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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第6章 風の国の戦い
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蟲の王との戦い

葉月二週目火曜日


「シズク先輩は大丈夫かな?」

『他人の心配よりも先に自分の心配をしなさい!』

「そうだね…ミライ、右!」

「『放電(thunder)』」

「ぎゃあああああああああ、な、ぜ…我々の居場所が…」


そりゃあずっと感知魔法を発動させているからね。不意打ちなんて無駄無駄。それで…王座の間まではどれくらい?


『ウィンディから聞いた感じだともうすぐね』

「あ、あそこの扉か?」


一つだけ明らかに立派な扉がある。確かにそれっぽい。さて、というわけで


「『電気鎧(armor)第三形態(third)』」

「え?ミライ?」


電気鎧(armor)第三形態(third)』を発動した理由は一つ…思いっきり扉をぶん殴るためだ!


「とりゃあああああ」

「相変わらずめちゃくちゃだよ…」


扉を吹き飛ばした先には立派な空間が。そして目の前にはこれまた立派な王座がある。そしてそこに座っている一人の男性。これはおそらくシオン先輩の父親だろう


「ほお、侵入者がいると聞いていたがまだ若いな」

「お前がこの国の王か」

「…しかり。だが口のなっていない餓鬼か」

「敬意を払いたくない相手には払わない主義なんでね」


シオン先輩を道具にしようとしたり魔族と手を組んでいたり…こいつには尊敬できる箇所が全くと言っていいほどない。


「王族に対しての口の聞き方を教えなければな…おい」

「『なんのようでしょうか』」

「「!」」


王様の合図でこの広間に入ってきた女性。でもこの感じは…あの時と同じ、ミイさんと遭遇した時と同じ。こいつがまさか


「『おや、私の正体を見破るとは…陛下。このもの達は陛下よりもお強いようで』」

「御託はいい」

「アルトリアと同じ…」

「『おや、名前を知っているとは…ふふふ、これはこれは。私の自己紹介をしたほうがよろしいでしょうか?』」

『クレア』

「え、あ、うん『精霊召喚・イフリート』」


クレアがイフリートを召喚する。ここまで来たんだ。隠しておく必要性なんて全くない


「『そんなことをしなくとも私には見えておりましたのに』」

『相変わらず気持ち悪い口調ね。本音を出しなさい』

「…精霊の契約者か。シオンもそうだったが最近我の元によく集まるな。これも我が天下をとるべしというお告げなのかもしれぬな」

「誰もお前に協力したいとは考えていないみたいだがな」

「我の偉大なる計画を理解しろとは言わぬ」


どこまでも不遜な言い方をしやがって。でもここで魔族の王様が出てくるのは少しだけ予想外だったな。もう少し後ろのほうで見守っているのかと思っていたけど


「『ふふ、もっとお話をしたいところだけど、今は都合が悪い(・・・・・・・)から余計な言葉はなくしましょう「蟲の世界」』」

『来るわよ!』


相手の女性が何かをつぶやいた瞬間、僕らは頭が痛くなった。これは…超音波が当てられているのか?耳が痛い。思わず耳を押さえてうずくまる。うう、頭が割れそうだ


『…ウィンディから聞いたあなたとは随分様子が違うけど』

「『ああ、私はね。依り代を変えることができるの。今はこのものの体を借りているだけ』」

『蟲の王の能力か』


脱皮とかそういうイメージでいいんですね。でもそれは正直どうでもいいんだけど…今この動けない状態をなんとかしてくれ


「『火の領域(fire・field)』」

「『あら、「領域」を使えるの。でも残念。私の「世界」を破ることはできないわ』」

「これで…いいんだよ。ミライ!」

「え、あ!」


さっきよりは動ける。というか音が少しだけ聞こえなくなった?超音波も聞こえなくなったからいいけど…まさかこんな若いうちから耳が悪くなるなんてな


『違うわよ。音は空気の振動によって伝わる。だから熱で周りの空気を揺らがすことで少しだけ抑えたの』

「なるほどね」


脳内をいじったとしても耳から入る情報を操作することはできない。つまりこいつの攻撃を防ぐには耳をふさぐ必要があるのか。耳栓とかそんなもの全く持っていないんだけど


『いっその事鼓膜潰す?私がいればコミュニケーションは困らないし…』


それは最後の手段というか一方的にこちらが倒されるとかそういう展開になりそうだったらお願いします。死ぬよりはマシだし


「『火の玉』」

「『この程度の魔法、簡単に防げるわ…でも「世界」の中で普通に魔法を行使できるなんてさすがね』」

「『電気鎧(armor)第三形態(third)』」


あいつの元に駆け寄る。クレアが魔法を使っていてくれるので超音波がある程度軽減されている。だから普通に動くことができているのだけど…


「『あら、あなたも使えるのね。見たところ精霊とは契約していないみたいだけど…「酸の雨」』」


あいつから大量の水滴が分泌されて…ってあいつってだけじゃわからないから名前が欲しいんだけど何かないの?『蟲の王でいいわよ』じゃあそうする。蟲の王から出てくる水滴…それにさっき言っていた言葉からして…おそらく蟻酸か?とにかく当たるのはまずい


「『放電(thunder)』」


とにかく電気分解して攻撃を避けるしかない。あれ?酸って電気分解できたっけ?いやむしろ塩基性物質と合わせて中和するのが普通だっけ?


「『炎の壁』!」


クレアが壁を作り出してくれたことで酸は全て炎にぶつかり蒸発した。その結果かなり刺激的な異臭が漂うことになったけれど、危なかった。あのままじゃ溶かされていた


「『なに安心してるのよ』」

「しまっ」


接近していたのを忘れていて脇腹を蹴られてしまう。そのまま吹き飛ぶようにしてクレアのいるところに戻る


「『どうやら、あなたはそうでもないのかしら?火使いの坊やの方だけ集中しておけばいいかしらね』」

「ミライ、やるよ」

「…すまん」


蟲の王の挑発とも取れる言葉の前にクレアは僕に左手を差し出してくる。それを見て僕は嬉しくなる。クレアは僕が使い物にならないという言葉に怒りを覚えてくれたから。もうさっきみたいなヘマはしない。それに…『放電(thunder)』を体から放出できるようになれればあれにも対処できるようになる。今は無理だ。だから…クレアの力を借りよう


「『なにをするつもりかしら?実力はこれでわかったのだと思うけど…』」

「関係ないね『炎の鎧・連動(next)』」

「クレアのためにもお前に一撃いれてやるよ『電気鎧(armor)第四形態(force)』」


僕の電気とクレアの炎が混ざり合い共鳴する。そして僕は火魔法をクレアは電気魔法を一時的に使えるようになる。


『ミライ、クレア!二回目だから前回よりも時間は長いわ。そして…反発を散々利用したミライなら、できることがあるわ』


イフリートから指示が送られてくる。言いたいことはわかったし、原理もわかる。それに、使いこなせればきっと…


「ミライ!援護する『火の玉』」

「オッケー」


クレアが火の玉を蟲の王に向かって投げつける。それらは電気をまとっているので互いに干渉しあいたまにクレアが意図しない方向に流れる。その不規則な攻撃を前にさすがの王も余裕を保つことができない


「『それで何の意味があるの。私を倒すことはできないじゃない』」

「そのための陽動だよ」

「『いつのまに…』」


クレアと王を挟むようにして僕は回りこむ。さて、ぶっつけ本番になるけれども、精一杯やるとしますか


「いくぞクレア『磁石(magnet)』」

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