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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第1章 失われた学校生活の続き
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唐突に始まる異世界感


「「はあ・・・」」


僕とフランさんは二人してため息をついていた。理由は単純。料理がうまくいかなかった・・・わけではない。カレーは確かに奥が深い料理ではあるが、作り方はいたってシンプルだ。小学生の特によくある宿泊訓練での炊事活動でカレーが選ばれるぐらいだ。人参玉葱ジャガイモ肉(なんの肉かはわからないけど多分そこらで取れたモンスt・・・何でもないです)を切って火を通して水を入れてルーを入れて煮込む。料理が得意な人からしたら文句が出るような説明だけど、だいたいこんな感じだ。


米を炊くのだってそんなに難しくない。確かに鍋を使うのか?って驚いたけどおばちゃんが丁寧に説明をしてくれたしギルドでもいつもこうしていたから問題ない。お米を水でといで鍋に入れ水を入れて火にかける。最初は強火だけど沸騰したらだんだん火を弱めていく。まあ、ガスコンロがあるわけではないからここら辺の加減が難しいんだけどね。鍋とかはあるのにガスコンロとかはない。その代わりに魔法石があってそれを使うことで火を起こしたり調節したりしている。なんて便利なものなんだろう。そして異世界ど定番アイテム。


それに多少失敗したところで胃の中に入れればみんな同じだ。どんなゲテモノ料理だって胃の中で栄養に変えられてしまえばそれはもうただの栄養だ。喉元過ぎれば熱さ忘るるってやつだ。


じゃあなんで僕らがため息をついているのかって話だけど、僕の班はフランさんと二人だ。そしてそもそも予定では4人班で行うことになっていた。つまり


「「余ったカレーどうしよう」」


僕はそこまで大食いではないしフランさんも女の子にしてはよく食べたけどそれでも4人分は食べきれない。・・・まあお昼ご飯をしっかり食べちゃっていたからそもそも食べられなかったんだけどね。結果としてそこそこの量が余ってしまったのだ。ちなみに先輩方はちゃんと食べきっていた。シズク先輩に聞いてみたところこれを見越してお昼を抜いていたのだとか。大丈夫なんですか?って聞いたら「三コマ目は入れてないので」うん、誰か教えてほしかったよ


「ごめん!私自分のギルドで夕飯が出るから持ち帰れない。ミライお願い」

「・・・いいよ。うちは人数少ないし融通きくからなんとかしとくよ」

「お願いね」


秒で解決。まあ確かに簡単なことではあるけれどもできればこの時間内で食べ終わりたかったな。まあ寮で食べるのもいいかな。鍋をもって寮まで移動する。少し目立ってしまっていたけど問題ないよね。


・・・寮の扉開けられないんだけど。鍋で両手塞がってるし。これどーするんだ。今日は誰が来てくれるんだっけ?シェミン先輩が中から開けてくれるなんて期待できそうにないしなんでこんなところで困るんだろう。僕に鍋を両手で持ちながら扉を開けることができるだけの器用さがあればな・・・



あれこれと10分くらい悩んでいたけど結局鍋を地面に置くという単純なことで解決した。答えはじつはすぐそばにあるてやつだっけ?灯台下暗し?わからん。僕の語彙力よ仕事をしてくれ


「ただいま〜」


やっぱり日本人の特性というべきか帰ってきたときについつい声をかけてしまうよね。特にうちだと人数少ないから家族みたいな感じなのかな。


「・・・おかえり・・・いい匂い・・・カレー?」

「はい、先ほどの調理実習で作ったんです。よかったら食べませんか?」

「・・・うん・・・シオンくん・・・お願い」

「任されました」


あ、シオン先輩帰ってきていたのか。でもなんでわざわざ頼むんだろ。管理ぐらい僕がするってのに


「・・・今日は・・・外で・・・食べる」

「そうなんですか?すみません。聞いていませんでした」

「言ってなかったからね〜」


スバル先輩もいたんだ。気がつかなかったよ。と、なればいつもの人たちと一緒に食事をすることになるのかな。


「そんな感じかな。僕は行かないけど」

「そうなんですか?」

「ギルドの方に顔出さないといけないからね・・・それに行きたいとは思わないし」

「それどーゆう意味なのかな〜?」


聞き捨てならない言葉が聞こえてきたんだけど一体どういうことなんだ?あ、まあ4年生が多いってなるとそりゃ行きたくないかな。先輩ばっかりだと息つまるし。でもここの先輩たちってそんなに固い人もいないし気軽に参加できそうなんだけどな


「食事は問題じゃないんだよ・・・」

「え〜楽しいじゃん」

「嫌ですよ。なんで毎回毎回あんなことしなきゃいけないんですか」

「・・・食後の運動かな〜」

「それ絶対今考えた理由ですよね」


なんか怖い。運動ってことはなにかスポーツでもするのだろうか。いや、この人たちはそんな普通なことはしない。ありえるとすれば・・・依頼かな?このギルドの資金とかってどうやって賄っているのかっていうと毎週(口ぶりからして恒例っぽいし)のこの依頼で済ませているんじゃないかなと予想してみる。


「シオンくん」

「あ、そうでした。ミライ、鍋」


すっかり忘れていたけどシオン先輩に鍋を預ける。これをどうやって保存するんだろう。山胡桃さんみたいに空間魔法を使えるわけではないのに


「僕の・・・魔法は氷だよ?だから、『氷《ice》』」


冷凍保存!昔ながらの基本的な保存方法。それなら二三日は持ちそうだ。


「今はそこまで気温が高くないからそこそこ保存できるよ。でも過信しないですぐに食べて欲しいな」

「わかりました。明日食べます」

「うんうんそれがいい・・・あーもしかしたら今日食べるようになるかも。クレアに頼んで解凍用の魔法石を届けるよ」


運動後の夜食ってわけですか。まあそれならそれで早く食べることになるんだし問題ないかな・・・いや、大有りだよね!なんで夜食食べることが前提になっているんだ?どんだけきつい依頼を受けることになるんだよ


「そうだ!いいこと思いついた」


つまりは悪いことですね「ねえ酷くない?」


「まあなんでもいいけど今日の夜にここにいてね〜」


わかりました。今日は特に模擬戦をするつもりがないので寮の自分の部屋にてのんびりしておきます。自室といってもそんなに広くない。机とベットがあるくらい。まあ普通の大学の寮と同じような感じだと思ったらいいか。荷物があるわけでもないし、スペースが必要なものもいらないから寝るだけって感じだけどね。基本的に寮の共有スペースか旧修練場にいるからね。






そして、夜になった。いや、なんかすごい賑やかな食事でしたよ。セリア先輩やスバル先輩、グレン先輩だけでなくまさかサリア先輩まで同席していたなんて


「今日はイオリちゃんは無理だったか〜」

「あいつはギルドの運営で忙しいからな」

「わかってるなら・・・まあ無理だね。ごめん」

「それどういう意味だ!」

「グレン、やぶへびになるだけだよ」

「レイまで」


レイ先輩もいましたね。でもそうなるとこれからのことが不安でしかない。このメンバーで動くとなると一体どんな無理難題が出てくると言うのだろう


「ミライ、考えるのやめよう」

「・・・ご愁傷様」


予想していたけどクレアも巻き込まれたな。うん、知ってた。


「そろそろいいでしょうか?では行きますよ」


ついに来た!さあ鬼が出るか蛇が出るか・・・心の準備だけはしっかりとしておこう


「今日はミライとクレアがいますから優しめのを選んでおきましたよ」


さすがサリア先輩。僕らのことまでしっかり考えてくれてる。さあ、どんな内容なんだろう。


『依頼内容 ゴブリンキング討伐 難易度A

達成条件 ゴブリンキング一匹討伐

報酬 金貨150枚』


いろいろとおかしくないですか?

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