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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第7章 第32ギルド
260/317

再会するのは何も友人だけではない

本日3話目の投稿になります

ご注意ください

長月一週目月曜日


僕は今、集会の場所でサリア先輩の話を聞いている。


「というわけで、明日から学期が始まります。しかし、しばらくは授業をするというよりもむしろ来月に行われるギルド対抗戦に向けてそれぞれ調整をしていく感じになります」


ふうん、なんか騒がれていたやつって来月に行われるんだな。新人戦みたいに色々と面倒なことにならなければいいんだけど


『どうかしらね?あなたトラブブメーカーだし』

「僕はいつも巻き込まれる側だっつーの」

『あら?そうかしら?』


なんでそこで疑問に思うんだよ。クレアもクレアで僕がおかしなことを言ったような反応をするんじゃない。あ、サリア先輩の話が始まったけれども特にギルドにごとに集まる必要はないみたいで僕とクレアは仲良くボッチで後ろの方で聞いている。他のみんなは基本的にギルドごとに集まっているからね


『なら大人しくしてなさい』

「言われなくてもそうするよ…」


でもギルドごとで戦うって言われてもうちは参加するのかな。そりゃあまあ僕もせっかく転移してこの世界に来ているわけだし他のクラスメートの実力を知りたいという気持ちはある。でも、正直言えば別にいいかな


『あら?そうなの?』

「だって関係ないし…」

「ミライ…」


僕の目的のために…ってあれ?僕の目的ってなんだっけ?ええっと『みんなに自分のことを認めさせるんじゃなかったっけ?』あーそんなんだっけ?ああ、思い出した。確か自分のするべきことを見つけたいってやつだ。でもそれはまあだいたい見つかっているからね。僕は僕のために自分の道を進む


『ええ、あんたはそれでいいのよ…』

「?」


ああ、まただ、またこの感じ。イフリートあなぜだか未来のことになると少しだけ歯切れが悪くなる。なにか気になることでもあるのだろうか。


「では、ギルド対抗戦に参加する予定のギルドは代表者を一名、私のところまでこの後来てください。では、これで終わります」


あ、サリア先輩の話が終わった。ていうかセリア先輩ほとんど喋っていなかったようにも思える。先輩って口下手なのかな。でも風の国では結構喋っていたようにも感じるけど。


「ミライ」

「あ、ハルさん」

「ハルさん、こんにちは」

「お、クレアもいたのか、久しぶりだな」


すると、ハルさんが僕らに近づいてきた。後ろには楠や一ノ瀬の姿も見える。そういえばハルさんって一ノ瀬たち転移者が多く所属しているギルドのマスターだっけ。でもそのハルさんがどうしてここに来たんだ?


「お久しぶりです。それで、どうしたんですか?」

「ああ、サリアに言われてさ、行くぞミライ」

「行くってどこにですか?」

「あーそこからか」


そりゃいきなり行くぞって言われても困りますって。ハルさんはどこから説明するべきか迷うように頭の裏をかいている。でも考えられることがあるとすれば


「ギルド対抗戦のことについてですか?」

「あーまあそうかな。それで今シェミンはきてないだろ?それに2年のあいつらも同様。だからお前が代表になるわけなんだけど…」


え?あ、そっか。今更ながら自分が置かれている状況を把握する。そうだ。先輩たちはほとんど僕とは違うギルドに所属しているからこういうときには頼ることができない。でも代表って言われても


「それでどうするんだ?参加するなら案内するぞ?」

「えっとですね…」


いや参加するならって言われてもいきなりのことなのでそれはシェミン先輩に聞かなければわかるはずがないというかここで僕が一人で決めていいような内容じゃないと思うのですけど


『しょうがないわね。ちょっと聞いてきてあげるわ』


あ、それは本当に助かります。そんな僕を見かねてかイフリートがシェミン先輩に聞きに行ってくれている。でもそれまでここにハルさんを待たせておくのもあれだな。ここは


「わかりました。考えたいのですが、ひとまず移動しませんか?その…視線が」

「ん?視線?あぁ…それもそうだな移動するか。ついてきてくれ」

「はい!…クレアも、大丈夫だって」

「まあ心配してないけどさ、それに、何かあれば助けてやるよ」


すっと、手のひらを上にして僕に言ってくれる。なるほどねぇ、イフリートを召喚してくれるっていう話なんだな。それはとてもありがたい。イフリートがいれば大抵のことはなんとかなりそうな気がするからね。


そして僕はハルさんについていく。時間を稼ぐために僕が話した内容は半分は本当だ。だって僕らの…正確には僕のことを見つめている人がかなり多いもんね。おまけにちょいちょい言葉が聞こえて来る。えっと…なんて言っているのかよくわからないけど、耳をすませてみればいけるか?


「なんでハル先輩があんなやつを?」

「というかあいつって誰?」

「一年生かな?にしても弱そう」

「なんであんな奴を気にかけるんだよ」


なんとまあ、ここまで否定的な内容が多いと思わず笑ってしまうな。聞こえて来る内容は僕に対しての不平不満がほとんどじゃないか。そりゃまあハルさんは有名な人っぽいしそんな人が気にかけている人がよくわからない人間だったらそりゃ勘ぐりたくなるよな。おまけに一年生で転移者たちと違ってよくわからない…だいたい一年で有名になっている奴はもういるわけだしこれ以上いないからね


「あ、思い出した。あいつってクスノキを半殺しにした奴じゃん」

「え?あいつまだここにいたのかよ。退学したんじゃないのか?」

「知り合いを殺そうとしたから退学したのかと思っていたけどまだいたのか」

「でも、よく人を殺そうとしたのにのうのうといられるわね」

「そうだよな、そんな最低の人間がなんでハル先輩を」

「もしかして脅したんじゃないか?」


あ、どうやら僕のことを特定したみたいだな。うわー僕に向けている視線の冷たさがまた一段とひどくなったようにも感じられる。これはこれ以上ここにいないほうがいいかもな


「どうする走ろうか?」

「いえ、お構いなく」


ハルさんが気を利かせて提案してくれるけどそんなことをしたら逆にダメな気がする。それに僕がクスノキを殺そうとしたことは紛れもなく事実だし今更言い訳なんてしようとは思わない


「お前のことを人殺しとかなんとか言っているな」

「まあ事実ですし」

「そうだな」


それに僕はエルフの里で人を殺している。人というかまあエルフなんだけどさ。それでも誰かを殺したことにはかわりない。その罪は一生かけて僕を縛るだろうね


「そういえば…ユンさんたちは」


それはそうと僕は気になっていたことを聞いて見る。風の国ではドタバタしていたからセリア先輩に話を聞く余裕がなかったからね。


「ユンさん?ああ、元気にしてるよ…精霊を持ち帰らなかったことを怒られたけどまあ精霊が誰と契約するかなんてわからないからね。それにセリアが問題起こしちゃったから」

「あぁ…」

「君はその渦中にもいたんだね」

「まあ、そうですね」

「そうか。ユンさんがね、君とクレアを見張るようにって言っていたんだ。君たちがトラブルの中心にいるだろうからって」

「それは誤解です」


さすがにこれだけは否定しておきたいな。僕は別にトラブルの中心にいたいわけじゃないしいつの間にかトラブルに巻き込まれているだけだし。そんな風に近況報告を聞きながら僕はハルさんの後をついていった。

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