表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第6章 風の国の戦い
236/317

国取り合戦、開始

ブクマありがとうございます

これからも頑張ります

葉月二週目火曜日


『それじゃあ作戦を開始しましょうか』

「おっけー」

「では手はずを整えて」


僕らは王宮へと向かう。できればもう少しゆっくりとしたいところだったけれどそれは時間が許してくれなかった。明後日には結婚式本番で明日にはその来賓たちが軒並みやってくる。なんといっても二つの国が結ばれようとしている瞬間だからだ。だから僕たちは行動することができない。いろんな人たちに見られたらシズク先輩がかなり立場が悪くなるからだ


『私が指示を出すわ。私の声は基本的に相手に届いていないから大きなアドバンテージになるはずよ』


僕らの攻撃においてアドバンテージは大きく二つ。一つ目は相手の情報をこちらはほぼ完璧に把握しているのに対し向こうは僕らの情報をほとんど知らない。おまけに何度でも議論で出てくるけれど僕らの魔法は基本的に初見殺しだ。そして二つ目が精霊たちの存在。精霊の声は普通の人は聞くことができないので作戦を相手に知られることなく遂行することができる。さらにウィンディーネがあちこちに先行しているので相手の作戦を知ることができる。そこら辺のアドバンテージを活かして立ちまわるしかない


そして王宮へとたどり着く。まずは門番をどうにかしなければいけないわけだけで、シズク先輩が前に出る。入国の時と違ってシズク先輩の権力が通じにくい。だから今回取るべき手段は


「君たち!ここがどこかわかって」

「当然ですよ『放電(thunder)』」

「ぎゃあああああああ」

「『火の玉』こっちも終わったよ」

『それじゃあ騒ぎになる前に潜入しましょう…時間ぴったりね』


目の前の門があく。一足先に入っていてシズク先輩が中から開けてくれたのだ。扉を吹き飛ばしても良かったけど騒ぎが大きくなることは避けたいからね。僕らは城の中へと潜入する


『こっちよ!』

「何者だ!急いで仲間を」

「させるかっての『放電(thunder)』」

「『風の壁』」


進んでいると兵士と遭遇したので仲間を呼ばれる前にと気絶させようとしたのだが横にいた人物に防がれてしまう。風の防御魔法…この魔法はつまり


『話に聞いていたシズクの先輩ね』

「君たちがシズクが連れてきた人たちかな?」

「…」


どうする。答えるべきか。でも向こうは僕らのことをきちんと認識しているみたいだし無駄に誤魔化すのもアレか


「そうですね」

「そうか…その様子だとただ観光に来たわけではなさそうだな」

「シオン先輩を助けに来た」

「そうか。つまりはこの国の敵か」

「この世界の味方だよ」


できれば話し合いで済ませたかったけれど無理みたいだな。シズク先輩の父親、アクイラ・セルシアが僕らの前に立ち塞がる。シズク先輩からの情報によればアクイラさんのスキルは「風」。防御魔法が得意ではあるが攻撃もできないわけではない。一人では特に脅威ではないが仲間を呼ばれてしまったら色々と手強い


「君たちは仲間を呼んできなさい」

「は!」

「いかせるかよ」

「『風の壁』」

「クレア!」

「『火の領域(fire・field)』」

「!私の魔法が」

「ナイス!『放電(thunder)』」

「ぐあああああああああああ」


またしても壁を作り出されそうになったのでクレアが『領域』を発動させて消し飛ばす。兵士もアクイラさんを信頼していたのだろう。まあ確かに王宮に勤めている人の魔法を簡単に吹き飛ばすことができるなんて想像もつかないよな。しかも僕らなんて子供だし。だから不意打ちを受けて背中に電撃が直撃する。どんな人間も不意打ちを食らえば終わりだな


『だから絶対に感知魔法を消しちゃダメよ。常に展開しておきなさいね』


わかっているよ。不意打ちはなんとしても避けておきたいことだからね。


「なるほど、シズクから情報を得ているのかい…となれば当然近くに精霊がいるんだろうねぇ」

『バレてるわね』


まあ向こうが想像しているのはウィンディーネであってイフリートではないけどね。そこのすれ違いを活かすしかないか


「だがまあシオン様がいなければ怖くないし…いや、そもそもシズクの近くに高魔力反応があったと報告があったな。つまりこちらにはいないか」

「ごちゃごちゃうるさいんだよ『放電(thunder)』」


この手のタイプの人間は得てして話が長いので「さすがに偏見」関わっていられないと電撃を放つ。電撃はアクイラさんではなくて


「どこに放っているんだい?私はここにいるよ」

「知ってるよ『創造(creat)』」

「へえ、だから壁を壊したのか」


壁に金属が含まれていることは知っていたのでそれらを粉々に打ち砕いて剣にする。普段使っている砂鉄の剣に比べれば規模がかなり小さくなるけどそれでもいい。要は


「接近戦を挑みたいと…しっかり対策できていて偉いな。でも…『竜巻』」

「逃がさない!『電気の領域(field)』『電気鎧(armor)第三形態(third)』」

「ぐっ」


相手がいつまでもこちらに合わせてくれるとは限らないからね。逃亡も視野に入れなければいけない。だからなんとしても接近する必要があった。こうすればアクイラさんは迂闊に離脱しようとすることができない。遠距離の魔法はクレアが、近距離の魔法は僕が対応する。これが基本の戦い方だ


「だが、私をなめてもらっては困る『鎌鼬』」

「うぐっ」

「『火の玉』!」

「『暴風』」


僕らが今立っている場所が崩れ落ちる。そして下には兵士たちが集まっているのが見える。ぐっ、騒ぎすぎたか。だがそれにしても来るのが早すぎる


「シオン様とサリア様の結婚に妨害が来ることは予測できる。水の精霊を逃してしまった以上、な。だから警備はいつもよりも強化していたのだよ」


アクイラさんはすぐに兵士の後ろの方に移動する。風を操って落下中に移動したのか。僕らにはできない魔法だ…だが、それでいい


「『浮遊(sky)』」

「『地雷(trap)』」

「なっ」


穴が空いているということはそこに飛び移ることができるのならばこれ以上ない逃げ道となる。僕らにこういう魔法がないと思っていたのか油断したな…ついでに言えば感知魔法で兵士たちは集まっていたことは把握できていたし


「逃すな!できる限り囲い込むようにして捕まえろ!また一部の兵は私についてこい。シズクを捉える」

「は!」

「了解しました」

「お前らは直接飛び乗れ!」

「乗らせるわけないでしょ『炎の壁』」

「ぐわあああああああ」


空いた穴を塞ぐようにクレアが炎の壁を広げる。すぐに打ち消されるだろうがその少しの時間があればそこから離脱することはたやすい。


『もう床でも壁でも全部壊しちゃえ!』

「それもそうだな」

「遠慮しないでいいって楽だね」


とにかく突っ込んでいく。邪魔になりそうた時はとにかくひたすら壊していく。王座の間にはやく向かわないとね


『にしても切り上げが早すぎるわね…』

「何か問題があるのか?」

『相手に戦う気がなさすぎるのよね』

「それならもう気にせずに走ろう」

「それもそうだな」


僕らは走る。時間がないからね。少しだけイフリートの言葉に不安になったけれど…きっと気のせいだろう。そう信じて

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ