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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第6章 風の国の戦い
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水の精霊

ブクマ・評価ありがとうございます

これからも頑張ります


『でも、その前に私をシズクに見せなさい?あーでも少し待って』

「もしかして…」

「お飲物をお持ち致しました」

「あ…ありがとうございますわ」


メイドさんが飲み物を持ってきてくれる。助かった。この力はあんまり人に見せたいものではないからな。知っているのは僕とシズクとサリア先輩とあとは…なぜかシェミン先輩も知っていたな


「失礼します」

「…」

「それで?ウィンディーネ様はなんと仰っているのですか?」

「ああ、今呼ぶよ『精霊召喚・ウィンディーネ』」

『久しぶりね、シズク』

「お久しぶりです」


僕が魔法を発動させると目の前にウィンディーネが具現化する。水の精霊、ウィンディーネ。イフリートと同格の4大精霊の一角。穏やかでとても頼りになる。他の精霊とは違い羽が小さいけれど代わりに水が常にまわりに浮いている。まあウィンディーネ曰く小さい時の状態はほぼ変わらないみたいらしいけど。色が違うくらいで。僕がかなり魔力を注いだ本来の姿(・・・・)になれば違いがわかるらしい。したことないしてか他の精霊はフェンリルしか見たことないからわからないけど。性格は精霊の中でもおしとやかで穏やか…らしい。これらは全て本人からの自己申告だから真偽はわからないけど


「それで、ウィンディーネ様、私たちにお話ししたいことはなんでしょうか」

『ふふっ、簡単よ。えっと、一応確認したいのだけどシズクが確認した人たちはイフリートと契約はしていないのよね?』

「はい、そう聞いておりますわ。契約が行われているとすればミライくんかクレアくんの可能性が高いと」

『そう、ならどちらかが…もしかしたら二人とも一緒にいるかもしれないけどイフリートと契約した人が「王」を討ったわ』

「王?」

「どこの国の!?」


おいおいあいつらどっかの国でクーデターを巻き起こしたっていうのかよ。なにその展開やばすぎるだろ


『ああ、違うわ。彼らが殺したのは「古の王」言ってみれば…魔王みたいなものね』

「へ?」

「つまり…ミライくんは世界を救った可能性があると?」

『そういうことね。シズクのいうことが正しくてその子たちのどちらかがイフリートと契約していた、ということが事実なら』

「それは…」


これは光明が見えてきたか!?もし世界を救っている、王を討っているというのならば彼らの処遇が考え直される可能性が非常に高くなる。


『ただ、気付いているのは私たち精霊ぐらいでしょうね。だからあんたの妻と』

「まだ結婚してねえぞ」

『あら、そんな怖い顔をしなくてもいいじゃない。とにかく精霊の契約者だけだから…』

「それを証明できる人がいない、ということですね」

『そういうことね』


証明しようにも精霊と契約しているのが僕やサリア先輩だから当然ミライたちをかばっていると判断されてもおかしくない。それに僕は精霊の存在を隠している。こんなことバレたら絶対にろくなことにならないし。せっかく見えた光明がすぐに消えてしまった


『まあ王クラスを倒せるってことはそれだけ強いってことだからそこらへんの兵士に捕まるとは思えないけどね。イフリートもいるし』

「それは…」

『ま、人間の王様も馬鹿じゃないしすぐに殺さないでしょ。そんなことしたらどれだけの戦力が失われるかすぐにわかるでしょ』

「それは…そうだけど」


戦うことでしか彼らは罪を清算できなくなる。つまりこれから彼らが進もうとしている道はかなり困難な道になるということだろうか


『どうせ麒麟や朱雀に目をかけられている時点で普通の人生なんて無理よ。それに…』

「それに?」

『なんでもないわ』


思わせぶりなことを言っている。そういえばミライたちのことに関してなにかしらの隠し事がある気がする。シェミン先輩についても教えてもらえなかったし


「それで、ウィンディーネ様からは何もないのでしょうか?」

『ああ、忘れてたわ。どうやらこの国にも魔族が入り込んでいるみたいよ』

「そんな!それではすぐにお父様に」

『無駄よ。魔族はこの国のかなり中枢に入り込んでいるみたい。だから下手に騒ぎにすれば潰されるわよ』

「そんな…」


都合の悪いことに僕やシズクはサリア先輩やセリア先輩と仲が良すぎる。さらに学校にてミライやクレアのことをよく世話している。ついでにいえばクレアは僕のギルドのメンバーの一人だし。だからそのことを突かれてしまえば僕らはここでの立場がなくなってしまう。


『まあイフリートもいるし大丈夫でしょ。心配するだけ無駄よ』

「それもそうですわね、イフリート様がいらっしゃるのであれば心配はいらないと思います」


ウィンディーネたちが言っているように心配するだけ無駄なのは間違いない。だから僕らは僕らの方に集中するべきだろう。


「シズクもウィンディーネも探れるだけ探って欲しい。でも無茶だけはしないでくれ。特にシズク」

「わかっています」

『私たちをどうにかできるやつなんていないわよ。生半可な感知能力では私を感知することすらできないし』

「というか精霊を感知することはできますの?」

『そういう人間もいる、とだけ言っておくわ…他には私から伝えることはないわね』

「そうですか」

「ありがとう、ウィンディーネ」


僕は一度聞いていたけれど再度シズクのために説明してくれたのはありがたい。


「それで、次に伝えるのはいつにしますか?」

「うーん、正直言いたくないけど婚約の件でかなりドタバタしそうなんだよね」

「大変ですわね」

「サリア先輩と早く連絡を取りたいんだけど」


コンコン


「ん?」

「どうぞ」

「失礼します」


またしてもドアをノックする音が聞こえるたのでシズクが入室を許可するとメイドさんがまた入ってきた。少しばかりこわばった表情をしているのも気のせいではないだろう。何か良くないことが起きたに違いない


「シオン様」

「ん?僕に?」

「なにがあったのですか?」

「えっと…じつは王宮より使者が来ていまして…シオン様を出すようにと」

「…」

「なぜバレたのでしょう?」

「誰かに見られていたか?」


ここに来るときにシズクは確かに隠密魔法を使っているけど僕は使っていない。だから僕のことに気がついていれば当然ここに来ていることが王宮に伝わるだろう。そういう風に解釈すればギリギリ納得ができる。シズクの家のメイドたちが…ということも考えられなくはないが、そこまで気にする必要はないだろう


「すぐに向かう。シズク、ありがとう」

「いいえ、また何かありましたら伝えてください」


シズクに礼を言って僕はシズクの家を出て行った。そして外に待ち構えている王宮からの使いの元へと行く。


「お待ちしておりました。国王陛下がお呼びです」

「父上が?」


昨日は僕と話すことがなにもないって突っぱねたくせにどういう風のふきまわしだろう。少し不安になりながらも僕は使いが用意してくれていた馬車に乗り込むと王宮へと戻っていった。

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