第5章エピローグアンド第6章プロローグ
葉月一週目水曜日
「う…うぅ」
目がさめるとあたりは一面真っ暗だった。これはもう夜なのか?
『あ、起きたの?』
「イフリート…」
『ほんとあなたよく寝てるわね』
「今日は何日だ?」
なんとなくかなりの時間寝てしまっていたようなことを言われたので慌てて聞いてみる。これで1週間ぐらい寝ていましたって言われたら笑いものなんだけど
『心配しなくても1日も経っていないわ』
「お、起きたのか」
「あ、クレア」
「ほら、夕飯」
「ありがとう」
クレアが買ってきてくれた夕飯を二人で食べる。うん、おいしい。
「それで、これからどうする?」
『とりあえずこの国から出て行った方が良さそうね。あなたたち今不法入国中だもの』
「そうなるよなぁ」
そうなれば絶対に出るときにゴタゴタしそうなんだけど。うまいこと誤魔化せないかな?例えば…怪我しててその治療してましたとか
「それなんでって間違いなく聞かれるよ」
「だよなぁ」
『祭りで手薄になっていることに託すしかないわね』
「だね」
最悪一度国から出てしまえば『電気鎧・第四形態』を使うことによって無理やり逃走することが可能だからね。もう大きな罪を犯しているんだ。今更細かい罪が増えたって変わらない。大は小を兼ねるってやつだ
『それ、微妙に意味が違うんだけど…まあいいわ』
「それじゃあ食事もすんだし動くか。ミライ、動ける?」
「ああ、大丈夫」
ただ、昼間にあんな別れ方をしてしまった以上、メイさんとかと出会ったらかなり恥ずかしいからそこだけ気をつけないとね
『大丈夫でしょ?まあ一応私がみといておいてあげるから』
「ごめん」
イフリートが周囲の警戒をしておいてくれるのなら多分大丈夫だろう。そういうわけで僕とクレアは移動を開始する。そういえば今日は明日から始まる祭りの前夜祭なんだっけ?だからかなり人で賑わっているんだな
「だからさっきクレアが買ってきたものが屋台で売られてそうなものだったんだ」
「誰も気にしていないからね」
「屋台とかの出し物って日本とあまり変わらないんだな」
『手軽料理ってのもあるけどあんまりあんたの故郷と違うものを持ってきたらきついでしょ?』
「なるほど、助かる」
確かに普段食べ慣れていないものを食べるのってなんやかんやストレスがたまるみたいだしね。通常時なら特に問題ないんだろうけど今僕はかなり疲れているだろうしイフリートの判断は正しいだろう
何気ない雑談をしながら僕らは祭りを尻目に去っていく。かなり人が多くて少し酔いそうになったけどまあ、これぐらいはなんとかなるか。てかこんなに人がたくさんいるの久々にみるなぁ
「そうだね」
「ま、さっき大きなことを終わらせたししばらくは…「はいはい〜号外だよ〜ビックニュース!」ん?」
ゆっくりできそう。そう言おうとしたら遮られるように号外が配られているところにやってくる。おいおいこれまさかとんでもないこと書かれていないだろうな。明らかにやばそうな流れなんだけど
「ついに僕らの正体が割れたとか?」
「あーありそう」
つまり全世界に僕らの犯罪が知れ渡ってしまうということか。それは辛いけどまあいつか来ることだし覚悟はできてる。ま、一応きになるからしれっと貰ってくるか
「すみませーん、ひとつください」
「はいよ〜」
日本と同じく料金を取られることなく号外を受け取る。あれ?そもそもこの世界の新聞の仕組みってどうなっっているんだ?これもあとでクレアとかに聞いておかないとな。それで?なにがかいて…
『どうだった?』
「なんでそんなに固まっているんだ?」
「…」
なかなか戻ってこない僕を不審に思ったのだろうクレアとイフリートはこちらにやってきた。そしてなにがあったのか聞いてきたんだけど…衝撃で声が出なかったので渡された新聞をクレアにつき渡す。正直まだ信じられない。いろいろなことが書かれ過ぎていてなにがなにやら混乱してしまう
「なんでそんな…」
『あら、めでたいじゃない…って素直に祝えそうにないわね』
クレアも僕と同じように絶句してしまっている。そう、確かに書かれていることはめでたいことなんだ。素直にお祝いすることができるだろう。でもなにか信じられない自分がいる。真偽のほどがわからないから確かめに行くしかないけど
『これは次の目的地が決まったわね』
「そうだな」
「位置わかる?」
『なんとかするわ…そこにはあの子もいるしなんとかなるはず』
「頼む」
僕らは今度は足早に駆けていく。今は祭りを祝おうって気分に全くなれないから僕らが捨てた号外にはデカデカと一つの内容の記事が書かれていた
『風の国の王子シオン・レリアシス、月の国の姫サリア・リーズベルトと婚約!』
今回で第5章は終わりです
次回に第5章のキャラクターのまとめがあります
その次から第6章『風の国』編開始です