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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第6章 風の国の戦い
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制圧完了

葉月二週目風曜日


「僕と戦うのにそれだけとは舐められたものだね『炎の壁』」


クレアが炎の壁を生み出して僕とクレアの間を両断する。これでお互いに援護をすることができなくなった。まあどうせ向こうもすぐに全員倒してくれるのだろうけどさ


「もうあの火使いの援護は受けれないぞ」

「それでも、大丈夫なんだよ」


今僕が発動している魔法は全部で3つ。かなり魔力消費が大きくて厳しいけれどそれでもこれ以上緩めることはできない。


「イフリートにはやめとけって言われてるけどさ」

「ん?」


僕は両手で握りこぶしを作り、それを体の前でぶつける。両手がつながったことにより体の中を流れる電流がぐるぐると体の中を回り始める。そして擬似的にコイルのようになり、エネルギーが莫大に増大する。


「いくよ『蓄積(charge)』」


強く地面を蹴る。すると足元で小さな爆発が発生し僕は急加速する。そのまま手近な兵士の元に接近して殴る。


「うぐっ」


今までよりもかなり鈍い音が生まれる。今までと違い高エネルギー体をぶつけたのでその分相手は吹き飛んでいく。


「此の期に及んで力が上昇しただと!?」


とはいえ、この状態で戦うことができるのはそこまで長くない。貯めているエネルギーが切れてしまえばそれでおしまいだし。それに今回はそこまでエネルギーを貯めていないからね


「『創造(creat)』…そして『串刺し(skewer)』」


砂鉄を操りそれらを一斉に兵士たちに串刺しにしていく。そして地面を再び殴り上空へと移動する。


「『解除』」


砂鉄を操ることをやめれば刺された箇所から大量の血が噴き出していく。うぐっ、血の噴水みたいだ。こう見るとかなり気持ち悪い。気分が悪くなっていく。でも、ここで吐くわけにはいかない。解除されたことで砂鉄が辺り一面に広がる


「させるか!『竜巻』」

「!」


風が吹きあられ砂鉄が全て吹き飛ばされる。まあそりゃ何度も通用する攻撃じゃないか。僕は地面に降り立ち今の術者を探す。さっきからちょいちょいいいところで風属性の魔法が飛んでくるんだよな。


「『鎌鼬』!」

「すまねえ、助かった」

「それよりも早くあいつを!隊長が火使いを倒すまで持ち堪えろ」


見つけた。後ろにいて状況を判断しているあいつだ。なるほどね。クレアの方に指揮官が行っていると。ならば他に強そうな奴はいないのかな?


「『創造(creat)』」

「何度でも生み出せるのか」


そりゃ地面に砂鉄がたくさんある以上いくらでも生み出すことができますとも。そのまま風属性の使い手に斬りかかる。風使いも自分の剣を抜き、応戦する。剣と剣がぶつかりあい、金属音が響き渡る


「『放電(thunder)』」

「くっ」


電撃を放てば横に避けられる。でも逃すわけにはいかない。僕がここまで兵士と密着しているおかげか他の兵士たちからの攻撃は飛んでこない。味方に当たるかもしれないからね


砂鉄の剣を鞭のようにしならせて時々伸ばしたりして背中から攻撃をする。でも剣が伸びると警戒されて後ろに強い風を発生させられる。砂鉄の一つ一つはかなり軽いので原型をとどめることができない。これはかなり相性が悪いな


「お前の攻撃も大したことないな」

「…言ってくれる、な」


砂鉄の一部を切り離し、鋭利な状態は残したまま風使いに飛ばしていく。虚をつくことに成功したのか風使いは一瞬だけ怯んだ。今だ!


「『土壁』」

「ぐっ」


このタイミングで…地面からの攻撃で僕はバランスが崩れる。


「うおおおおおお」

「やばっ」


慌てて回避行動をとるも少しだけ判断が遅れてしまった。太もも辺りを斬られてしまった。運がいいことに切断されたわけではないのでまだ動くことができる


「これで足を封じたぞ」

「問題ないんだよ」

「!、まだ動けるのか」

「みんな、援護を!『水の玉』」

「火の玉」


風使いに接近しようとすればあちこちから集中的に魔法が飛んでくる。『領域』はまだ使えない。回避行動をとることもできないので体のあちらこちらに被弾していく。


「『鎌鼬』」

「うぐっ」


そして止めに目の前から風の刃が飛んでくる。そのまま僕は後ろに吹き飛ばされる。地面を転がっていく。


「はぁ…はぁ…」


蓄積(charge)』が切れてしまったか。それでもまだ『電気鎧(armor)第三形態(third)』が残っているから戦える。


「『火剣乱舞』」

「!」


後ろから炎の大剣が飛んできてそして兵士たちに直撃する。この魔法は…


「結構ボロボロじゃねえか」

「それはそっちも同じだろ?」


体のあちこちに擦り傷や切り傷を負いながら立っているクレアがいる。そしてその近くには倒れている兵士たちが10余名。一人だけ少し豪華な服装をしている奴がいるからそれが隊長なのだろう


「!、隊長!」

「バカな、隊長がやられただと?」

「くっだが、残り三人だ」


今の攻撃でまた削れたのだろう。立っている兵士の数は残り三人になっていた。これなら、いける


「まだ、諦めるな!『鎌鼬』」


そして何度も立ちふさがっている風使いがいる。あの人も自分の国のために精一杯戦っているのだな。でも、僕も、先輩のためにここで負けるわけにはいかない


「クレア!あの風使いは僕がやるから残り二人を」

「ああ、任せろ『炎の舞』」


風使い以外の二人を囲うようにクレアが炎を出現させる。これで僕と風使いとで一対一の状況になった。


「『放電(thunder)』」

「ぐっ」


電撃を放ち、接近する。振り下ろされた剣を避けて後ろに回りこむ。読まれていたのか振り向きざまに剣を振るわれるがそれを砂鉄の剣で防ぐ


「この…」

「これで、終わらせる『放電(thunder)』」


至近距離での電撃。これをまともに受けたので風使いは地面に倒れこむ。まあ結構戦っていたわけだし限界がきていたとしてもおかしくない。そういえば、クレアはどうなっているのかな?


「あ、ミライも終わらせたか」

「その様子だとそっちも終わったみたいだな」


あたりを見渡してみればここに立っているのは僕とクレアのみ。向こうからシェミン先輩とセリア先輩がこちらに向けて歩いてくる。


「本当にお前らだけで倒すとはな」

「二人とも…怪我を見せて」

「あ、はい」


なんでセリア先輩からは呆れられてシェミン先輩に怒られなければならいんですかね


『そりゃあんだけ無茶なことしたからよ。なに上空から地面に激突って…笑えないわよ』

「あれしか方法がなかったんだよ」

『もっとたくさん経験をしなさいよ…その点この戦いはかなり参考になったでしょ?』

「いい戦闘訓練にはなったよ」

「国の精鋭たちを相手に訓練って…なあミライ、お前ら転移者ってお前みたいなのばっかなのか」

『さすがにこんなのはミライしかいないわよ』


なんかけなされているようで釈然としない「黙って…動かない」あ、はい。すみません。シェミン先輩のかなりの剣幕で僕は動くことができない


「『回復(heel)』…これである程度の治療は行われたはずよ」

「…ありがとうございます」


ある程度とはいうけれどもかなり回復しているみたいで体がかなり楽になった。いや、本当にありがとうございます。おかげさまでまだ戦えそうです


「…無茶しない」

「それは本当にすみません」


シェミン先輩になんどでも怒られながら僕らは式場の扉をあけ…


「いや、壊しましょうよ『放電(thunder)』」

「今回ばかりはミライに同意します『火の玉』」

「「『…』」」


訂正、壊しました。だって殴り込みに行くんだからね!

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