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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第6章 風の国の戦い
243/317

襲撃戦後半戦開始

葉月二週目風曜日


爆風が全て晴れると、目の前には大勢の兵士たちが倒れているのが見えた。向こうにとってもかなり予想外の攻撃手段だったのだろう。碌に対策をとることもできずにまともに爆発を受けてしまったのでそのまま吹き飛ばされてしまっている人も大勢居る。


『相変わらずえげつない威力ねぇ。今回は向こうの水魔法と私の炎の相殺による大量の水素ができたことでここまで大規模になったのでしょうけど』

「どれだけ倒せたかな?」

「見た所…残り3割ぐらい?っと『火の領域(fire・field)』」

「!」


クレアが『領域』を発動させる。何事かと思ったら兵士たちがこちらに向けて魔法を放っていたみたいだ。それを見て全部吹き飛ばしてくれたみたいだ。


「くっ、やはり使えるか」

「うわーすげえ精神力」


まだこちらに向かってくるよ。てか薄々考えていたけどこれ僕らが完全に悪役じゃないか?やろうとしていることもただの結婚式の襲撃だし


『あら?今更気が付いたの?』

「でもまあ僕はいいかな。ミライは?」

「ま、構わないよ『電気鎧(armor)第三形態(third)』」


もう一度『電気鎧(armor)第三形態(third)』を発動し、電気を身にまとう。大分減ったけどまだ向こうの戦意は喪失していない。さすがプロだと感心するしかない。でもこれくらい人数が減っているのなら僕一人で突っ込んでもそこそこ戦えるか?


『接近できれば、の話だけどね』

「まあ、無理か『創造(creat)』」


砂鉄の剣を生み出す。そしてこれを振り回していく。接近できるぐらい数を減らすことを心がけるとするか


「あの攻撃は剣をかまえろ!」

「『解除』!からの『爆発(dynamite)』」


そう何度も何度も防がれるとわかっている攻撃をするはずがないでしょうが。相手が構えた剣と触れ合う前に魔法を解除して粉塵爆発を発生させる。先ほどの爆発と比べるとかなり小規模になるけどまあ仕方がないよね!


「クレア!目をつむって」

「え?お、おう」

「『(light)』」


クレアが目をつむってくれていると信じて僕は擬似閃光弾を放つ。これで兵士たちの視界を奪うことができたらいいんだけど


『落ち着いているわね〜』

「冷静になっただけだよ」


どこか焦っていたのかもしれない。だから攻めが少し甘くなって雑になってしまっていたようにも気がする。だから落ち着いて戦おう。そうすればきっと勝てるから。自分の、クレアの実力を信じろ。


「ぐわあああああああ」

「目が!目がああああああ」

「まぶしくて…見えん」


うん、奇襲成功。でもここで攻めるのではなく、呼吸を整えよう。


「つぎはクレアが攻めるか?」

『あんまり慣れないことをするべきじゃないわよ。これくらいにしておきなさい』


それもそうか。この戦いでかなり初めての戦いをしているというか『電気鎧(armor)第四形態(force)』を結構練習させてもらっているからね。


「僕がサポートするからミライはもう一度突っ込んでみる?」

「もうそれでいっか…『領域』が回復したから多分いける」

『はぁ、結局こうなるのね』

「だって変なことするなって」

『それもそうねー』


さて…そろそろ向こうの視力も回復した頃だろうか。でもそれを律儀に待つ必要なんて何もない。


「気をつけろ!再度突っ込んできたぞ!」

「視力が回復していなくてもとりあえず前方に魔法を放っておけ!」

「おお!」


僕に向かって魔法が飛んでくる。でもわずかにだけど時間差で攻撃されているものもある。これはどうやら僕の『領域』対策なのかな。


「でも、関係ないよね!『電気の領域(field)』」

「漏れはまかせて『火の玉』」


まずは一番近いものを全て消し飛ばしていく。そして時間差で攻撃されているものは全部クレアがうち落としてくれる。なので僕はこうして敵の近くまで接近することができた


「我々を舐めるな!」

「『感知(field)』『電気の領域(field)』」

「なぜ『領域』が使える!?うぐっ」


目の前にいる人の腹を殴る。そして近くにいる人数を感知。後ろにいる二人だけか。その二人の接近に合わせて思いっきり後ろにジャンプする


「なぜバレた?」

「こんやろ『鎌鼬』」


これは避けられないな。だから左足で右足を蹴り飛ばして無理矢理自分の体勢を崩す。そうすることで敵の風の刃を無理矢理避ける。そして先に地面について左手を支えに肘の曲げ伸ばしを利用して飛び跳ねる。なんか左肘ら変の筋を痛めた気がしないでもないけど気のせいだろう。どのみち今はまだ戦える。


「なんであんな動きが可能なんだ?」

「それに今思いっきりひねっていたぞ。なにか薬でもキメてんのか?」


何も決めていません。ただの魔法の副作用です


「『放電(thunder)』」

「ぐっ」


右手で電撃を放ちながら向かってくる兵士たちをただただひたすら殴る。感知魔法を常に使い続けることで相手の接近を感知する。


「こいつ疲れ知らずか!?」

「なんてやつだ」


適度に『領域』を挟みながら攻撃を続ける。振り下ろされる剣は全部避ける。そこまでリーチが長いわけではないので振り下ろされることがわかれば避けることはかなり容易い。さらに『(metamo)(rphose)』も併用すれば向こうの攻撃をかなり無力化することができる


「『鎌鼬』」

「『水の玉』」

「『土壁』!」

「くっ」


だが、地面からの攻撃は簡単に防ぐことができないので今も上空に飛ばされる。


「今だ!空を飛んでいるときに狙え」

「何度も引っかかるかっての『放電(thunder)』」


横に向けて電撃を放つことで空中で細かく移動をする…いや待てよ?


「『放電(thunder)』」

「ちょっ、ミライ!?」

『相変わらずアホなこと考えるわねー。後のことを少しは考えなさいよ』


僕がしたことは上空に向けてただ電撃を放っただけだ。そうすることで僕は地面に向かって急降下する。もともと重力の関係もあるので僕は地面に激突した。本当は受け身を取れれば一番良かったのだろうけどそんなことをする余裕がなかったからね


「けほっ」

「あいつ激突したのにまだ動いているぞ」

「骨とか折れていないのか?」

「それは僕も思ってるんだよね。あれ間違いなく折れてるでしょ」

『魔法が切れたときにどうなるかもう少し考えてもいいのに』


まあやってしまったことに何も後悔はないんだけどね。正直攻めて行かないと分が悪くなっていくことは間違いないんだし


「はいはい、じゃあここらで一発飛ばしておくよ?『蜃気楼(mist)』」

「…なんだ?敵の姿がぼやけた?」

「攻撃が当たりません!」

「バカな…この霧かのせいかぶえ」


これはクレアの魔法で僕の姿が少し離れたところに見えるようになったみたいだ。だから面白いように攻撃が通りやすくなった。助かるぜ、クレア


「あいつを狙えばいいんじゃないか?」

「おい、数名あの炎使いの方にむかえ!だが気をつけろよ。奴の火魔法はかなり強力だ」

「了解」


何人かがクレアの方に向かっていく。え?いや、今更?もっと早く動いても良かったのだろうに


『向こうの自惚れね。どうせガキ一人潰すのなんて容易いって考えていたのでしょうね』


なるほど、その自惚れをつくのは些か不満があるけれどもそれでも勝てるのならいいや。残りはおおよそ一割。残りの魔力を全て使う思いで倒していきますか

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