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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第7章 第32ギルド
268/317

一ノ瀬が人気である所以

総合評価が200pに到達していました!

ありがとうございます。これからも頑張ります

長月一週目風曜日


「はい、そこまで…ってクレアも人のこと言えないじゃん」

「いやそれは…ほんとごめん」


僕と一ノ瀬の戦いの後クレアとフランさんが戦った。驚いたのはフランさんのスキルも「炎」で一ノ瀬と同じだったこと。まあだからメイさんは自分のスキルを「火」で誤魔化していたってところなんだろうな。姉妹で同系統のスキルを持っていますよってなれば周りの人に誤魔化しやすいし


そんなわけで行われたクレアとフランさんの戦い、それは僕と一ノ瀬の時と同じようにクレアの圧勝だった。そして僕の時と同じようにクレアがフランさんに致命的なダメージを与えようとしていたので僕が止めに入ったという感じだ。クレアのやつあんなに偉そうに言っていたのに結局自分もやばいダメージを与えようとしていたじゃないか。


「いやほんとごめんね…フランさん」

「私は構わないんだけど…それよりもクレアくんも強いんだね」

「お前ら…いったいどんな生活を送っていたんだ?」

「いや…」


というかこういうと失礼なんだろうけどなんでこんなにも差が生まれてしまっただ?僕らがしていたことっていったらダンジョンを攻略してクローン問題に立ち向かって風の国の内乱を抑えようとしたぐらいだけなんだけど…


『まあ命がけの戦いを経験しているかどうかじゃないかしら?学生は比較的そんな経験をしないものよ』


それなのかな…ってかそれなのに僕に勝つことができた楠がおかしいのか。いやあいつもあいつでそこそこの修羅場をくぐっていそうだしな。


『でもあなたの今の考え方は非常に傲慢よ。気をつけておきなさい』


…まあ、それはそうだよね。確かに今の僕の発言はいろいろな人を侮辱している。僕がされたら嫌なことを自分がしているなんて自分が嫌になる。


『むしろ今気がつくことができてよかったわよ。これから気をつければいいわ』

「そっか…まああれだよ。僕たちも学校に行っていない間いろいろと頑張っていたってことだな」

「それ意味なくない?なんのために学校に来てるんだよ」

「そうですね」


はい、完全論破されました。辛い


「俺としてはその力の秘密を知りたいんだけど」

「ごめん、言えないんだ」


だってその話をするためにはクレアがイフリートと契約したことや「命」の国や「風」の国のことについて話をしなければいけないわけだからね。あんまりたくさんの人に話していい内容じゃないもんな


「秘密か…でも今あなたたちの実力を知ることができてよかったわね。あ、もしかして二人とも強いからサリア先輩とかが注目しているのかな?」

「あー」


それは僕らの実力というよりは僕がシェミン先輩と関わっているからという側面が強いだろうな。あの二人仲いいし。


「ところで」


僕はサクヤの方を向く。そもそも僕たちがこうして戦ったのにはサクヤのお眼鏡に叶うのかどうかっていうのが始まりだったわけである


「サクヤ、どう?僕たちと戦いたくなった?」

「…いや、今はやめておく」

「え?」

「ちっ、無自覚かよ」

「ははは、ミライくんとクレアくんってかなり残酷だよね」

「どういうこと?」

『はぁ、これがいわゆる世間を知らなかったことによる周りとの摩擦ってやつよ』


あー。うん、なんとなく言いたいことはわかった。帰ってきて早々、一ノ瀬やフランさんを圧倒してしまったからね。サクヤにとっては同じくらいの実力として認めていた二人をいとも簡単に負けさせた僕らが何も考えもなしに「模擬戦しない?」って言っていたらそりゃ気分も悪くなるよね。


『そうよ。忠告しておくけどあんたたちのこれまでが異常だっただけよ。いい、私のダンジョンにいたのは国の精鋭、「命」の国や「風」の国はこの世界を…魔族の王さまなのよ?強さのレベルで言えば最高峰だと言っても過言ではないわ。感覚が狂っているのよ』


そっか。気をつけないといけないね。知らぬ間に…僕は強くなっていたのか?いや違う。今の一ノ瀬たちが普通なんだ。多分だけどクレアと出会わなくてイフリートに招かれることもなかったらきっと、僕はあんな感じだったんだろう。


「さすがに、酷かったかもな」

「そうだね」

「ま、まあサクヤくんもわかってくれるよ」

「ありがとう、ミロンさん」


ミロンさんにお礼をいう。その時に、クレアと目があった。その瞬間にクレアはどんなことを考えているのかなんとなく理解できた。多分、僕と同じことを思っている。例え僕たちがクラスメートたちと比べて強いのだとしても…まだ足りない(・・・・・・)。ここで胡座をかいてしまったら王たちに勝つことなんて絶対に無理だ。もっと、もっと強くならないと


「なあ、悪いけど…俺との模擬戦はしばらくなしにしてもらえないか?」

「あ、それは私も…本当にごめんね」

「いや、いいよ」


本当は僕らにいろいろと言いたいことがあるのだろ。何かを言いたそうな表情をしている。でも、彼らは何も言わない。ああ、確かに戦いは僕らが勝ったけれども、その他の…例えば人間性とかにおいては僕らの完敗だ。もし、逆だったら…あんなに頑張っていたのにこの人たちに負けたとしたら、彼らと同じように接することはできただろうか。いや、多分だけどできないだろうな。ああ、だから一ノ瀬は人気なんだろうな。僕なんかが勝てるような相手じゃなかった


「一ノ瀬、ごめん」

「いいって、気にすんなよ」

「いや…うん、それでいいよ」


まあ僕のくだらない嫉妬をしていたってことを謝りたかったんだけど言葉が足りなかったみたいだね。でもなんとなくだけどわかってくれてる気がする。僕が言った瞬間、少しだけ一ノ瀬の表情が変化したから。


「やっぱお前すげえわ」

「え?」

「なんでもない」

「それじゃあ俺は帰る」

「ああ、じゃあなサクヤ、一ノ瀬、フランさん、ミロンさん」


彼らが帰っていくのを見送る。はぁ、せっかくいい対戦相手を見つけたと思ったんだけどな。


『まあ今の実力がわかってよかったでしょ?』


まあ、それはね。僕がどれだけ恵まれていたのかってことがよくわかったよ。もしかしたらもっと弱かったかもしれない。でもそれはいい。何より怖いのはその弱さを実感できていなかったのかもしれない。世界にはもっと強い存在がたくさんあってそれらはいつ自分の近くにいるのかわからなくて。気がつくのが遅かったらきっと、すぐに死んでしまっていた。特に僕みたいな普通の能力は


『はぁ』

「なんでため息をついているんだ?」

『別にいいわよ。それで?これからどうするの?また振り出しに戻っちゃたわよ』

「いや、先輩たちが戦ってくれるっていうし確実に進んでいるよ」

「そうだな。でも今日はもう遅いしグレン先輩のところに行くのは明日でいいかな」

「だね。クレア」

「わかってる」


そして僕とクレアは互いに距離を取る。やっぱり考えていることは似るみたいだ。まだちょっと消化不良感があるというかちょっとモヤっとした感じがあるからそれを晴らしておきたいよね


「それじゃあ行くよ、クレア」

「それはこっちのセリフだっての」


そして僕らはしばらくの間、考えることを中断するかのように、考えたくないことを考えないようにするかのように全力で戦いあった。お互いの魔力が尽きるまで、戦い続けた。…うん、やっぱりクレアは強いや

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