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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第7章 第32ギルド
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夢を越えるとき

長月二週目日曜日


さて、やるべき事は決まったわけだけど、実際どうしようかな。生半可なことをしてしまうと返り討ちにあうのは目に見えているしな僕が楠に勝っている点を探してみようかな


「『現鏡裏うつつきょうり』」

「やべっ」


考え事に熱中していたら楠の魔法が飛んできてしまう。あ、と虚をつかれた瞬間には僕の魔法は全て消されてしまっていた。試合に集中していないからこうなっているわけだし、ええい、もうやるしかない


「『創造(creat)』」

「?、あの厄介な魔法を使わないんだね」


隙を作らなければいけないわけだからね。一回しか使えないけれどもちょっと思いついた事もあるし、これがうまくいったのならかなり崩せる事ができるはずだ


砂鉄を剣の形にするのでは無く、むしろ小さな槍というかちょっとしたものの形にしている。そしてそれにいつもより少しだけ多めに僕の電気を与えておいて…そのまま上に放り投げる


「?、何をしたとしても無駄だよ『夢の世界へ』」

「『誘導(root)』」


あとはちゃんと策が発動する事を祈るだけだ。あんまりこういう運任せみたいなことをしたくないんだけどね。それに初めての事だし…まあこれは負けても許される模擬戦だからって事で自分を納得させよう。


「ふぅ、意外としぶとかったけど、これで僕の勝ちだね」

「おおおおおお」


楠は踵を返した…らしい。これはイフリートからあとで聞いた話なんだけどね。僕が倒れたのを見て勝負が決まったと思っていたとか。まあ楠だけでなく、その場にいた人たちがほぼ思っていた事らしいんだけどね。


そして僕が放り投げた砂鉄がそのまま自由落下に従って僕が倒れた付近に落ちてくる。そして僕にぶつかると思ったその瞬間、砂鉄がバラバラに別れる。そして…


「え?」


楠は後ろから聞こえてきた爆発音に反射的に振り向いてしまう。そこで彼が目にしたものは多少の土煙とそして


「…どこ行こうとしているんだよ」

「!!!」


地面に強くたたき付けられる感触がして、僕は意識が無理やり覚醒するのを感じた。どうやらうまくいったみたいだ。そのまま流れるように『電気鎧(armor)第三形態(third)』を発動させる。そして動け無くなっている体を無理矢理動かして楠に近づいてそのまま殴る。一瞬だけ唖然としていたその隙をつくことができて僕の拳は楠に命中した


「うぐっ…なんで」

「はぁ…はぁ…」


気を抜いてしまうと体が地面に倒れこんでしまいそうだ。だってそうだろう。『電気鎧(armor)』の防御が何もない状態で爆発をモロに受けたのだから。僕がしたことは簡単であらかじめ『誘導(root)』を使用しておいて条件が揃えば砂鉄の『解除』と『爆発(dynamite)』を発動するように仕掛けておいた。条件というのは放り投げた砂鉄が僕に接触するということ。だから多めに僕の電気を流しておいた。


爆発することによって僕は空中に投げ出され地面と激突する。その時の衝撃を利用して僕は意識を覚醒させる。眠っている時に急に衝撃が来た時に目が醒めるような感じだよ。車とかで急ブレーキを踏まれたような感じだよ…シートベルトを締めていなかった僕が悪いです、はい。だってめんどくさいんだもん。良い子のみんなはちゃんと締めなきゃダメだよ!ってことを言ってみる


「なんで…紅君の拳をキャンセルできなかったんだ…」

「だってそれ以外に起こりうる現実がないからね」

「…!」


僕が爆発をしてから楠に殴りかかるまでの間、僕はあえて何も考えないようにしていた。そのように自分の脳内を操作していた。だから他の選択肢が一切発生しなかった。あの時、僕の『領域』を受け流すことができなかったのはそれを防ぐことができなかったから。元々あの魔法を知っていたのが大きかったな


「それでも…その、平気なの?」

「僕の心配なんてしなくていいから…続けるよ」

「…そ、そうなんだ」


あれ?なんでまた引かれているんだ?でもいいや。とにかく、一撃決まったから次を考えよう。やっぱり一撃入れるだけで選択肢が増えるのはありがたいね。あとはタイミングを見越して


「『現鏡裏(うつつきょうり)』」

「おっと…ちっ」


楠に付与されていた僕の魔力が全て消されている。あの魔法、あんな使い方もあるのかよ


「『放電(thunder)』」

「『夢現の狭間』」

「『自己活性(heel)』」


長期戦になりそうな気配をひしひしと感じるので回復魔法を利用する。お互いに防御能力が高すぎる。クレアと似たような感じじゃないかさらにたちが悪いことに僕が何もできないってところなんだけどね。


「千日手だね」

「なにそれ?」

「将棋とかでたまにあるやつだよ。同じことが繰り返されること」

「へ、へえ…」


急にそんなことを言われてもっていうのが正直な感じだな。でも同じことが繰り返されていることは同感。だから次の選択肢を考える必要があるわけで


「『放電(thunder)』」

「くっ…」


にしても楠のやつ、全然こっちに攻撃魔法を放ってこないな。まあその分策を練れるからいいんだけど…うーん、全ての攻撃を無力化されるっていうのはやっぱりかなり厄介だな。クレアとなら多少手ごたえがあることがあるからまだいいんだけどね


「『電気の領域(field)』」

「?…僕はまだ魔法を放っていないよ」

「『創造(creat)』」


砂鉄を集める。『領域』を展開していることでかなり多くの砂鉄を集めることができる…でも少し足りない感じかな


「まさか…」

「『電気鎧(armor)複合(mix)第三形態(third)第五形態(fifth)』」


自分の両手を合わせて電気を循環させて体に莫大な電気を溜め込む。その莫大な静電気力を扱うことで僕が操ることができる


「え?まさかこの辺り一帯を全部爆発させるつもり…?」

「これなら、防ぎようもないでしょ」

「正気!?『夢の世界へ』」


焦っているのか僕の魔法を解除する前に催眠魔法を放ってきた。ここで魔法解除を放ってきたとしても…いや多分大丈夫なはず。砂鉄を振り回し続けて楠がこちらに攻撃できないようにする。攻撃は最大の防御だ。


「『夢現の狭間』…はぁ…」

「『解除』そして…『爆発(dynamite)』」


砂鉄を辺りに錯乱させて爆破させる。これで僕と楠はお互いにもろとも爆発する。これで終わりだ


「まだ…諦めない『現鏡裏(うつつきょうり)』」

「!砂鉄に纏わせてる(・・・・・)電気を消し飛ばしたのか…でも『閃光(flash)』」

「うわあああああああ」


爆発自体は失敗したけれども目潰しは成功した。そのまま地面を蹴ってかなりの加速を得る。そして…楠に向けて一撃を与える


「これで、どうだぁ!!」


もう邪魔されることなく、もう一度僕の拳は楠の顔面に命中する。そのまま楠は吹き飛んで…そして起き上がってくることはなかった。


「はぁ…はぁ…」


膝から崩れ落ちそうになる。それでも僕は意識を保ち続けた。起き上がってこないということは…そうだ、僕は勝ったんだ!次があると信じて…よかった


「まじか…」

「あいつ…何者なんだ?クスノキに勝ちやがった」

「クスノキ君が負けるなんて」


観客たちもざわめいている。だって誰も僕が勝つなんて思ってもいなかったのだろうな。


「おめでとう…ミライくん」

「はぁ、クスノキも負けたのか…いやどうこう言うつもりはないよ。待ってもらったのはこっちだ」

「シェミン先輩、アクアさん」


僕らに近づいてくる影が三つ。アクアさんの言葉からすればシェミン先輩が勝ったということになる。これでうちのギルドは二連勝、よっぽどのことがない限り予選突破は確実だろう


「おめでとう…で、申し訳ないんだけど、僕たちと戦ってもらえるかな?」

「…」


そして、近づいてきた最後の一人、ハジキさんから次の試合の申し込みを受ける。まあ、そうなるよね

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