スキルを手に入れた時の会話ってこんな感じだよね
さて、今ここに何人いて、それが誰なのかきちんと把握しようか。えーっと、ここにいるのは、全部で8人か。それでその内訳はっていうと、僕、角先、天衣、麺山、米柔の男子五人に山胡桃さん、四万十さん、それに五月雨さんの女子三人ね。
・・・さっそく新しい人が登場しちゃったよ。え?あれ、待って。話に絡んでこなかったからわかんなかったけど三人もいたのかよ。これを受けてもやっぱり僕が主人公でないってことがよくわかるな。もし僕が主人公であると仮定すると、僕が転移前に一緒にいた角先たちやイケメントリオ、日暮さんや楠といった重要そうな人たちと一緒にいるはずだ。そうならなくてほとんどが転移後に初登場となるような感じになっている人たちと一緒にいるようなやつが主人公なんてあるはずがない。・・・まあ、もちろん一緒にいて心強いですよ?五月雨さんなんてうちのクラスの委員長じゃないですか。頼りになるお姉さんって感じで一部の男子たちから熱狂的なまでの指示を得ているじゃないですか。
「そういえばどうして山胡桃さんは能力を明かさないんだ?」
そういえばそんなことを言っていたな。確かにわざわざそんなことをいう必要なんてないのにな。別に話したところで不利になるようなことなんてないのに。所詮僕らはモブなんだから。
「え?いや・・・だってちょっとスキルが、その」
あれれ?なんかあたりを引いてるっぽい?えーっとなにを当てたんだろう。ベタなところだと鑑定スキルとか?鑑定スキルって場合にもよるんだけどあれだろ、相手の持っている情報をほとんど丸裸にしてしまうようなものなんだよな。それなら秘匿したい気持ちもわかるな。あとは・・・もうストレートに転移系かな?あとは勇者とかのなんかやべーやつ。この辺りかな
「わけありっぽいね。まあ言いたくないなら無理に言わないってことで。一応いっておくと俺のスキルは『帯電』かな」
ちょ、ちょっとまって。いきなりとんでもないスキルが出てきたんだけど。帯電ってあれだよね電気を貯めることのできる能力のことだよな。つまりはさ、僕の放った電気系の魔法とかを全て吸収してしまうってことだよな。まさか異世界にきて一番最初に聞く能力が天敵なんて・・・辛い。
「いきなり黙ってしまったけどどうしたの?もしかしてかぶっちゃった?」
山胡桃さんが聞いてくれるけどもそっちじゃないんだよな。いや、そっちの線もありうるのか。だが、聞かれてしまった以上、なにか答えなければならないよな。・・・隠すか隠さないでいくべきか。別に隠す意味はないよな。それにこれから能力を使うときに絶対ばれるよな。
「いや、そうじゃなくて・・・僕のスキルは『電気』だったんだ。つまり、角先に圧倒的に相性が悪いってことだな」
「そっか。でもそれはこれから実験していけばいいわけで実際のところはわからないよ?」
気休めに過ぎないけれどもありがとう。さすがにそこまでは楽観視できないよ。じゃなきゃ『帯電』のスキルの存在意義がなくなってしまう。も、もしかして『帯電』すきるこそが外れスキルだというのだろうか。それは角先のやつ、うらやm・・・残念だな。外れスキルを引いちゃって
「おい、誰が外れスキルだ。まだそうときまったわけじゃないぞ」
「そうだよ。外れスキルだなんてかわいそうだよ・・・と危ない。紅くんが話すとすーぐ脱線しちゃう。ほかのみんなはどうだったの?」
なんだろう、貶されてるきがする。というか貶されてるよな。なんだよ、すぐに脱線してしまうって。でもほかの人たちのスキルもきになるし、ここはひとつ、気持ちを抑えるとしますか。
「俺は『砂』っていうスキルだな」
「あれ?麺山も?俺も同じで『砂』のスキルだけだったぜ」
『砂』か、多分あれだよな。系統的には僕の電気に近い感じかな。僕のが雷(風)だとするならば麺山と米柔のやつは土かな。
「お前らなかいいなぁ。俺は『風』だったぞ」
あれ?スキル『風』が登場したってことは僕のは風系統ではないってことか。風と雷って結構区別が難しいところなんだよね。四大元素には雷がないせいか雷を風の一系統と考える人もいるくらいだし。
「やれやれ男性陣はイマイチパッとしませんね」
「・・・ということは山胡桃は相当いいのをもらったってことだよな。じゃあ教えてよ」
意地が悪いなぁ。さすがに今の言われ方にムカついたってのもわからなくはないけどさ。相手は一応女子だよ?それをよってたかっていじめるってのはさすがに僕も良心が痛むというかなんというか。山胡桃さんにも言いたくないことのひとつや二つあるわけで、で、何が言いたいのかというと。いいぞ角先もっとやれ。
「結局あんたも酷いからね?」
なんか言っているけど知りませーんだ。
「く、くう。わかったわよ。さすがにこの状況であんたたちのことを笑ったのは謝る。だから私のスキルをいうわね。私のスキルは『空間』よ・・・この意味、わかるわよね?」
え・・・『空間』スキルだって。思わず僕は山胡桃さんをじっと見つめてしまう。だってそうだろ。空間スキルといえばチートスキルのひとつ。ファンタジーおなじみの転移魔法を使えるということではないか。あとは定番も定番のアイテムボックスとか。アイテムボックスいいよな。あの仕組みとかイマイチわかんないんだけれどそれでも物をある程度無限に収納できてしかも重さがほとんど0に近似されるって夢のようなアイテムだ。そういえばこの世界ではアイテムボックスって売られていたりするのかな。それともなんらかのスキル限定とか?まあなんらかのって言っときながらおそらく『空間』がそれに当たるであろうことは容易に想像つくけどね。
「そう、これはもしかしなくてもチートな能力かもれない・・・だからあんまり言いたくなかったのよ。しかもあんたらモブそうだし(ボソッ」
「モブで悪かったな」
「あら、聞こえてたの」
「いいよ、真実だし。『帯電』だなんてスキル。どうころんだって主人公張れるようなもんじゃないだろうし」
おお、しれっと返すことができるだなんて角先のやつ大人だな。まあ僕らがモブであることは別に否定する気はないけど・・・あのーわかりますけど睨まないでくれます?そりゃ転移に憧れてる天衣くんからしたら面白くはないんだろうけどさ。
「おい、山胡桃知ってるか。実はチートスキルはなくてありふれた能力を努力したやつがチートになるケースがあるんだぜ。俺みたいに『風』っていうありふれた感じのを手に入れたほうがーってな」
「あら、そうかしら。でもそれってあらかじめ抜穴とかが用意されていてそれを主人公が『たまたま』気がついているだけな話だし。ここは誰がみてもチートな感じのする私の『空間』でしょ」
おー喧嘩か。いいぞいいぞ。もっとやれー。なるほどなるほど。お互いに異世界転移に憧れていた者同士、どうしてもチートは我にありと言いたいと。まあどっちの展開もわりとありがちだし今はどっちなのか判断つかないんじゃないかな。情報が少なすぎるし。
「なあ、ここはこのスペースαの住人に話を聞いてみないとわからないんじゃないか」
「それもそうだな・・・というかスペースαってなんだ」
「ここの地名を仮だけれどつけてみた」
「「「・・・・」」」
あのー。それなりに自信作だったんですけど。うわっ、こいつセンスな!みたいな目で見つめないでくれませんかね。僕はわりと豆腐メンタルでガラスのハートの持ち主ですよ。
しっかしなかなか進まないなー。麺山と米柔のやつは向こうで二人仲良く話し出したし。同じスキルを持つ者同士、どんなことができるのか早くも検証しだしたな。いいなぁ。僕もさっさとスキルを使ってみたいよ。でもなぁさすがに僕までそっちに行くと収集つかなくなりそうだし「いやお前も場乱してる側だからな」ちぇー。
やっぱりここは委員長に締めてもらおう。というわけでお願いします。五月雨さん。いや、五月雨姉さん。そんな意味を込めた視線を送ってみる。気づくか?気づいてくれ・・・・お、こっち見た。
「なにかしら?紅くん」
「あ、え。えっと」
気づかれなかったーーーー。そりゃそうか。さすがに無理あるな。で、ど、どうしよ。話しかけられちゃったけどなにを話せばいいのか考えてなかった。
「ああ、五月雨さん。五月雨さんのスキルはなにかな?できれば教えてくれると助かる」
角先ー。ありがとう助けてくれて。やっぱり持つべきものは友だな。にしても悲しいなぁ。あれくらいしれっと言えるようにならないとな。さすがにこれから話す機会は増えるだろうしまともなコミュニケーションはとれないときついぞ。あ、一応言っておくけど僕はちょっと人見知りなだけで特別コミュニケーションが苦手とかそんなことはないからな。
っと。ちょっと隙あらば自分語りってやつをしていたらあれれ?天衣と山胡桃さん、おまけに角先まで固まってるぞ。一体なにがあったんだ?
「えっと、みんなどうしたの?私のスキルー『精霊』ってそんなにおかしいの?」
なんですって?