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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第7章 第32ギルド
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これからの相談

ブクマ、ありがとうございます

長月一週目水曜日


「イフリート」

『何かしら?』


いつまでも引きずるわけにもいかない…というわけでイフリートに声をかける。やりたいことがあるから


「クレアは今、どこにいるんだ?」

『ん?ああ、旧修練場で魔法の練習でもしてるんじゃない?行けばきっと戦えるわよ』

「ありがとう」


心を読まれてしまったのは少し悔しいけどこの理解度の速さはとてもありがたい。楠に負けたから、それを乗り越えるために今はとにかく体を動かしたかったから


「すぐに動いて…大丈夫?」

「はい、大丈夫ですよ。今回はそこまで魔法に当たったわけでも殴られたわけでもありませんでしたので」

「そう…」


今回の戦いで唯一良かったことは僕はいまほとんど疲れがないってことなんだよね。楠から受けた攻撃は『ナイトメア』の二回のみ。そして僕は眠ってから多分だけど追撃をされていない。僕が寝た時点で僕の負けということになったのだろうか。ふっ、甘いやつめ。勝負は相手を殺すか動けなくするまで続く…あ、僕動けないじゃん。


『なに一人で解決してるのよ』

「別にいいだろ。口に出してないし…とにかく、シェミン先輩大丈夫ですから」

「…」


まだ何か言いたそうにしていたけど僕はそれを振り切って外に出る。帰ってきたらちゃんと謝ろう。


『勝つまで戦うの?』

「そりゃあね」


だってそうだろ?負けてしまったのなら勝つまで修行を積んで、勝つまで戦えばいい。負け犬が何かしている?それはほっとけ。「結果」が全てな現実ではあるけれども「終わり良ければすべて良し」という言葉があるように終わりが勝ちならばそれでいいじゃないか。過程も大事だけど結局は結果。だから負けの結果を勝ちに塗り替えてやる。それでいいじゃないか


『ふふっ、そしたら今度は向こうの挑戦を受けないといけないわね』

「それは…当たり前のことだろ」


ああ、そうか。僕が勝ったということは楠は負けるというわけでそれならば今度は楠が勝つために努力をするわけで、その努力を他でもない僕がなかったことにしてはいけないな。って、なにを勝つ前から言っているんだって話だけどさ。


「だから、クレアは待ってくれているんだよな」

『やーっとわかったのね』


クレアが以前言っていた「待っている」の意味、純粋に僕が強くなることを待っているのかと思っていたけれどもそれだけじゃなくてまた戦う時を待っているっていう意味だったんだな。まったく、あいつはすげえや。この世界に来てあいつと知り合えて本当に良かった


『感傷に浸るのもいいけどちょっと気持ち悪いわよ』


それはわかっていても言わないで欲しいなぁ。ま、確かにちょっと湿っぽくなってしまったのは僕らしくないな。明るく、常に前を見続ける。それを目指していこう。じゃなきゃ…イヨさん達にも怒られちゃいそうだし


「クレアー」

「あ、ミライ、来たんだな」


そして旧修練場にいるクレアに話しかける。クレアはなにも言わないで僕から距離を取ってくれる。さて、それじゃあ戦うとしますか







『うーん、ま、これで満足かしら?』

「ああ、ありがとうクレア」

「別にいいよ」


あー楽しかった。やっぱり人を殴ったり殴られたりってのがないと戦っている感じがしないもんね。というか体を動かさないとなんかモヤモヤする。


『ちょっと発言がアレだけど…まあ気分が晴れたのはいいことね』

「え?」

『はぁ』


いやいやいや。イフリートに呆れられたけどなんでだよ。自分の発言?を振り返ってみる…あー確かに戦闘狂みたいな発言をしているな。僕そこまで武闘派とかそういう感じじゃないんだけどね


「どんなことを言っていたんだ?」

『それがねー』

「うわぁ…」

「クレアまで…」


そしてイフリートもイフリートだよ。なんでそう簡単に僕の心情を暴露していくのかなぁ。お前には他人の頃を慮るような感性を持っていないのか


『ミライに遠慮なんてしなくてもいいでしょ?』

「なんかムカつくなぁ」


まあ…僕よりもイフリートの方がはるかに立場が上なのだから仕方がないのかな。なるほど、これが所謂暇を持て余した神々の遊びってやつなのか。いや、神々っていうかむしろ精霊か


『あんたの私たちに対する認識はなんなのよ』

「えぇ…ここはお互い様っていうことで」

『全然お互い様じゃないわよ』

「それは…すみません」


イフリートをからかうのもこれくらいにして謝罪しておくか。クレアも止めようとせずにこっちをみて笑っているし。いやお前イフリートと契約しているのなら少しぐらい止めに入らないのかよ


「止めた方が良かった?」

「いや…もういいよ」


そんな風に悪気なく言われてしまったらこちらも毒気を抜かれてしまう。もう何も反論する気になれないので僕は黙っておくことにした。言わぬが花ってやつだ。


『さ、気分転換ができたのならこれからのことを考えましょう』

「それもそうだな」


ふう、楠に勝つためにはどうすればいいのかってことだよな。いや楠だけでなくこれからの戦いにおいてどうすれば負けることを少なくできるかってことだな。初見殺し、それは僕の特性でもあるから意識していなかったけれどももし相手に僕と同じような使い手がいたとして、どうすればいいんだろうか。その場の思いつきで戦ったとしても楠の時のように()の実力で勝敗が決してしまうのだけは避けたい


『まああんたのは初見殺しとは言ってもやや防御よりだしね〜』

「逆にあいつは両方特化だもんな」


それでも…一度戦ったからわかる。まだ付け入る隙がある。あいつは確かに強い…でも、はっきり言えば吸血鬼の王の方が強い。だから、まだ戦える


「うーん、全部『領域』で吹き飛ばすとか?」

「それを徹底すればある程度は戦えそうだな」

『でもそれだけじゃあ厳しいわよ。そもそものパターンを決めておかなくちゃ。それに吹き飛ばしたら意味ないじゃない』

「「だよなぁ」」


『領域』を使えば確かに敵の初見殺しなどを防ぐことはできる。でもその魔法の仕組みとかはまったくわからない。なんせ僕は知識が全くないからね…ん?


「いろいろな人と戦って経験を積むとか」

『それは一番確実でしょうね』

「先輩たちにお願いするか」

「そうだな」


でも今から先輩のところに行ったとしてもすぐにあって話をすることはほとんど無理だろうなぁ。理由は簡単で僕が楠に負けてしまったからだ。あの時、あんなふうに宣言してしまったのに蓋を開けて見れば惨敗。僕のことをかばってくれたサリア先輩には本当に申し訳ないことをしてしまった。そんな僕がどんな顔をして会いに行けばいいのだろうか


『そんなの気にしたら負けじゃない?』

「そんなもんなのか?」

『だってどうせあんた嫌われているんだし』

「…」


身も蓋もない回答を言われる。でも、それが多分だけど間違っていないから辛い。先輩たちに向かってあの態度あれは確実に現実世界…地球だったら嫌われてしまうタイプの人間だ。


「はぁ、わかったよ行けばいいだろ?」

『そうね…まあさすがに今予定が空いているかぐらいはリルに聞いてきてあげるわ』

「ありがとう…クレアも行くよな?」

「もちろんだ」


そういうわけで僕とクレアはサリア先輩たちのいる第一ギルドへと向かうことにした


『大丈夫だってー今すぐにいけば少しだけ時間があるって』

「ありがとう」


そしてなんだかんだで先にアポを取ってくれてる。とてもありがたいな。さあ、やってきました第一ギルド。えっと…大丈夫だよね


「まあ他のギルドに行っちゃいけないっていう決まりはないから」

「あったら先輩たちアウトでしょ」


どれだけうちのギルドにきていたことか。呼び鈴はないからどうやって呼びかけよう…あ、ちょうど出てきた人がいるからその人に話しかけよう


「あのーすみません」

「はい…ってミライくん!?」

「あっ、フランさん!?」


なんと出てきたのはフランさんだった。いやー「命」の国以来だね。


「えっと、どうしてここに?」

「サリア先輩に話があってきたんだ…えっと、中に入ってもいいかな?」

「え?まあ別にいいけど…クレアくんも?」

「僕もミライと同じだよ」


僕らはフランさんについてギルドの中に入っていく。そういえばフランさん今時間大丈夫なんだろか。出かけるところじゃなかったのかな?


「え?まあ私はギルドの人たちとこれから模擬戦をしにね」

「そうなの?」

「対抗戦が近いからね」


フランさん曰く、この時期になると毎年かなりの人が模擬戦をしているらしいのだ。対抗戦は新人戦の時と同様にいろいろな国の重役たちがくる。学生たちにしてみれば願ってもないアピールチャンスになるわけだ。でも対抗戦に出ることができる学生の数は決まっているのでその枠を勝ち取るためにみんな自分の実力をあげるために模擬戦を行っているのだ


「へえ、そうなんだ。ちなみに選ばれるのって何人なんだ?」

「えっと、本線は7人対7人で戦うらしいね」

「え?」


ちょっと待って。それ、ちょっとまずくないか?今更だけど。だって僕のギルド実質二人なんだけど。それでどうやって戦うっていうんだ?レギュリエーションを満たしていない可能性があるんだけど


「まあ最大、ね。それ以下の人数なら別に問題ないみたいだけど…まあ7人よね」

「そうなのか」


それなら安心だ。


「ミライくんももしかしてサリア先輩と戦いたいの?まあ別にいいけど…先輩忙しいからねぇ」

「そっか」


それでも、先輩しかいないわけなので、僕たちはフランさんに案内されてサリア先輩の元に向かう


「サリア先輩、フランです。先輩に話がある人たちが」

「ああ、もうきたのですね。では、どうぞ」


案内された先の扉、それを開けてサリア先輩と話し合いをする。でも、そりゃ戦いたいけど無理だけはしたくないなぁ

感想とかいただけると嬉しいです!!!

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