三日目開幕
186話を一部変更しました
変更点
ムツキの最期の時にミライが手を握っている
ご迷惑をおかけして、すみません
葉月一週目水曜日
いろいろなことが一気に起こりすぎてパンクしそうな日を終えて僕は目がさめる。いや、これではまるで自力で目を覚ましたかのように言われるだろうけど実際は違う。
『おーきーろー』
「うるせぇ」
『あんた精霊にむかってなんて口の利き方よ』
「え、うわ、ちょっ、あの、すみません本当にすみません。だから燃やさないで!燃やさないでください。お願いします」
イフリートに叩き…訂正燃やされて起こされた。なんて起こされ方だよ。早朝朝ドッキリでもここまで過激なことはしていなかったよね?見たことないから知らないけど
『やっと起きたわね』
「もひかひて、ぼくしゃいご?」
『あくびぐらい噛みころしなさい』
「すみません」
せっかく人が気持ちよく寝ていたっていうのになんでこんな風に叩き起こされなければいけないだよ『いいから、あんたが最後。疲れているだろうと思って最後にしてあげたんだから』あ、それはどうも心遣いありがとうございます。
「もう朝なのか?」
『まあそうね』
「はぁぁぁあ」
あくびをかみ殺し損ねながら食事をとるところに向かう。そこにはすでに僕以外の人たち、フランさん、クレア、メイさん、ミナさん、フタバさんがいた。
「あ、本当に起きてこれた。クレア君が言ったとおりね」
「まあね」
クレアがこちらを向きながらちょっと笑いながら告げる。ああ、そっか。フランさんにはイフリートのことはまだ話していなかったんだっけ。だから僕が起きてこないから起こしに行こうとしてクレアに止められたとかそういうことかな。そして実際にはイフリートに起こされたんだけどフランさんからみたら僕が一人で起きてきたように見えるわけか
「じゃ、ミライくんも起きてきたことだし朝ごはんにしましょ?」
「はーい」
そしてこの国に来て二回目の朝ごはんが始まる。えっとそういえば僕らがこの国に入れるのって今日までなんだっけ?
「いや、明日の昼まで」
「え?ミライくんたちもう出て行くの?」
「あ、うん」
そういえばこれも話していなかったね。なのでフランさんに僕らが明日出て行くことを伝える。
「そっかー、せっかく明日の夜から祭りが始まるっていうのにね〜」
「しょうがないよ」
確かに祭りをみることができないというのは少し残念だけどまだ時間があることを喜びたい。もし今日でていかなければいけないのならあいつとまともに戦えなかったかもしれないしね。
「そうね。じゃあ今日はどこを観光するの?メイ案内する?」
「ううん。私は今日家にいるよお姉ちゃん。ミナとフタバと過ごしてる」
『私が頼んだの。彼女たちを守ってって』
確かに昨日のこともあるしあいつらがミナさんとかを狙ってこないとも限らない。僕らが回復したということは同様に彼らも回復するということができるということだ。だから襲ってくる可能背がありその対応ということでメイさんを残したのだろう。そもそも僕とクレアはあいつに呼ばれているからして残ることができないからね…そういえば昨日イチカさんをまったく見かけなかったけど彼女は完全に向こう側に着いたのだろうか
『ん?彼女は昨日メイが話をしたみたいよ…彼女は感情のほとんどを失っているから命じられるままの行動をするみたい』
そっか。でもまあ感情が壊れているっていうのならそれはそれでいいのかもしれない。自ら進んでこんな研究に加担しようとするなんて考えたくもないし。それはまた、これからあいつをぶっ飛ばしてからなんとかしよう
『ん〜。ま、そんな簡単じゃないんだけどね〜』
なんだよ。なにかわかっているんなら話してくれよ『後でね〜』はいはい、わかりましたよ。イフリートとの会話を終えて僕はまたフランさんとの会話に戻る。
「それじゃミライくんとクレアくんはどうするの?」
「僕らは適当に観光しておくよ。まだまだ見るべきところが託さんあると思うし」
「まあ確かに1日2日で見て回れるとは思えないからね〜クレアくんも?」
「僕もミライと同じかな」
「そっか〜じゃあ、よかったら私が案内しようか?」
「「いや、大丈夫」」
「も〜二人ともひどいなぁ」
だって実際には観光になんて全くいかないからね。てかここに2日もいたっていうのにほとんど見て回っていないんだけど。『強いていうなら研究施設を回ったくらいね』それはなかなかに笑えないジョークなんですけど
「ごちそうさま」
「うん、お粗末様。二人とも昼はいるのかしら?」
「あー」
そういえばあいつに時間指定ってされていたっけ?いや僕記憶ないからわかんないや。イフリート、されてた?
『いや〜言われていないけど。どうせなら昼の太陽が一番出てる時に行きましょう。てかそうしないとあなたたちに勝ち目はないわ』
吸血鬼って日光が苦手だって話も聞くけれどさ、それって実際のところどうなの?
『うーん、まああんまり身体能力とかは変わりないわね。ただあいつらが使う洗脳魔法が解きやすいぐらいかしら』
へ、へえ。てか洗脳魔法ねぇ。そんな魔法も使うことができるとかかなり万能なんだな。滅びた種族だっていうけれどもし今も生きているとしたらきっと厄介なことになっていただろうな
「悪いけど昼もここで食べるよ。だから今日は僕とクレアで作るよ」
「あ、そう?助かるわ。じゃあ私は午前中は買い物に出かけてくるから調理をお願いね」
「うん、わかった」
そして朝ごはんの時間が終わる。昼まで少し時間があるからどうするかな。もうさっさと準備を始めてもいいし少しだけ体を動かしてもいいし
『気持ちはわかるけど今は休息に努めなさい。まだ魔力が完全に回復していないじゃない』
そうなのか?足りないという感覚はわかるんだけどそれ以外はあんまり意識したことがないからね。てっきり一晩寝たら全部回復したのかと思っていたよ
『回復はしているんだけどまだ全部してないってだけね。クレアもそうだけどあなたたちの魔力量を考えれば他の人より回復に時間がかかるってことを覚えといてね』
今までは魔力がたくさんあればその分たくさん戦えると思っていたけれどそれだけデメリットもあるんだな。
『いや、ないわよ。別に一度空になったら全部回復すするまで魔法を使えないとかそんなことないんだから』
「じゃあどうして止めるんだよ」
『はぁ』
いやあの、ため息をつかないでくれますか?だって昨日の感じからしてなんとなくだけど僕の魔力の中にイヨさんの電気を感じるからどんな風に違うのか確認しておきたかったんだよ
『まあそういう風になってるのをたまに見るんだけど大丈夫とだけ言っておくわ。それよりも、いい。あいつとの戦いは基本的に常に「電気鎧・第三形態」と「感知」プラス他に一つをずっと使い続けることになるわ。だからできる限り長く戦えるように魔力を確保しておいてください』
「わ、わかったよ」
僕にはあいつと戦った記憶はあんまりない。途中でイヨさんを逃していたからだ。でも少なくともあいつの能力がかなり強いことだけはわかる。だからできる限りのことはしないといけないんだな。
イフリートに止められたこともあってそのあとはのんびりとミナさんと話をしたりフタバさんと遊んだりしながら昼までの時間を過ごした。同時に昼御飯の準備をする。
「ごちそうさまでした」
「ミライさんって料理できたんだね!」
「まあね。フタバさんも練習したら?メイさんとかかなり上手いよ」
「そ、そうですか?」
『ミライ、そろそろ』
「クレア、いこ?」
「ああ、そうだな」
クレアに呼びかけてそして出かける準備をする。緊張しないといえば嘘になる。こんな展開って何気に初めてだしね。しかも相手はかなり格上。勝てるかどうかわからない戦い。
「ミライさん、クレアさん」
「メイさん…」
そんな僕らにメイさんが声をかける。フランさんがいるからあんまり直接的なことはいえない。それでも彼女が僕らの身を案じ、心配していることはわかる。メイさんの手が僕の手に重ねられる。ああ、怖いのだろうな。だから僕も優しく握り返す
「ちゃんと夜までに帰ってきてくださいね」
こちらは任せといてください。
そんな言葉が聞こえた気がした。きっとそんなことを思っていたんだろう。だから僕らもちゃんと安心させるように言葉を返す。同時に握った手に力を込める。…?さっきからなにか流れ込んできてる?
「ああ、任せて」
「大丈夫だよ。メイちゃん」
必ず、終わらせてくるから
僕らは向かう。この三日間の戦いに終止符を打つために。僕らが研究所についたときにあいつは入り口のところに立っていた。そしてやってきた僕らをみて満足げに頷く。
「『待っていたぞ。さあ、はじめよう』」
僕にとってリベンジ戦。最後にして最大の敵との戦いが始まる




