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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第6章 風の国の戦い
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式場突入

葉月二週目風曜日


扉を蹴飛ばして中を見てみるとそこはどこかで見た結婚式場の風景そのままだ。壊された向こうには祭壇があってそこまで出入り口から赤いカーペットが敷かれている。そして横にはたくさんの参加者がいる。見た感じ年配の方が多いのはきっとまあ国のお偉いさんは大抵年寄りだとかそういうことだろう。


そして、向こうの方を見ていれば黒いタキシードを着たシオン先輩と白い花嫁衣裳を身にまとっているサリア先輩がいた。えっと…こういう時何て言うべきなんだろうか。いや、ここは思い出せ小説とかで登場人物がこういう時に大抵なんて言っていたかを…馬子にも衣装?


『そんなことを口に出したら殺されるわよ?』

「まあ、だよね」


自分でもちょっとおかしいなって思っていたもん。まあ確かに意味を考えたらこんな言葉口が裂けても言えないわけだけどさ…参考にする小説間違えたかな


『さすがに間違えすぎでしょ…ってくるわ』


イフリートに言われたので前の方を見る。みれば前方で一人の男性が立ち上がっていた


「なんだ君たちは!こんなところに…それになんてことをしてくれたんだ」


まあ確かに冷静に考えてみれば扉を蹴飛ばすのはやりすぎな気がしないでもない。でも目的をいうならばそりゃ


「「結婚式を邪魔しに来ました」」

「はあ?」


あ、クレアと綺麗にハモった。でもまあそういうことだよね。じゃなきゃここの見張りの兵士たちをあそこまで倒す必要なんてなかったし


『確かにちょっとやり過ぎっていうか…殺すことも厭わない感じだったわね』


まあ…もう、なんていうか目的のためにはそうするしかないって思っていたら全力で戦うしかないって考えてしまってね


『まあでもまだセーブは聞いているわ。だからまだ完全ではないけど…』


その不安になる言い方やめてほしいな…って今はそれどころじゃなくて


「貴様ら、覚悟はできているのだろうな?こんなことをして」

「あれ…もしかしてセリアか?なぜここにきた」

「…父上」

「「え?」」


立ち上がった男性の近くに座っている少しばかり若い男性。その人は急にセリア先輩を名指しで呼び出した。そしてその返事は…え?男性?もしかしてあれってセリア先輩のお父さんなのか!?


「お前…なぜここにいる」

「…サリアを助けるために」

「助ける?なぜ」

「…」


セリア先輩が押されている?『いや、ここにいるのは国の重役が多い。だから発言に気をつける必要があるのよね』なるほど、そういうことなら


「望まぬ結婚だからですよ」

「はぁ?」

「まあ、ていうか風の国『ミライ!』…?」


急に大声をあげてどうしたんだ?イフリートの声は他には聞こえていないみたいだけどさ、それでも急に僕が黙ったのでみんな不審そうにこちらを見ている


『風の国が魔族と繋がっているのは確証を得ないというかあいつがいない限り無駄よ』


まって、それじゃあ詰んでいないか?そのカードを切らないとこの結構に反対する理由をきちんと明示することができないみたいなんだけど


『すっかり失念していたわ』

「どうするんだよ」

「それは我々の言葉だ。君たちはこの失態をどうするつもりだ。おまけに見渡す限り兵士たちが倒れている。君たちが襲撃したんだろう」


まずいな。ダンジョンの時はユンさんに助けてもらってまだそこまで致命的に指名手配されることは避けられたけどこの流れだと間違いなく都合が悪いのは僕らだ


「というか、あいつはいないのか?」

『ええ、気配がないもの…近くにいるのは間違いないだろうけどこの式場内にはいないわ』

「誰のことを言っているんだ?」

「…」

「こないだ、僕らが風の国の王様を襲撃した時に見かけた女性の姿ですよ。かなりの手練れで僕らは苦しめられました、風の国の王が彼女を護衛にしていないのは、正直ありがたいので」

「クレア…」


言葉に詰まってしまった僕を助けてくれたのはクレアだった。でもそんなことを言ったら


「貴様らか!我が王宮を襲撃した愚か者どもは!」

「つまり君たちは国家に反逆を行おうとしていたのかね…そしてセリアはそれに加わったと」

「ちが「正確には少し、違います父上」…」

『少し黙っておきなさい』


まあ先輩の邪魔をするほど僕は無粋ではないと思っていますよ。てかなんかこれから先輩がかなりいいことを言いそうなので。


「俺が参加しているのはこの結婚式を潰すことだけです。まあ始まりのダンジョン前での戦闘のこともあるが、その規約を破った罰として国の姫を貰い受けるというのは些か不当なのでは?と思い、抗議をしにきたまでです」

「なぜそんなことをする。おまけに襲撃まがいのことをして…お前は立場をわきまえているのか」

『魔族が関わっている以上国として動くわけにはいかないのよ』


それぐらいこの人たちは想像することはできないのかな?少しぐらい考えてみれば誰かこの考えに辿り着きそうなんだけど『無理よ。魔族の襲来なんて普通考えない。一部では魔物の襲来もあるけどまさかここまで国の内部に入り込んでいるだなんて想像していないわよ』そういうものなのか


「ええ、外部には公表していませんでしたがセリアは俺の婚約者のはずですが?ですので奪い返しにきたのですよ」

「だが風の国の王は国同士の会議で発言された…どちらが効力が強いのかは明白」

「…」


へえ、サリア先輩とセリア先輩って婚約者だったんだ。確かに二人の距離がかなり近いよなって思っていたけれどまさかここまでとは


「ですが」

「もうよい、下がれ」

「ぐっ」


あーあ、これは聞く耳持たずって感じだな。『でもこれでセリアを他の人から守ったのも事実よ』なるほどね。セリア先輩の罪は自分が決めるって宣言した感じなのか。確かに風の国のやりくちをみればまた何か余計なことを言い出しかねないからな


「それで、他のものは?」

「待たれよ。まさかそれでご子息の罪を帳消しにするおつもりですか?」

「…」

「さっすがだ」

「ねえミライ、僕割と限界なんだけど」


え?クレアがかなり怒っている。まあ確かに今のシオン先輩の父親の言い草には苛立ちしか湧かないけどさ、でもまあ一応筋が通っているからなんとも言えないんだよねー。


「貴様らは黙っておれ。今は陽の国の王と話をだな」

「でもいいのー勝手に話を進めて」

「黙れと言っておろう」

「嫌だね。魔族と関わりを持つ国の言葉なんて聞きたくないね」

「なんと…」


クレアが放った言葉にその場が騒然とする。だってそうだよな。まさか人類の敵である魔族と手を組んでいる国があるなんて思いたくないもんね


「どういうことですか?」

「待て!そんなものは濡れ衣だ!こんなよくわからないガキどもの言葉を信じるのですか?」

「…」

「いくよ…『精霊召喚・イフリート』」


まばゆい光が発生したと思ったら来賓たちがみんな驚いているのが目に止まった。ああ、どうやらイフリートが完全に可視化されたみたいだ


『私は炎の精霊・イフリート、私の言葉でも疑いのかしら?』

「精霊様が…では、先ほどの言葉は真実だと」

『ええ、そうよ。風の国は魔族と手を結んでいる…操られているそこの王子と姫がその証拠よ』


シオン先輩が操られているのは知っていたけどまさかサリア先輩までもが…確かに僕らがここに突入してから一回もこちらの方に見向きもしなかったし一言も言葉を発していないもんな


「…」


参加者たちは揺れ始めた。それだけ精霊の存在が大きいということだろう。


「待て待て!そこの精霊はあの少年と契約している…つまり契約者を助けるためにそんなことを吐いた可能性があるわけで」

『私たちをなめないでもらえるかしら?』

「ぎゃあああああああああ」


風の国の人間だろう。立ち上がってこちら側を糾弾しようとした。でも言葉を言い終える前に炎に焼かれてしまった。これは…イフリートの力か。てかあれ僕に向けてのよりもかなり威力が大きいんだけど


『そりゃ少しは抑えているわよ。でも今はそんなこと関係ないわ。この侮辱、どういうつもり?』

「今みたいに我々は精霊に逆らえない…つまり精霊の仰せのままに進むしかない。それはさすがにおかしいのでは?」


だめだこりゃ。今この教会は精霊の言葉を受けて風の国を信じるものと信じないものとで二分されている。てか、これなら最初からイフリートが言ってくれたらいいのに。なんで?


『理由はいくつかあるけど、クレアに監視が付く可能性があったのと、それと』

「『どのみち、私が全てを洗脳してしまえば関係ないからな』」

「「!」」


突然、本当に突然、サリア先輩とシオン先輩の間に急にあの時の女性が現れた…そう、魔族の王の一人が

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