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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第5章 バックアップ
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初めて入る攻撃

葉月一週目水曜日


戦闘に流れがあるというのなら今その流れはこちらに向いている。新しい魔法によって形勢が大幅に不利から一時微有利になりそして今はトントンだ。でも精神面ではこちらが大幅に有利。


「いくぞミライ!」

「ああ、絶対に勝つ!」


クレアと互いに鼓舞をする。この魔法がどれだけ持続するのかわからないからそれだけが少し不安だけどやるしかない。


「『放電(thunder)』」

「『しょうこりもなく…』」

「『発火』からの『火の玉』」

『爆発に紛れてミライが接近!』


イフリートの指示に従って突っ込む。もちろんちゃんと自分でも考えるけど今が従ったほうがいい気がする。あいつに近づいていく。あいつはさっきの閃光によって落ちた視力がまだ回復していない。だから僕の接近にも気がついていないみたいだ


「とりゃああ」

「『!…ぐっ』」


今まで散々殴られていたからその仕返しとばかりに腹に全力で殴る。でもなんかいつもよりも殴ったときの威力が小さい気がする。『電気鎧(armor)第三形態(third)』が発動していないと僕ってこんなにも威力が出ないのかよ


『それでもあなたの電気による痺れとクレアの火による火傷効果は見込めるわね』


威力が小さい代わりに追加効果が多い感じになってる。ん?少しずれるけどもっと色々な人とこの魔法を使えばいろんな効果が合わさったりするのかな


『今はそんなこと考える暇なんてないわよ』


それもそうだ。あいつもすぐに視力が回復したようで僕の攻撃を全部ガードしている。基礎能力が落ちている今だとちょっと厳しいな。クレア、補助を頼む


「おっけー『加速(ブースト)』」

「『またしても距離をとりおって』」


僕の拳から炎が吹き出てあいつから逃げることができた。


『あんた「第三形態(third)」が使えないと本当に肉弾戦弱いのね』

「だって半年前まで普通に高校生してたからね!」


この世界みたいに運動っていうか誰かと戦うような訓練なんて全くしていないから。そりゃ当然ですよ。


「『そこまでだ。「王の世界」』」

『来るわよ』


最強の魔法がきた。あれどうやって防げばいいんだろう。『相手との距離を意識して!』…あ!


「『「吸血」』」

「ぐっ」

「ミライ!『火の玉』」

「『遠隔起動(remote)』」


吸血を受けてしまったことであいつが回復してしまった。すぐにクレアが魔法を放ってくれたのでそれらを全て爆発させる。しかし、その攻撃はまたしても出現した土壁によって防がれてしまう


「『そろそろ終わらせようか「水刃」』」

「『放電(thunder)』」


ここにきて新しい魔法かよ。いや、でもあいつが作り出しているのは刃の形をした水。だからおそらく基本的な魔法なんだろうけど…あいつ属性何個もっているんだよ。


「見た限り『水』に『土』に『風』に他二つだろ?さすがに多すぎる」

『そうね。でもあいつは自分のスキル以外は基本的な魔法しか使っていないわ』

「それでも強すぎる」

「『炎の舞』!ミライ」

「おっけー」

『攻撃するふりをして電撃を上空に』


クレアが炎であいつを囲う。当然僕の電気を帯びているから爆発させることができる。でもここはしなくて代わりに電撃を上に向かって放つ。そうすれば


「『くると思っていたぞ「竜巻」』」

「!」


風が巻き起こり炎が全て消されてしまう。やべえ。あ、でもついでに土壁も吹き飛ばしているけどいいのか?あれクレア側の防御機能も備えていたんじゃないのか?


「『逆に言えば我に対しての防御の役割も担っていたろう?』」

「…!クレア!」


警告を発したけど遅かった。あいつは僕ではなくクレアに狙いを定めていたようだ。後ろから電撃を放つが全部防がれてしまう。そしてクレアも対応しようとしたけれど身体能力の差が激しいのですぐに捕まってしまった。でもどうして急に!?


「え?」


駆け寄ろうとした僕もまた急に動きが鈍くなってしまった。なんでこんなことになっているんだ?


『初めてだったっていうこともあって時間がきたということね。まあお互いに魔力はまだ残っているし少しぐらいならコンボはできそうね。でもさっきまでの破壊力はないと思ってくれていいわ』


解けちゃったのか。予想よりもかなり早く解けたというか普通に魔力が切れなくても終わっちゃうのか。少し残っているというのなら使う時期を見定めて使うことにするか。おそらくあいつももう使えないと思い込んでいるだろうし


「『電気鎧(armor)第三形態(third)』」


第三形態(third)』を発動させてあいつとクレアがいるところに向かう。すぐにクレアを助けなくちゃ


「うぐっ」

「『至近距離からの攻撃は避けれまい「水刃」』」

「…」


水の刃がクレアの体を切り裂く。そのまま手を離されるとクレアの体は力を失ったように地面に落ちる。一瞬だけど昨日のイヨさんの姿がフラッシュバックする。『大丈夫!かろうじて生きてるわ』イフリートの声でなんとか冷静さを保つ。いや冷静さなんてない。


「クレア!」

「『これで、一人目。「水刃」』」


あいつの手から魔法が放たれる。ダメだ。間に合わない。…あんまりしたくなかったけどするしかない


「『誘導(root)』」

「『なに!?』」


地面に倒れて全く動きそうになかったクレアの体が急に動いて刃をかわす。僕の電気を使ってクレアの脳内を一時的に操り体を転がせた。予想していなかったのかあまり刃を出していなかったので動かす距離が少なくて済んだ。


「間にあったぁ!」


驚いて一瞬固まった隙にクレアとあいつとの間に入り込む。そしてそのまま右手でパンチ!…は防がれてしまった。


「『最後の魔力か』」

『ええ、そうよ!』

「『!』」


僕の手から炎が吹き出す。ああ、これがクレアの最後の魔力か。これで完全に『第4形態(force)』は解かれたことになるんだな。炎に一瞬ひるんだ隙をついて僕は左手を動かす。右手を止められた瞬間に左手を動かすようにイフリートから伝えられていたのでロスなく行うことができた。そしてそのまま僕の左手はミイさんの腹にめり込むように命中する。何気に僕あいつに初めてこうして攻撃を直接的な物理攻撃を当ててないか?


「『うぐっ、だがこんなもの我にはまったく効かn…?』」

「?」


あいつはすぐに立ち上がってこちらに向かってこようとした。でも急に動きが止まる。え、急にどうしたっていうんだ?


「『う、ぐっ、なぜ今になって急に…貴様が出てくる?』」

「は?」


いや僕ずっとここにいるんですけど。てかお前が昨日呼んだんだろうが。なにおかしなことを言ってるだよ。


『ミライ、違うわ』

「え?」

『まったく、大した少女ね。いや、もともとこうなることを予期してたのかしら』

「ど、どういうこと?」


なに一人で勝手に納得しているんだよ。僕にもわかるように説明してくれよ『すぐにわかるわ』いやすぐにわかるわと言われましてもね。困惑する僕にさらに追い討ちをかけるかのようにあいつが口を開く


「う…ぐ、ミライさん?」

「え?…ミイさん!?」

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