『聖魔法』とかみたいな感じで手に入れることが多いんだけどな。ちょっと疑問に感じているのが角先で、なぜか食い気味な反応を示したのが残りの男子二人。


「『生』ってことは回復系なのか?」

「え?そうなの?清らかな感じがしますけど」

「清らか?」

「うん、聖人とかの聖ですよ」

「あ・・・すまない生きるって意味の生と勘違いしてた」


 なるほどね・・・というか『生』ってどんなスキルだよ。聞いたこともないんだけど。あ、『帯電』も似たようなもんか。


 あーなるほどなるほどね。食い気味のお二人さん。『性』と勘違いしたわけね。いやあさすがは思春期真っ只中の男子高校生そっち方面への興味はそりゃ高いよね。でもさ、さすがにこの状況でなにを想像したってのさ。ほら山胡桃さんからとんでもない冷たさのともった目で見られてるよ。デリカシーのないのはお互い様だけどね


「それはお前も同じだっての」


 角先にまで言われちゃったよー。


「いや俺までって・・・まあ今はいいや。とりあえずこれで全員のスキルを聞いたな。それで、みんな一つずつなのか?2個以上手に入れたやつっていないの?」


 角先の言葉にみんな首を振る。どうやらみんな持っているスキルは一つだけのようだ。これは少し妙な話だな。スキルが一つしかないということなら特に珍しくもなんともないのだが、これが8人全員もいるってのは少し奇妙だ。おまけに女子たちは『空間』『精霊』『聖』となかなかレアなスキルたちをもらっている。これは作為的なものを感じる。つまり、この世界ではスキルは2個も3個も手に入れることのできるものではないんだろう。最初に与えられたスキルだけで生きていかなければならない。その可能性が非常に高い。


「となると角先はかなりきつい生活になるか・・・」

「いや俺を哀れんだ目で見るのやめてくれない?」


 さて、あまりいじめるのもやめておこう。さすがに可哀想だ。それにここでいじめすぎるともし『帯電』がチート化した時になにかしらの報復をされかねない。


「さて、もういいかしら?」


 五月雨さんの冷静な声を聞いて五月雨さんの方をむいてみる。一体何の話があるというんだろう。そういえば何気に五月雨さんから発言するのって初めてじゃないか?このスペースαにきてから僕らにペースを掴まれっぱなしだったしな。


「スキル?とやらがなにか重要なのかもしれないんだけど、そろそろ移動しないかしら。このままだとここで飲まず食わずで野宿ということになるわ」


 その言葉に僕らは顔を見合わせる。言われてみたらそうだ。ついつい今の状況にテンションが上がっちゃって騒いでしまったが、これはゲームの話ではない。現実の話だ。運がいいことに転移のタイミングが昼ご飯のすぐ後だったので今のところは空腹を感じてない。


「そっか。そういえばそういった生活面も気にしなければいけないんだな。つい浮かれていた。すまない」

「「「・・・」」」


 そうだ。五月雨さんの、今の角先の言葉で思い出す。転移してきているのは僕ら(・・)だけだ。つまりは頼りになる大人という存在がいない。これからの生活関連、食事や寝床といったこと、それらを全て自分たちでなんとかしなければならない。いつもいつも朝起きて夕方学校から帰って来たらご飯を準備してくれていたお母さんも、というかそもそも僕らの帰る場所だった家も、なにもない。


 これ・・・本当に困った話だぞ。城とかに連れて行かれたとかならそこらへんの心配をしなくてもいいんだけど、ここは森の中だしな。・・・あれ?森の中ということは当然そこに生息している生き物の存在があるていうことだよな。草食系の動物だけならいいけど、肉食動物とかがいたらどうするよ。追い払うか。追い払わないと死んでしまうよな。それは当たり前の話だ。そうなると、誰が戦うのか。さすがにここで女の子を犠牲にして生き残りましたってのは男としてどうなんだって話になってくるよな。幸いというか男性陣の得たスキルというのは基本的に攻撃向けだ。・・・まあ一人よくわからないのがいるが、少なくとも戦いにむいている。それに四万十さんの『聖』も回復系の可能性がある。それなら戦いで傷ついてもある程度まではなんとかなるだろう。


 やっぱり問題なのが拠点、それから、衣服ってことかな。い、衣服どうしよう。男子なら二三日同じ服をきたとしても気合いでなんとかなりそうだけど、さすがに女子はそうはいかないよな。おまけに何日も何日も同じ服をきていると匂いが気になってしまうよな。あーでも汗とかかくから衛生的に考えると最悪だよな。


 なぜこの人たちがここに転移されたのかは後々考えるとして、当面の問題をどうしよう。まだ余裕のある今のうちに相談しておいたほうがいいな


「そうね。とにかく移動しましょう。最初に拠点・・・住居を見つけておいたほうが精神的にも楽でしょう。そのためにここから移動しましょう」

「そうだな。それで、一つ提案なんだけど・・・」


 よし。みんなでこれからのことを話し合いながら移動しよう。にしても角先のやつ、こんなにたくましかったっけ?なんか転移してからというものこいつめちゃくちゃかっこよくなった気がする。あ、別にフラグは立ってないからな。友人としてすげーなって話。ん?あれ、もしかして・・・こいつ主人公なんじゃないか?うん、微妙なスキルを与えられ、そして転移後のこの気持ち悪いまでの落ち着きっぷりもとい、仕切りっぷり。間違いない、こいつ、主人公じゃないか。ということはこいつ最初の役立たずになるということか。うん、僕だけは見捨てないであげよ。報復怖いし


「なんだよ。その哀れむような目は。そうだよ。この状況において『帯電』スキルなんて役に立たないんだよ」


 あ、いつも通りの角先だ。無駄な心配だったかな

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