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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第9章 みらいへ
311/317

命の乖離

本日3話目になります

???


「ふぅ…」

『二人とも本当に頑固ね…まあだからこんなことになっているわけで』

「悪かったな」

「でも…こういうのも、楽しいな」

「まあ、そうだな」


時が時じゃなかったら楽しかっただろう。いつも僕たちは、初めに、お互いを本気で殺そうとしていた。別に嫌いだったからじゃない。僕たちは…そうでもしなければ(・・・・・・・・・)強くなれないとわかっていたから。だから本気で身を守るために防御に重点を置いていた。圧倒的な攻撃力よりも圧倒的な防御力が必要だと感じていたから。それに『領域』など、僕らが現段階でどちらが優れているのかはっきりしていたから


「『電気鎧(armor)第五形態(fifth)』」

「『炎の鎧・霊華』」

「その炎…ちょっと特別だよね」

「ああ、これ、ちょっと特殊な炎なんだよね。人間の魂を燃やすんだ」

「なるほどね」


つまりそれに当たってしまったら精神に問題が出てしまうと。それって僕以上に触れたらまずい魔法じゃないか。まあ結局お互い触れたところから爆発させているから何もかわらないんだけどね


地面を強く蹴ってクレアに一気に接近する。そのままの勢いで突っ込むーと見せかけて、直前でブレーキを踏む。


「!?」


そのまま上に高く飛んでー魔法を切り替える「『電気鎧(armor)第二形態(Second)』」砂鉄を拳にまとわりつけて…そのまま叩きつけるように上から振り下ろす。足が悲鳴を上げているが…それを気にしてはいられない…!


「そうくるか『炎の舞』」

「『爆発(dynamite)』」

「!?」


炎が巻き上がる。だから僕はそのまま恐れずに拳を叩き込む。そこには僕よりも…立派な火種があるから。


「おまっ、なんつー無茶を」

「今から死にに行こうとしているお前に言われたくないね」


クレアの炎をも巻き込んだ爆発によって僕の体はさらに上空へと投げ出される。だって…高いところにいる方が、雲に近いもんね!


「『(thund)(ervolt)』」


手のひらを上空へと掲げ、僕は魔法を発動させる。そして上空で分離して雷となって地上へと降り注いでいく…でもそれだけなら、意味がないよね


「『接続(connect)』」


誘導(root)』の応用魔法…僕が放った電撃を僕自身が操ることができるようにする魔法。それを使って…降り注いでくる雷を一点へと凝縮させる。いわゆるレンズの役割みたいなものだ。一点に集約された電撃は…きっと大地を穿つ大きな力となる。


「そんな使い方があるなんて…」

「これを受けてみろよ、クレア!」

「…いくよ、イフリート」

『はいはい』

「『命の乖離』」


クレアを中心して炎が揺らめいている…それはまるで空間自体が揺らめいているかのようだ。向こうも準備万端みたいだし遠慮はいらない。僕は自分の持つ、最強の魔法をクレアに向かって放つ。


「『命の乖離』」


巨大な電撃と揺らめいた空間、それがぶつかり合って…そして大きな衝撃波となって僕たちに襲いかかる。僕は上空にいたのとそれから魔法の行使による硬直によって満足に受け身を取ることもできずに、直撃してしまった



「…はぁ」

「くそっ、防ぎきれなかった…」

『なるほどね…二人とも同じ名前をつけたんだ…まあそりゃそうだよね』


クレアも?どんな意味を込めてこいつは名付けたんだ?僕の魔法は僕自身を操ること…自分自身で自分を操るというのは予想以上に体に負荷を与える。『電気鎧(armor)第三形態(third)』に近いのかもしれない。でも、あれはせいぜいこんな風に動きたいなとか、感情を消そうとかそれくらいだ。他の人間が普通に行っている生理現象(・・・・)には基本的に干渉しない。


でも、自分の魔法を変えるためには…その程度では無理だ。もっと、もっと自分自身に干渉する必要があった。でも、それをするためには僕が普段行っている普通のことを全て僕自身で操作しなければいけなくなった。具体的に言えば呼吸とか…もっと言えば心臓の動きとか。普通なら操ることのできない電撃を操るために、僕の体は…一定の期間の間、死人と同じ状態になる。そんな状態が続けば…命を削ることになる。末端の組織に血や酸素が行き渡らずに壊死してしまうみたいに


『ふーん、クレアも似たようなものよ。あの魔法はね、炎が揺らめいていることで蜃気楼を作り出したことからインスピレーションを得て、新しい「世界」を…特別な「空間」を生み出したのよ』


炎によって揺れた空間の揺らぎを『世界』を利用して拡大させてそして魔法を受ける。ありもしない空間に魔法がぶつかるので理論上全ての魔法を防ぐことができる…ただし、受ける魔法の力によってそれ相応の魔力を払う必要があるが。それにもう一つ。一方向に空間を作ることは不可能なのでクレア自身を覆う必要がある…つまり、あの魔法を使う時はクレアは真空の中にいることになる。おまけに過度に集中してるので、僕と同じく呼吸をしていない状態になる。なんとまあお互いに自分の命を削る魔法を考えたものだ。


お互いに文字どうり命をぶつけた魔法はどうやら引き分けに終わったみたいだ。僕は吹き飛ばされてクレアも衝撃を受ける。魔法自体は相殺しあった。


「がはっ」

「げふっ」


お互いに血を吐き出す。足がガクガクと震え、その場に立っていられなくなる…それでは、まずい


「『電気鎧(armor)第三形態(third)』」

「『精霊召喚・イフリート』『感覚転移』」

『はいはい』


でも、すぐに、互いに何事もなかったのかのように立ち上がる。いや、僕はわかるんだけど、どうしてクレアも立ち上がれるんだ?


『私に一時的に痛みとかを移してるのよ…その間はまあ…あんたと同じようなものね』

「まじかよ」

「これで…五分だよね」


実際は僕は自分の意思で普通ならできないような動きも可能だしそもそもの基礎能力が上昇している。だから僕の方が有利ではあるんだけど…それを指摘するのは野暮だよね


「クレアを止めるためにはイフリートごと倒せばいいってことか」

「まあ感覚は消すことができても体自体が動かないのなら終わりってところはミライと同じだからそれで十分なんだけどね」

「はいはい」


なら、もう、いくか。最初にお互い語った。今回は戦いに勝つことが目的じゃない、相手の覚悟をくじくことが目的だ。戦っているのはそのための手段にすぎない。


「どっちが先に動かなくなるか…覚悟を決めるか」

「そうだね」

『野暮だけど言わせてもらうわ…これが最後よ。もう…時間がない』


わかっている。感じているからね。近づいてくる気配を…それはきっとクレアも同じなんだろう。だから…僕は、クレアに殴りかかる。何も纏っていない、自分の拳で

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