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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第8章 魔王誕生
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シェミン先輩の故郷

今回より第8章が始まります

神無月一週目水曜日


「はぁ…やっと着いた」

「あそこがシェミン先輩の故郷…」

『そして、「土」の精霊がいるところよ』


僕らはとある村に来ていた。イフリート曰く、シェミン先輩が生まれた場所。そしてなんの偶然かそこには精霊の契約者がいるみたいだ。イフリートは偶然だって言っていたけど僕は少しだけ作為的なものを感じた。でもここにシェミン先輩はいるのだろうか。


「先輩の正体は知られていたのかな」

『どうかしらね…でもこの世界の人間は基本的に吸血鬼に対して憎悪の感情を抱いている…あなたの望む答えが来るとは思わないことね』

「それもそうか」


そんなことを話しながら僕らは村へと入っていく。えっと、入るためになんか許可証とかいるのかな?いやこんな田舎だし別に問題ないか


「すみませーん」

「誰か居ますかー?」


とりあえず声かけをしてみる。うん、挨拶は大事だよね。まずは僕たちに敵意がないことを知らせないと。挨拶はそれを知らせるかなり有効的な方法だもんね


声かけをしながら一番大きな家のところに向かっていく。村長さんとかは大きな家に住んでいるものだって僕は思っているのでそこを目指す。でも、今外には誰一人として出歩いていないのは少し不思議だな。まるで何かに怯えているように


『どうやら、私の存在に気づいたようね』

「ああ、それで」


一番大きな屋敷から一人の女性が出てきて僕らの方に歩いてきた。メイド服に身を包んだ女性だ。その女性は僕らの目の前に来るとその口を開いた


「こんにちは…この村に何かご用でしょうか」

「…」


僕とクレアは顔を見合わせる。これは…歓迎されているとみていいのだろうか。それともこちらの出方を伺っているのだろうか。あたりに人が潜んでいないか感知魔法を使いたいけどここで魔法を使うのはどう考えても悪手だろうし我慢するか


「えっと…この村の村長さんに会いたいんですけど」

「会ってどうするつもりですか?」

「え?」


聞かれたにもかかわらず何も答えないのはさすがに不親切なので僕らは手短に答えるとさらに質問される。まあ村長さんというか精霊に会いたいんだけど…契約者が誰かわからないし村長さんに話を通しておいた方がいいと思ったから来たんだけど、これ、どこまで話していいものやら


「えっと…できれば極秘に話したいのですけど」

「ご用を聞かない限りはお会いさせるわけにはいきません」

「まあそうなるよね」

『精霊はあの屋敷にいるのは間違いないしもう直接話したらいいんじゃない?あんたらに腹の探り合いなんて無理よ』

「…それもそうか。あの、僕たちはこの村にいるという精霊を訪ねに来たのですけど…その契約者と話をしたくて」

「…!」


あ、これ返答まずったか。僕が答えた瞬間、目の前の女性から敵意を感じる。これ戦闘を避けることはできそうにないよな


「では…なおさら主人とあわせるわけにはいきません」

「なんでですか!僕たちはあなた方に危害を加える気はありません」

「問答無用!『風』」

「ちっ」


僕とクレアは斜め後ろに飛んで相手の魔法を避ける。使われた魔法からこの女性のスキルは『風』で間違いないだろう。でもなんで精霊に会いたいって言っただけでここまで敵意を向けられるんだよ


『まあ契約者を殺して代わりに自分がってのはよくある手法だからね〜ダンジョンとかを攻略するよりもよっぽど楽だし』


ま、それで契約する精霊なんて稀なんだけどね。って言われてもそれって僕らが精霊目当てにやってきたみたいじゃないか…いや間違っていないんだけどさ。


「『電気の領域(field)』」

「!」


『領域』を発動させて魔法を吹き飛ばす。さて、どうやってこの人の無駄に傷つけることなく戦闘力を奪えばいいだろうか。ってそれよりも


「『熱探知』…後ろに10…20」

「おっけー『感知(feel)』」


うわぁ。後ろに多数の反応があるよ。ここまで敵意を出されたら僕たちも反撃したところで正当防衛として問題ないよね。それじゃ、


「面倒くさいし全員倒すか」

「ま、それが楽だな」


そしてお互いに拳をあわせる。もしかしたら精霊使いとの戦いもあるかもしれないので余計な魔力消費を抑えるために


「『電気鎧(armor)第四形態(force)』」

「『炎の鎧・連動(next)』」


互いに互いの魔力を渡し合う。だってこうすれば


「『創造(creat)』」

「『発火』」

「ぎゃあああああああああ」


建物の隙間に隠れていようが砂鉄はその隙間を縫うように入り込むことができる。そしてクレアの魔法によって爆発させれば効果的に敵を倒していくことができる。


「おっと」

「数は減らせたけど全員は無理だったか」


僕らに水やら風の刃やらが飛んできた。どれも遠くから攻撃されたみたいだ。うん、近場は正確に攻撃できたけど遠くだと少しコントロールが甘くなっちゃったね


「要練習かなぁ」

「別にいいよ。充分充分」


こちらに向かってくるのはあと5人。あれくらいなら僕かクレア一人ででも戦えそうだな。それに…


「あなたも忘れたわけじゃないですからね」

「!…死角からの攻撃を」


後ろからの攻撃を避ける。いやだって今僕『領域』を使っているからね。うん、じゃあこの流れに則って


「僕がこっちやるからクレアは後ろをお願い」

『爆発させる時は私が支持を出すわ…二人とも準備をしておいてね』

「「了解」」

「?…あなた達以外にも誰かいるのですか」

「さてね…『放電(thunder)』」


電撃を放てば女性は体をひねって避ける。さっき後ろにいた男達はほとんど対処しようとしていなかったのに対してこの女性はきちんと動けている。だから村長の側にいることができるのかな


「『風纏い』」

「飛んだ…ごめん、クレア『電気鎧(armor)第五形態(fifth)』」

「勝手に解除しないでくれるかな!」


後ろでクレアがなにか言っているけど無視する。だってもう残り一人まで追い詰めているんだもの。だから僕は地面を強く踏んで高く飛ぶ。


「空を…飛べるのですか」

「ええ、そうですよ」


僕が飛べると思っていなかったのか驚いている女性の顔をなぐ…ったら多分まずそうなので女性の腕を掴む。


「うぐっ」

「…これでいいか」


僕の体に触れたことでスタンガンを受けたみたいになって気絶している。このまま突き落とすわけにはいかないので僕は手を離さずに落ちていく。これが男だったらもう少し雑に扱うのにな


『相変わらずの初見殺し性能よね〜でも突き落としても良かったのに』

「落としてたら間違いなく死ぬでしょ…それにクレアもほとんど軽傷で抑えているし」

「僕らは戦いに来たわけじゃないからね」

「さて、起こすか」

「うっ」


魔法を全て解除したのち、少しだけ指先に電気を集めるとそれを女性の腕に当てる。これで目が覚めるといいんだけど…あ、起きた


「…私は、負けたのですね」

「さて、僕たちが勝ったので案内してもらえますか?」


別にそんな約束をしたわけではないけれども勝ったものとして当然の権利とばかりにお願いをする。勝てばなんとやらだ


「…わかりました。案内します」


女性はスクッと立ち上がると何事もなかったかのように僕らを案内する。それと同時に館からもう一人別のメイドが現れてクレアが気絶させた男達の治療に当たり始めた


『どうやら最初から決めていたようね。ま、あいつらしいといえばらしいか』


なら僕らにも最初から教えてくれていたら良かったのに。まあイフリートもそうなように精霊ってみんなこんな感じなんだろうか


『なんだか納得いかない』

「シバ様、客人をお連れしました」

「…ようこそお越しくださいました…ソニア、お前は下がっていなさい」

「はっ」


館の中のとある一室に僕らは案内されるとそこには一人の老婆がいた。シバさんというのかな。そして僕らと戦ったメイドさんがソニア。そして…


『あら、一人じゃないのね』


老婆の上に漂っている少女、あれが「土」の精霊、ガイアか。

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