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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第6章 風の国の戦い
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風の国の真実

ブクマありがとうございます

これからも頑張ります

「待っていたぞ」

「昨日は話すことはなにもないって言っていたくせに」


急に呼び出されて何かと思ったが王座の間には父上を含む国の上層部が勢ぞろいしていた。シズクの父親だっている。さすがに何事かと疑いたくなるな


「まあよい。要件を述べるぞ」

「それなのになぜここには大勢人がいるんだ?僕と父上のみでいいはずなのに」


全員が僕の方を向いている。さすがに気持ちが悪いんだけど。これは一体どういうことだ?


「そうはいくまい…だがまあ先ずは順を追って話そう」

「なにを企んでやがる」


ウィンディーネ、もしかしたら君の力を使うかもしれない。だから準備をしておいてくれ。『ええ、わかったわ』


何か異様な気配を感じる。だから今まで隠してきたウィンディーネも明らかにする覚悟で臨む。


「一週間後の結婚についてだが」

「ああ、あったな」


やはりこの話題か。一応取り消しになったということもありうるのだろうがそんなことは決して起きないな。


「向こうの姫がこちらに来ることになった。だからそれに合わせてお前もいくつか準備をしてもらいたい」

「それはここにいろ、ということを言っているのか?」

「そうだな今日みたいに勝手に出て行かれても困る。ああ、特にトレアスの家に行くのはダメだ」

「なぜだ?」


というかなんでシズクの家に行ったことがばれているんだ?シズクの父親の方をみれば怖い顔をした父親と目があった。いや僕あなたの娘さんになにもしていませんからね?


「はぁ、婚約中の王子が女の家に行くなど外聞が悪い」

「あいつは幼馴染みだ」

「知らん」


一刀両断されてしまう。これはまあ自分でも言っておきながら苦し紛れの言い訳というか屁理屈だとは感じていたからしょうがないか。


「だからここにいろと」

「ああ、そして精霊(・・)にも我らを探らせないように伝えておけ」

「ああ、わかっt…」


ちょっと待てオイ。こいつ、今なんていった。言葉のなかに精霊って言葉が混ざっていたように思えるのだが。いつもなら流すことができる言葉だがあまりにも急だったので思わず顔や態度に出てしまった。


「ほお、やはり精霊と契約を行っていたのだな」

「ぐぐっ」


だが、どこからバレた?こいつの存在を話したことがあるのはシズクだけだしシズクの家に行ったときなどでも召喚するときはかならず周囲の警戒を行っていた。第三者が近くにいるか覗き見をしようとしていたらすぐにわかるはずだ


「だんまりでは困るな。今もそこにいるのだろう?」

「…」

『シオン…召喚して』

「わかった『精霊召喚・ウィンディーネ』」


ウィンディーネからも言われたので召喚を行う。でもいきなりどうしてみんなの前で姿を表すようなことをいったんだ?


「これはこれは、水の精霊」

『あなたと…あなたね』

「?」


出てきたと思ったら周りの人たちを見渡して二人を指差した。シズクの父親と…もう一人は確かこの国の税とかを扱っている人だったっけ


「ウィンディーネ、あの二人がどうかしたのか?」

『あの二人が魔族よ』

「なっ」


あの二人が!?


『ええやっとわかったわ。だからあなたがシズクの家にいたことも、私の存在もバレたのよ』

「その通りだ…まさかこんな近くに水の精霊がいるなんて思いもよらなかったがな…よい王子を持ったものだ。精霊に認められているとは」

「父上、危ない!『(ice)』」


氷の塊を作り出してシズクの父親に向かって放っていく。気に食わない父親ではあるけれど別に死んで欲しいわけではない。


「『火』」

「…ぐっ、父上!逃げてくれ」


だが、すぐに炎が出現して氷が溶けてしまった。シズクの父親は確か風の属性を持っていたからおそらくもう一人の方が発動させたのだろう。しかし、再度警告をしたにもかかわらず父上は王座から動こうとしなかった


「父上!」

「おかしなことを言うな。シオンよ。なぜ、我がここを動かねばならぬ?」

「え?」


不審に思ってあたりを見渡してみても精霊が召喚されたことについて驚いた表情をしたものはいても国の重鎮に魔族がいることを告発されても驚きを出すものはいなかった。まるで当たり前のことを言っているかのごとく


「まさ…か」

「ここに我の敵がいるならともかく、ここには誰もいないではないか。強いて言うなら貴様がそうなるぞ」


そして誰もが魔法を使う準備をしていた。シズクの父親や税の管理をしていた人ではなく、僕に向かって


「嘘だろ…」

『なるほどね。「風」の国はすでに魔族に支配されているのね』

「支配とは違うな。風の精霊よ。国王は我々の計画に賛同してくださっているだけだ。そしてそれはここにいる全ての者も同じだがな」

『だから正体を掴むことができなかったのね。ここに結界を張ることで私の目をごまかしていたと』

「それでもこうして出現すればすぐに見つけたことは褒めてやろう。貴様らも我々が人間に偽造していることは読めていても魔力を封じているとは思ってもいなかったみたいだがな」

『ご丁寧に別人にしてもらっていたなんてね』


何かのネックレスとかで封じているのならすぐにわかる。だがこいつらは人間に魔力を封じてもらっていたのか。それならば物証が残らないからいくらでも言い訳ができるしウィンディーネもわからない。せいぜい魔力が少ないくらいしか思っていないはずだ


「誰が、魔族じゃないんだな…お前ら、全員が魔族側ということだな」

「だから違うと言っておろう。シオンよ我はこの者たちの考えに賛同したに過ぎん。そして代わりに我に力を貸してくれることになっておる」

「どういうことだ。というかお前の目的はなんだ?」

「決まっておろう。世界の統一だ。全ての国家を一つにまとめ我がその頂点に君臨する」

「馬鹿げてる」

「だがその精霊の力も手に入れれば実現可能だ」

「そんなことできるかよ」


そもそも精霊というものは認めた人間にしか力を貸さないっていうしお前らでは協力を得られないだろうが


「お前がいればいい」

「僕が素直に協力するとでも」

「お前が協力しなくてもよい」

『シオン』

「まさか!『氷の(ice・)領域(field)』」

「遅い、『蟲の世界』」

「うぐっ」


何か魔法にかけられると思って『領域』を展開しようとしたけれど、それよりも先に別の魔法が発動されて僕の『領域』が打ち消されてしまう


『これは「世界」!?てことはここにも王クラスが…』


ウィンディーネが何かを言っているようだけれども何を言っているのかよくわからない。頭がガンガンする。僕は一体どうなるのだろうか


「ゆっくりと休むがよい『傀儡蟲』」

『シオン』

「では精霊も…」

『そうは…いかない!』


お願いだ。ウィンディーネ。君だけでもここから逃げてくれ。そして頼れる人を見つけて…多分サリア先輩ならば助けてくれるだろうから彼女を頼ってほしい


ゆっくりとウィンディーネが僕から遠ざかっていくのを確認しながら僕はゆっくりと意識を失っていった。

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