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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第7章 第32ギルド
271/317

予選開始・最初の友、天衣と激闘

長月二週目火曜日


「ふぅ」

『ミライ〜頑張れ〜』

「準備はいいみたいだね」

「まあねってまさか本当にお前と当たるとは思わなかったよ」

「ははは」


僕と天衣は少し距離をとって試合会場に立っている。なんとなく予想していたけれどやっぱり天衣と戦うことになりそうだ


「一年生で代表入りかよ」

「それを言ったら紅もじゃん」

「僕の場合は繰り上げだっつーの」


まあ仮に先輩たちがいたとしたら…ああ多分無理だ。サリア先輩とかに勝てる気しねえもん。


「本来なら俺はシェミンさんと戦って紅はハルさんのつもりだったんだけどどうしても俺がお前と戦いたいって言ってね」

「まあ確実に勝利したいならな」


どちらかに勝てればいいのだからそりゃ倒しやすい方である僕とハルさんが戦えばそっちの勝率はかなり高いことになるだろう。当たり前の話だ


「でもハルさんもシェミンさんと戦いたいって言っていたしね…なあ、あの人ってそんなに強いのか」

「強いよ…それに天衣一応言っておくとシェミン先輩が必ず勝つからな」

「紅がそこまで言うなんてね」

「まあお前からしたらハルさんが勝つと思うだろうけど…」

「いや、始まる前にハルさんに言われたよ。この試合僕が鍵(・・・)だって」

「うわー」


あの人かなりどSなのかな。天衣にそんなことを言うなんて確実にプレッシャーに感じてしまうに決まっているじゃないか。いや、そもそもそれくらいなら跳ね返すのかな?


「つまりこの試合に勝った方が」

「ギルド対抗戦で一勝をあげることができる」


とてもシンプル。まあもしかしたらハルさんがシェミン先輩に勝つ可能性だってある。あ、そっか。むしろそれで天衣が気が抜けちゃうことを危惧したのかな?でも絶対にそんなことはありえないけどね


「そういえば新人戦優勝おめでとう」

「ああ、ありがとう…でもさ、なんか物足りないなって感じているんだよ」

「へえ?」

「お前がいなかったからな」

「いたよ」

「いや…黒龍と戦って意識不明になっていたんだろ?知ってるって」

「まあ、そうだけど」

「だから…お前に勝って本当に優勝したんだってことを実感したい。そのためにお前と戦いたい買ったんだよ紅」

「そっか…」


ほら、こうなる。確かに意識不明になっていたけど…それも含めての試合じゃん?でもそこまで僕のことを買ってくれているのならそれはそれでなんか嬉しいな。僕も本気で戦わせてもらおう


「それじゃあ、始めようか」

「ああ…いつでもいいよ」


僕らは互いに距離を取りながら構えを取る。天衣とは一度も戦ったことはないけれどもこいつのスキルは知っている。4大属性のうちの一つ、「風」。多分遠距離戦闘が得意だろうからいかに接近戦に持ち込むかが勝利の鍵だな


「『電気鎧(armor)第三形態(third)』」

「『鎌鼬』」


まったく同じたいミグで魔法を発動する。天衣が使ったのは『鎌鼬』。風の刃が飛んでくるけど…別に避けられないわけじゃない。避けながら天衣に近づいていく


「うわっ、余裕で躱されてる…ならこれはどう?『真空』」

「!」


突然体が横に流れた。何が起きたんだ?でもすぐに体勢を立て直して走り出す。でも、思うように速度が出ない。後ろに引っ張られている感じがする


「後ろに何かあるのか?『放電(thunder)』」


後ろに向かって電撃を放ってみても引っ張られる力が消えることはない。つまり物理的なものは何もないのか。天衣をきちんと意識しながら後ろを振り返ってみても何もない。あれ?どういうこと?


「ふきとべ『風の舞』」

「うおっ」


足を止めてしまっていたのが失敗だった。地面からの突風に吹き飛ばされて上空に投げ出される。天衣の位置は…


「『空気砲』」

「ちっ『電気の領域(field)』」


天衣から僕に向かって風の塊が射出される。風というだけあって砂鉄を集めることもできないし…そもそも空中にいるから集まるのに時間が掛かる。なので『領域』で吹き飛ばすしかない


「これが…『領域』」

「へえ、『領域』を知っているんだ」


吹き飛ばした後、追撃が来るのかと身構えていたけどそれをしてくる気配がない。僕が着地するまで待っててくれるみたいだ。


「僕も、その力欲しいからね」

「まあ天衣なら大丈夫だろ」

「そうだといいんだけどね」

「『放電(thunder)』」


適度に電撃を放ちながら天衣から距離を取る。距離を取るのはまずいのだけど無策に突っ込んでしまったらまた同じような展開になる。まずはあの引っ張られる力について謎を解き明かさないと


「『真空』」


また来た。でも今度は逆に引っ張られる感じがする。これってまさか引力とか斥力とかを利用しているのか?いや、常に引っ張られている感じがするから引力だけだな


「くっ『創造(craet)』」

「砂鉄を集めてどうするの?」


というか風が吹いているせいでまともに集まらないんだけど。僕が考えたのは砂鉄を杖みたいにしてそれを地面に突き刺すことでこう支え?みたいな感じにできないのかなって思っただけだ。でもそもそも砂鉄が集まらないのなら意味ないよね。その砂鉄も一点に向かって飛んで行っているし


「ん?」

「『鎌鼬』」

「おっと」


風の刃が飛んでくるから避けようとしたけど足がもつれてしまい左腕が少し切れてしまった。でもまあこれくらいの怪我なら全く問題ない。それよりも、もしかして


「空間の一部を真空状態にしているのか」

「あはは、まあ『真空』って名前だしバレるよね」


真空状態になれば空気はそこへと流れ込んでいく。えっとこれはいわゆる気圧の関係かな。冬場とかで暖かい場所から冷たいところに出ようとした時に扉が外開きなら扉がやけに重たいっていうことがあるけどあれを突き詰めた感じかな。まあ空気が”ない”ところがあればそれを埋めようとするのは自然だよね


「空気の流れを作り出せばいいって思ったからね」

「それを考えて作り出したのかよ」


でも、これでタネがわかった。確かに電撃を放っても意味なかったな。一応真空中でも電気は流れるみたいだけど流れたところで特に意味がないからね。


「そ、これで紅の動きを止めるよ」

「止めるもんなら止めてみろよ」


真空状態に長いことできないはずだしそもそもどうやって真空状態にしているのかわからないけど今までの感じだと少し耐えれば元に戻るからその隙をついていけばいいのかな?


「『空気砲』」

「くっ」


風の塊が飛ばされる。これは陽動かな?なら次の動きを見るためには…


「『真空』からの『空気砲・連弾』」

「連続で打てるのかよ」


僕と天衣の間に真空の空間が生み出されてそこに体が流れていく。一方で天衣の頭上にはいくつもの風の塊が浮かんでいる。それが一斉に送り込まれたら確かにやばいな。あそこまで数を増やしているのはおそらくだけど『領域』警戒だろうし…なら、それに乗ってやるか


「『電気の領域(field)』」

「それで弾くことができるのには限りがあるよ」

「別に弾くのが目的じゃないんだよ『創造(creat)』」

「ここで砂鉄を…?でも」


そう、砂鉄は風に流されて真空のところへと集まっていく。ま、これが狙いなんだけどね。あれから何度か練習したんだけど集めるという作業に集中しすぎると次の動作がかなり遅れてしまう。だからクレアの助けがどうしても必要だったんだけど…これなら勝手に集まってくれる。だから少しだけ電気を操るだけで真空のところに砂鉄が埋め尽くされる


「『電磁砲(レールガン)』」


その塊を天衣めがけて思いっきり放出する。天衣も負けじと空気砲を射出して…僕らの互いの砲撃がぶつかりあった。

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