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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第8章 魔王誕生
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水の王との戦い

神無月一週目土曜日


「…『放電(thunder)』」


爆発の煙でよく見えないけれども多分これで死ぬことなんて絶対にありえないだろうから電撃を放つ。その流れで両手を合わせて魔法を切り替える


「『電気鎧(armor)第五形態(fifth)』」

「『ふふっ、粉塵爆発とは洒落たことをするもんだね』」

「やっぱり無事だよな…てかお前粉塵爆発を知っているのか」

「『まあね、現象としては知っていたけど実際にそれが起きているのを見るのは初めてだけどね』」

「ふうん」


それでも無傷っていうのはやばいけどな。ちっ、煙のせいでこいつがどんな風に防いだのかよく見えなかった。まあ、どうせ『世界』とかを使ったんだろうけどな


「『電気の領域(field)』」

「『さて…「氷の礫」』」


水が剣に集まってきたかと思ったらそれが全部氷へと形態を変えた。そしてそのまま剣をこっちに向けて振り抜いた。そのまま氷が僕に向かって飛んでくる。小さな礫となって僕の方に飛んでくる。


「『創造(creat)』」


砂鉄の剣で僕はそれを全部弾きかえす。


「『へえ、一応最低限の動きはできるんだね…「水球・連弾」』」


今度は水が集まって球をつくり僕に向かって飛んでくる。やはりというべきか…魔法をかなり使い慣れている感じがするな。でも、水の状態なら…僕でも戦える


「『放電(thunder)』」


水を全部電気分解して避ける。いや、避けるというよりかどちらかといえば跳ね返す?そんな感じかな。


「『あーそうか。確かに水は電気を通す…常識だよな。でもね?』」


そして一つの水球が飛んでくる。意味深なことを言っていたくせに特に何も変哲もない水球だな。同じように電撃を当てて消そうとする…しかし


「え?」


いつものように電気分解が発生せずに、酸素と水素に分解されることなく、僕に向かって飛んできた。そのまま激突する。


「『ふふっ、純度100%の水は電気を通さないんだよ』」

「…まじかよ」


なんかそんなことを聞いたことがあるような気がしないでもない。溶けている物質があることで水は電気を通すことになるって。


「『まあ純度100%の水なんて普通作るのは不可能だからね』」

「蒸留水だっけ」

「『ん?お前…』」


理科の実験とかでよく使ったよな。それを使って実験器具とかを洗うんだよな。それから薬品とか…濃硫酸とか酸性の液体が皮膚に当たったときは…それは普通に大量の水道水で洗い流すんだっけ


「『(light)』」

「『む、光か』」

「『電磁砲(レールガン)』」


目が眩んでいるだろうからそのうちに先ほど展開した『領域』を利用して砂鉄を集めて、そして僕が使える最大の攻撃魔法を放つ。


「『すごいね…「水の世界」』」


イワナガを中心にして謎のオーラなものが発生し…これがなんなのかは言われなくてもわかる。それを受けて僕が弾き出した砂鉄の塊はかき消されてしまった。


「それが…お前の『世界』…!」


地面を強く踏んで僕はその場から遠ざかろうとする。今僕はこいつの作り出した『領域』の範囲内にいる。どんな効果があるのかわかっていないし…でも、僕は後ろに飛び退くことはできなかった。正確にはいつものように爆発が起きることなく盛大に飛び退くことができなかった。何も魔法を使っていなかった時の状態で後ろに下がったみたいな感じだ。


「『そうだよ「水螺旋」』」


水が一点に集まってくる。どれだけの水が凝縮されているんだよ。少なくともあれが爆発したらまともに生きていたられる保証はなさそう


「くそっ」


僕は離れるように走る。今はできる限りあいつから離れないと…


「『無駄だよ「水壁」』」

「!」


あいつの『世界』の端、そこに急に巨大な水の壁が生み出される。つまり僕は閉じ込められてしまったということになる。


「『さて…君は耐えることができるのかな?「爆発」』」


その瞬間、凝縮された水が一気に解き放たれた。溢れ出した水が僕に向かって流れてくる。でも僕が逃げようにも水の壁が立ちふさがる。


「まじかよ…『放電(thunder)』、やっぱ使えることができないか」


いつものことながら魔法を使うことができない。この空間にいる限り『領域』も使うことができないし…ん?もしかしたら


「『電気の世界(world)』」



「『へえ…』」

「なんとか…なった」


思ったとうり『世界』だけは使うことができたみたいだ。でも、ギリギリ発動が間に合わなかったようで押される形で僕は流されてしまった。


「『そっか。君知らないんだね…「世界」にはいくつか特徴があるんだよ』」

「特徴…」

「『そ、まずは基本的に他人が魔法の使用することができなくなる…とんでもなく魔力を注ぎ込めばできなくもないけど』」


それは僕もわかっていたことだ。『領域』の段階でもその片鱗はあった。でも、きっとそれだけじゃないんだろうな。こいつがこんな風に思わせぶりなことを言うものだから


「『そして…ここからは発動する人によって違うんだけど、「世界」それぞれに特殊なルールがあるんだ』」

「ルール?」

「『そ、みたところ君の「世界」はそこが不十分だね』」

「今でもかなり強力なんだけど…これ以上があるっていうのか?」

「『そうなるね…ま、それはおいおいわかるよ。でも、今回流されてしまったのはそれが原因。僕の「世界」に押し負けてしまった』」


だから僕の『世界』の効果でイワナガの魔法が消されなかったんだわけだ。水圧に当たってしまって吹き飛んでしまったけど、それでも効果はあったらしく思ったよりもダメージは少ない


「『それでもよく立ち上がるな』」

「もう…折れないって決めたからね」

「『ふ−ん、ま、ならもう少し足掻いてよ』」

「見せてやるよ!『電気鎧(armor)第五形態(fifth)』」


走る。距離を詰める。水に流される直前にいたところまで行ければいい


「『電気の世界(world)』」

「『これが君の「世界」か』」


今度は僕の『世界』にイワナガを閉じ込める。これでこいつは魔法を使うことができなくなったわけだ。そして、僕はさっきゴブリンを屠った魔法を使う


「『(thund)(ervolt)』」

「『おお、すごい。でも…『水の世界』』」


僕の『世界』とあいつの『世界』がぶつかり合う。最初は拮抗していたけどしばらくしたら僕の方が押され始めた。


「『甘いね、「乱気流」』」

「!」


空気が荒れ、風が吹きすさむ。そして、僕が作り出した電撃は風に流されてしまう。そして結局イワナガに届くことはなかった


「『すごい魔法だね。でも残念』」

「真空中でも電気は流れるはずだろ…?」

「『うん、僕の魔法で捻じ曲げた(・・・・・)だけさ』」

「そんなことが…」


でも、それを聞いても僕は絶望することはなかった。そっか、それなら


「お前の魔力が切れるまで撃ち続ければいいのか?」

「『我慢比べか…別に構わないけど魔王と魔力比べとか正気かい?』」

「正気じゃないから僕はここにいるだろうが」

「『それもそうだね』」


お互いに距離を取りながら言葉を投げ合う。もうお互いに『世界』は消えてしまっている。


「『じゃあ…我慢比べ、する?』」

「ああ、やってやろうじゃないか」


僕は自分の魔力量だけは自信がある。だから…たとえ魔王が相手でも負けることはない

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