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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第6章 風の国の戦い
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予期せぬ遭遇

ブクマ登録ありがとうございます

これからも頑張ります

葉月一週目土曜日


「ほら、ミライ!起きて」

「う、うん」


朝が来たらしくクレアに起こされる。と、言ってもなんだかんだ僕もそれなりに見張りとして起きていたのでかなり眠たい。このあたりに天然の湧き水とかなかったっけ?顔を洗いたい


『自分に電気をぶつけたら?』

「それショック死しちゃうから」

「寝ぼけてるな…ぶつかるぞ」

「いたっ」


目の前にあった木に思いっきり頭をぶつけてしまった。まじでぶつかるまで目の前に木があるなんて認識できていなかった。かなり寝ぼけているな。気をつけないと。言葉にいつものようにキレがないし


『向こうに川があったからそこで洗ってきなさい』

「ありがとう…」


なんだかんだ教えてくれるイフリートに感謝しながら言われた方向に進んで行く。あーあったあった。森の中の川というだけあってかなり澄んでいるな。飲んでも問題なさそうだけど…まあ念のためにあんまり勝手に飲まないほうがいいな。クレアもいるし、一度沸騰させるのも簡単だし。


「冷たっ」


予想よりもかなり冷たかった。それでもおかげでかなり意識がはっきりしだした。


「『電気鎧(armor)』…いや『自己活性(heel)』」


二日連続で…いや研究所からして地面の硬いところで眠ってしまっていたので肩とか体のあちこちが固まってしまっている。なのでそれらを電気を流すことでほぐしていく。要領は電気マッサージだ。別に詳しくはないけれどなんとなくでなんとかなる。本能でどうすれば体が回復するか理解できているしね。だから僕は結構適当にこの魔法を使うことができるわけだし


『何してるのよ』

「ん?体ほぐしてる」

『なるほどね。クレアが朝ごはんを用意してくれたから食べましょ』

「お、ありがと」


クレアのところに戻る。どうやらクレアが少しだけ『命』の国にいた時に食べ物を買っていてくれたらしくそれを簡単に調理してくれた。まあ火にかけるだけだけど大抵のものはそれでなんとかなるからね。


「火魔法が使えるやつがいるとこういう時本当に便利だよな」

「ん?ミライって森で生活をしたことがあるのか?」

「一ヶ月くらいかな。この世界で初めて飛ばされたのが『麒麟の森』だったんだ」

「ああ、そういうこと」


朝ごはんを簡単にすませるとイフリートに次の目的地の場所を聞く。昨日からこの辺りに生息している精霊たちから情報を集めてもらっていたけれど何か集まった?


『ああ、「風」の国のほうがここから近いみたいよ。そうね…馬車で2週間くらい』

「それじゃあ間に合わないな」


まあ普通それくらい離れているだろうな。馬車があったとしても2週間、おまけにこちらはそんなものなんてなく徒歩で移動することになるからえっと…どれくらいかかるんだ?馬車の速度なんて知らないよ


『まあモノによるけど少なくとも一日100キロは走るわね』

「単純計算で1400キロぐらい…国と国の距離だからそれくらいはまあありえるのか」


東京から九州までが1000キロぐらいだったような気がするし…これ近いのか遠いのかわからないな。隣国といってもいいぐらいなのか?間に一つぐらいあってもおかしくないか。というか本当に地図が欲しい。


『ここに来たのも私の転移だしね〜』

「『月』の国に行ったときもセリア先輩の転移魔法でほぼ移動したからな…ってイフリート、お前さすがに『月』の国ぐらいはわかるだろ。自分のダンジョンをそこに作っていたじゃないか」

『えーそんなの適当よ適当。ここに来たのだってまああるいみあいつを止めるためだったんだから』

「えぇ」

『まあ「命」の国と「風」の国の間には一つ国家があってそれが「水」の国アクリムね』


へえ、風と水が近いのかもしかしてあれかな四大元素…あれ?五大元素だっけ?の名前を冠する国が近いところにあるのかな


「どうだろ。『火』の国もここから近かったっけ?」

『さあねぇ、そんなもん勝手に人間が言っているだけでしょ?』

「そんなもんなのか」


名前はあてにならないと。そもそも丸々の国ってどういう理屈で作られているんだ?適当にスキルの名前で作られているのかな。それならば…え?てことは『命』スキルとかあるってことなのかよ。てかクレアのに至っては『冥』スキルとか考えられないんだけど


『まあ国が作られた時の王様が持っていたスキルを基にしたんだけどまあそんなことはどうでもいいわよ』

「教えてくれないのか?」

『あなたが進めばそのうちわかるかもね…ああ、クレアもよ』

「僕も?」


気になる言い方をしやがって。でも気になることは山のようにあるわけだけどね。『領域』とそれを超えた力、『世界』。シオン先輩は魔族と対抗するために作られた魔法が『領域』だって説明してくれたけどあの時役に立ったかと言われれば微妙と言わざるを得ない。むしろ普段使っている時のほうが役に立っていたまである。


『今はそんな先のことを考えても仕方がないでしょ?それよりも、風の国に向かいましょ』

「それもそうだね」

「歩く?」

『今日まではゆっくり歩きましょ。あなたたち、戦いの疲れがまだ残っているし』

「え?それはもう大丈夫だよ」


さすがに1日丸々休んだらもう大分回復している気がするし魔力もほとんど回復しているように感じる。体だって痛みとかもあんまり感じないし。そう伝えるとイフリートから呆れたような声が返ってきた


『それは単に体が麻痺しているだけよ…それに今も魔法使っているじゃない』

「そうかな」


言われたので体を解除する。解除すれば体のあちこちが痛むけど…まあこれはあんな不安定なところでねたから当然と言えば当然だろう。イフリートが心配しているようなことはない。


「まだ体痛むのか?ならもう一日休んだほうがいい」

『正直もう少し休んだほうが魔力が完全に回復するんだけどね』

「てかそもそも魔力ってなんだよ。この世界に来ていきなり言われたからわからないんだけど」

『んーそうねぇ。ようは生命力みたいなものかな?それならわかるでしょう』

「まあ」

『この世界に来てこの世界に干渉を受けたことであなたたちは魔力というものを使うことができるようになったの』

「これも詳しい話はまた後日って?」

『ええ、今のあなたには知る必要がないことだもの』


やっぱりだ。イフリートのやつ何か隠している。でもそれがなんであるか全く想像がつかない。精霊の考えることなんて人間ごときが想像することができないからな


「そんなむくれるなって…でも僕も正直まだ少し痛みがあるんだ。今日もゆっくりと休ませてくれ」

「クレアまで…まあ僕にははっきり専門外である魔力が回復しきっていないってイフリートがいうのならそれに従うよ」


そして僕らは歩き出す。正直自分の体のことながら僕に何が起きているのかまったくわかっていないんだけど…一度ちゃんとしたところで体を見てもらったほうがいいのかな?


『そうしたほうがいいわね。あなたの細胞、かなり傷ついているし』

「前にも言われたなそんなこと」


そんな風にのんびりと今日は歩いて進む…僕もそのつもりだったしそれはイフリートもクレアも同じだった。でもそれは予想外の訪問者によって急遽中断される


『二人とも!』

「なにごと?」

「え、ちょ、なんだ?」


いきなりイフリートが警告を発し、森の木々がざわめき始める…えっと、何かがこちらに来ているんですかね?


「『感知(feel)』」

「『熱探知』」


慌てて感知魔法を使ってみるけれども…なにも引っかからない。ここに接近している物体はいないのか?人間もいないし他に電気を発している存在もいない


「熱を発している存在もいない…イフリート、どういうつもりだ?」

『…久しぶりね』

「イフリート?」


突然イフリートがなにもいない空間に向かって言葉を発する。えっと…そこに誰がいるんですか?


『ええ、久しぶりね。それで…どっちがあなたの契約者なの?』

『その前に姿を現しなさい?二人ともわかっていないから』

『あら、そう』


目の前の空間が急に歪んでそこから小さな女の子の姿が現れた。いや、人間ではないから子ではないのかな?とにかくイフリートに非常によく似た感じの女の子がそこに現れた


「えっと…」

「君は…」


困惑する僕らを前にして目の前の子は優雅に微笑む


『初めまして。私は水の精霊ウィンディーネ。よろしくね』

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