義勇軍、到着
ブクマありがとうございます
これからも頑張ります
???
「はあああ」
「うぐっ」
互いに殴り続ける。殴り合いを続ける。避けることは当然できる。でも…しない。どちらが先に避けなかったのかもうわからない。気がついたら互いに殴り続けることを選んでいた。
『なんで世界を命運をかけた戦いがこんな展開になるのよ…さっきの魔法の撃ち合いはどこに行ったのよ』
「「これは、僕たちの戦いだ」」
『はいはい』
クレアの拳を受ける。そして返しに殴る。それを繰り返していく。すぐに倒れるかと思ったんだけど、まだまだ余裕があるみたいだ。
「おまっ、そろそろ倒れろよ」
「それはこっちのセリフ」
お互いに絶対に譲り合わない。譲るわけには、いかない
「そもそもなんで!なんでお前は僕たちの世界のことに関わる?無関係だろ」
「は?…僕は、この世界に関わってるんじゃない、お前に関わっているんだ!」
「???」
あ、今かなり入った。そんな気がする。今クレアに放った一撃、いや、言葉がクレアに響いた気がする
「…」
「いいか!僕は正直この世界なんてどうでもいい。自分がやりたいことをしているだけだ」
「…え?」
「だから、おとなしく、倒れろ!」
「いや、だからからの意味がわからないんだけど?」
意味ぐらい分かるだろうが。お前は自分の国のために動けばいいじゃないか。なんでそこに世界を入れる必要があったんだよ
「…自分のやりたいこと」
「クレア!お前がやりたいことってなんだ!国を作りたいんじゃなかったのかよ」
「…!、でもお前は、あの時の村人たちの言葉を聞いていないから。平気で恩人をけなすような人たちのいる世界にしたくない」
「それは…そうだけど」
クレアの拳が強く突き刺さる。急に威力が上がったけどどうかしたのか?それだけ思いを込めたというのだろうな
「でも、それではいそうですかって、友を見捨てることなんてできない!」
「さっさと見捨てればいいだろうが、こんなことしないで…いっその事、僕を倒す勇者としてくればよかったのに」
「それが嫌だからこうして先に来てるんだろうが!」
『もはや口喧嘩じゃないの…』
イフリートが嘆いているが仕方がない。だってその程度の内容だからね。その程度の事で…僕たちはこうして命を削りあっている
「じゃあ僕を殺せ」
「ふざけんな。僕はお前を止めるためにここに来たんだよ。お前を殺すためにきたんじゃない」
「はぁ?そんな覚悟しかしてきてないのか」
「ああ、そうだよ」
『もうなんなのよ』
もはや拳を振るう事さえも忘れて互いに自分の主張をぶつける。もうこれどうしようもない戦いになっている気がするんだけど
「…この世界のことを思うのなら、今死ぬわけにはいかないだろ。お前はもっと生きないといけないだろ」
「…それは無理だよ」
「なんで」
「僕の事は知れ渡った…だからどこにも逃げ場なんて」
「それでも逃げ続けろよ…お前が命をかけるにはこの世界は小さすぎる。自分の国を作ってから命を賭けろよ」
「…」
僕の言葉が聞いてきたのかクレアが完全に止まった。お?これは僕の言葉に耳を貸す気になったのかな。
「…それでも」
「今ここで死んだとしても、何も変わらないぞ」
「」
「もっと力をつけろ。そして世間に投げかければ…変えられるんじゃないか?」
僕の言葉に何かしら気がついたかのようにクレアは押し黙る。ああ、もう、きっと、大丈夫だろうな。僕はクレアの胸ぐらを掴んでそして、
「だから…ここは僕に任せておけ『『電気鎧・第三形態』」
そのまま振りかぶってクレアを崖の方に突き飛ばす。「何をするんだ!」さけんでこっちに戻ろうとしているけど
「そのままどっかへ逃げろ!お前なら飛べるだろ!」
「!…『浮遊』」
納得したように空を飛ぶクレア。もう…決まった。
「今回の勝負は僕の負けだよ」
『史上最高に低レベルな争いよね』
「うるせぇ」
「だから…次は僕が勝つ。この意味、わかるよな」
「わかってるよ」
死ぬんじゃねえぞ。そう言いたいんだな。ここで生き残ってもう一度お前とあって、そして、もう一度戦う。それが約束だ。僕たちが交わす、悲しい約束。
「僕の望みを叶えるために…僕は強くなるよ。強くなって世界を変える…その時に、お前は、僕を倒しに来てくれ」
「ああ、お前を倒して勇者となって…そしてまたよりよい方向に世界を変えてやるよ」
「「じゃあ…さよなら。また未来で」」
『…未来で待っているわ』
そしてクレアとイフリートは去っていった。崖の向こうへと。よかった…これで、お前がすぐに死ぬ事がなくなったな。
「でも、僕の死亡フラグはまだ折られていないと」
僕は振り返る。振り返ってどんと構える。来るものたちに分からせないといけない。僕が、魔王だと。魔王はクレアじゃなくて僕だと。それを示すために、僕は、ここで、立つ!
「あ、でもその前に」
僕は戦う前にクレアが座っていた…要は拝んでいたお墓の前に座る。そして座って、両手を合わせて、両目を閉じる。
ありがとう…あなたのおかげで、クレアと出会う事ができました
きっと、ここの孤児院の先生だろう。聞いていないし明言されていないけどなんとなくわかる。そして僕の言葉だ。素面では絶対に言わないような言葉だな。振り返ってみても恥ずかしい
「ま、きっと…これから起きる事が分かっているからだな」
だからクレアは僕に一つの楔を残したのだろう。次だなんて。未来だなんて。そんなこと…確約できるはずがないのに。それでもなお、僕に約束させたのは…分かっている。ここに来るまでの僕の気持ちと全く同じだから。
「だから…全力で戦いますよ…先輩」
振り返って僕は言葉を吐く。ここに来た瞬間にわかった。だって…精霊の気配はわかりやすいから。精霊を連れていてこうして魔王を討伐するような集団を率いているものは数多くない。実際に当たっていた。
「お前が…どうしてここにいるんだ、ミライ」
「…私たちは、クレアを討伐しに来たんです」
セリア先輩とサリア先輩が立っていた。まあ、この二人だろうな。玄武や白虎も今回は大した人員が割かれていないっていっていたし
「クレアはここには…いません」
「いいえ、確かに魔王の気配がします」
「ミラさん…」
「ミライさん、もしかして…先ほどまで戦っていたのですか?」
『さきほど遠目から見た巨大な雷撃、それはきっとミライのだろう』
「はぁ精霊は誤魔化せないか」
「なぜ、リルの姿が見えるのですか」
全部見えていますよ。フェンリルの姿も、そして
「そこにいるんだろ、天衣」
「よく見つけたな」
「上にシルフリードがいたからね」
『あなた…やっぱり「世界」を』
「そういうこと」
だから、実質的にクレアと同じように扱ってくれても構わないよ。何か一つ歯車が違えばここにいるのは僕じゃなくてクレアだった可能性があるわけだし
「でもシオン先輩はいないんだね」
「あそこは王位継承とかでバタバタしてるからな」
「君たちが『蟲』の王の策を壊したからだけどねー」
スバル先輩にグレン先輩。二人も僕の前に立つ。ああ、これは
「悪いですけど…手加減なんてしませんしいりませんよ」
「ですが」
「僕は…覚悟してここに立っています。この世界のため未来へのため」
「世界?未来?あなたは何を言っているのですか」
「フェンリルから聞いてください」
『お主…』
「ええ、全部聞きました。その上で僕はここにいるんです」
「…さあ、余計なことはもうやめておきましょう。僕を…殺しに来たんですよね?」
「ミライ!、魔王幇助とそして脱獄の件で…あなたをこう「殺す、でいいですよ」」
「」
耐えるように歯をくいしばる先輩たち。そして、覚悟を決めたのだろう。まあもしかしたらクレアの脱走を見ていたのかもしれない。それでも逃げることはしないけど
「魔王の協力者を…殺せ」
「うおおおおおおおおおおおお」
セリア先輩の掛け声を頼りに、ここに来た一団が…兵士たちが雄叫びをあげる。ああ、それでいい。僕を協力者としてみてくれるのならそれでいい。魔王は協力者よりも強い。その概念があるだろうから…僕がこいつらを叩き潰せば、クレアを倒すために
世界は一つになるだろう
「お前の望み、僕も協力してやる!『電気の世界』」




