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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第6章 風の国の戦い
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必殺技、誕生!

後半、視点が変わります。ご注意ください

葉月二週目風曜日


「rail gun…」


その名前は聞いた事がある。とあるアニメでその内容の話が使われていたし僕だって知っている。でもそれが僕でも使う事ができるのか?


「てかそれだと僕がサポートじゃなくないか?」

『いいえ、合っているわ。あなたのrail gunと私の力それでスライムを焼き払う』


クレアの残り魔力だと焼き払うのに魔力が足りなくて僕だけだと決定打に足りぬことになる。だからお互いに攻撃をしなければいけないわけか


「だいたいわかったけど…僕どうすればいいんだ?」

『説明するわ』


そう言ってイフリートは手順を教えてくれる。えっと、まずは


「『電気の領域(field)』」

『最初に磁場を形成しなさい』


レールガンとは、物体をローレンツ力を利用して加速して打ち出すものである。それが僕のいる世界での使われ方。それをこの世界でも表現する


「ローレンツ力なんて知らないんだけど」

『要はフレミングとかで発生する力とでも覚えておきなさい。そこらへんの静電気力みたいなものだから』

「説明ざっくりすぎない?」

『今から私に物理の授業をしろと?』


多分それは無理だろうなぁ。時間的な問題もちろんあるのだけどそれよりもイフリートが何かを詳しく説明する姿っていうのがイマイチイメージできないし


「それで?次は何をしたらいいんだ?」

『それよりも先に「領域」の磁場の向きを確認しておきなさい。どっちにすれば物体が相手に向けて加速していくのか』


それもそうか。えっと自分の電気をこうして、僕から相手に飛ばしていくのでとりあえず磁場は…うん、この向きにしておけば大丈夫だろう


『次に、弾の準備ね。まあ砂鉄をまとめて一つの塊にしなさい』

「了解『創造(creat)』」


僕は砂鉄を集めて一つにする。


『それだとただ集まっているだけね』

「でもこれ以上無理なんだけど」


ただ集まっているだけって言われてもこれらは全て静電気で操っているようなものだからね。まあ確かにこの状態で打ち出したとしてもすぐにバラバラになりそうなのは目に見えている。


「それは僕に任せて『(fire)』」

「!、助かる」


クレアが炎で砂鉄を溶かしてくれた。これで熱が冷めたら一つの塊としてまとまってくれる。


『あとはそれを打ち出すだけよ』

「わかった」


砂鉄は操っている時に僕の電気を流しておいた。そうすることでこの「領域」の中では中に浮くことができる。磁石の反発みたいなものだ。そしてそれを僕の目の前まで浮かせる。目の前のスライムを見ると僕の方に触手が向かってきていた。どうやら今までクレアが少し邪魔をしてくれていたみたいだ。


『決めなさい、ミライ!』

「わかった!、『レールガン』」


僕は目の前にいる鉄の塊を思いっきり殴る。そしてそれは僕の前方向に飛び、「領域」内で発生した磁場の干渉を受けてフレミングの法則からさらに加速していく。塊に付与されているエネルギーはどんどん蓄積していき空気抵抗も合わさって高熱になる。


そのままスライムに直撃する。高温でエネルギーをかなり蓄積していたのでぶつかった時の衝撃はかなり大きいはずだ。スライムも勢いを吸収しようとしたけれどそれは叶わず、熱によって体が蒸発していった


『今よ、クレア』

「ああ、ミライが作ってくれたチャンス、無駄にはしない『精霊の息吹』」


僕の放った一撃によってスライムのほぼ全てが蒸発している。残っているのはスライムの核ぐらいだ。そして剥き出しになったそれに向けてクレアがイフリートの力を借りたとんでもなく高火力の魔法をぶつける。あれよく見たらイフリートが息を吐いているようにも見えるな。あたり一帯を焼き尽くしているのではと錯覚するほどの熱量を感じる。それほどまでに火の勢いがすごいのだ


「はぁ…はぁ」

『うん、こんなものかしらね』


そしてクレアたちが魔法を終えた時には、スライムの欠片はまったく残っていなかった。全てが文字通り焼き払われてしまったのだろう。


「倒せたのか?」


わかりきったことではあるけれども聞かずにはいられない。これがいわゆるフラグになって復活したり逆にピンチになったりすることもあるだろうけど今回はさすがに大丈夫だろう


『ええ、さすがにあそこまで焼き払えば問題ないわ。それよりも』


ああ、やっぱり問題なかったみたいだ。そしてイフリートは僕とクレアの方を向く。えっと、何かあったっけ?


『二人とも、これでいわゆる…必殺技みたいなものを手に入れたわね』

「え?」

「あー」


イフリートが言おうとしていることはなんとなくわかる。ファンタジー小説とかアニメとか冒険モノでおなじみの必殺技。確かに「レールガン」は威力も申し分ないしそれに当てはまるのかもしれない。まあ使い勝手で言えば『電気鎧(armor)第三形態(third)』が一番なんだけどね


『あんなもの乱発してみなさいよ…ってそうだ。戦闘はこれで終わったんだし解除したら?』

「え?あ、ああそうだね」


イフリートに言われて僕は全ての魔法を解除する。次の瞬間僕は地面に倒れ込んでいた…そこから先の記憶は僕にはない。


「ミライ!!」

「ちょ、ミライどうした?」

「ミライくん?」

「…」

『気絶してるわね。まあしょうがないか』


(クレア視点)


ミライの足は…正確には太ももは黒く変色していた。原因はわかっている。さっきの戦いにおいてかなりの加速を自分の足で制御していたからだ。その反発や抵抗を全て受けていたから身体が耐えられなかったのだろう。そしてそれを『電気鎧(armor)第三形態(third)』でごまかしていた。


「シェミン、なんとかなるか?」

「なるけど…しっかりした治療が必要」

「わかった…俺が運ぶ。サリア!俺とシェミンはミライの治療のために少しだけ離れる」

「わかりました。こちらのことは任せてください」

「あ、僕も手伝います」


そうだ。戦いは終わったけれども、先輩たちの戦いはむしろこれからだ。いや、先輩だけじゃない。僕たちがこの国に来た目的を達成するためにはこれからが大事だ。サリア先輩とシオン先輩の結婚、それを取り辞めさせるために僕たちはこの国に来たのだから。


「ええ、あなたも王族ですので…といっても証明してくれる人はいませんが」

『私がって言いたいけど難しいわね』


そういえば勢いで自分の身分を名乗っちゃったけど大丈夫かな。まあサリア先輩の言うように僕が王族であることを誰も証明することができない。また逆に僕の言葉が嘘であるということも証明できないのだけれど


『まるで悪魔の証明ね』

「え?」

『なんでもないわ…とにかくサリアの手伝いをしましょう』


イフリートがなにか言いかけたけれどよくわからない。これはミライならわかるのだろうか。最近あの二人でだけ通じる言葉のやり取りをしていることがある。多分だけどミライの世界のことだ。僕はミライの世界のことを何にも知らない。少しは聞いているのだけどよくわからない。ただ、今日少しだけわかったことがある


「ミライの最後の魔法…あれが普通に行われているレベルなのか」


イフリートの助言だけですぐに理解することができたミライ。彼曰く自分はそこまで優秀な人間じゃなかったらしい。つまりあの世界にはミライよりももっと優秀な人間が多いと。あのレベルの魔法の構築を当たり前のように行うことができる人間が大勢いると


「恐ろしいな」

「クレア、どうかしましたか?」

「いえ、なんでもないです」


どうやら言葉に出てしまっていたようだ。なんでもないと強調して、僕は先輩の手伝いをした。

これで第6章は終わりです。

次はエピローグです


感想とかいただけるととても嬉しいです!!

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