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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第5章 バックアップ
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メイの胸中

今回はメイ視点となります。ご注意ください

また、ブクマ・評価・感想ありがとうございます

励みになります。

葉月火曜日一週目


「急いでください!ミライさんが・・・ミライさんが!」

「わかってるわ」


私は今精霊様に呼ばれてイヨとミライさんを助けに来た。でも精霊様が言っていた場所に彼らの姿はなくあったのは何かしらの魔法が使われた後だけ。これはおそらく転移魔法。彼らは連れ去られてしまった。それを告げた私に精霊様は案内を頼んだ。クレアさんを呼ばなくていいのか聞いたけど帰ってきた返事は


『いい。多分クレアが行ったらダメだと思うから』


私には精霊様が何をお考えなのか全くわからない。でも急いだ方がいいのはわかる。ちなみに私は今精霊様の姿がきちんと見えているし声も聞こえる。気分次第で伝えることができるみたいだ。ただ、契約者であるクレアさんの魔力補助がないと厳しいみたいだけど


そして研究所だと当たりをつけて精霊様と向かっていた矢先にイヨと合流。そして今、ミライさんと吸血鬼の王が戦っているのだと知った。


『吸血鬼の王……あいつね。こういう陰湿なのを考えるタイプと言えばタイプね』

「精霊様は敵のことをご存知なんですか?」


精霊様はやはりなんでも知っていらっしゃる。それに、イヨや精霊様の話が正しければ私をこんな研究にイヨたちがこんな研究に捕まった元凶はその吸血鬼だとわかる。私にとって長年の倒すべき相手。だからぜひとも情報が欲しい


『情報って言ってもね………大したことはないわ。私が知っているのは真の名前といくつかの魔法ぐらい』

「真の名前?」

『そ。さすがに吸血鬼の王っていうのが本名なわけないし………てか、その精霊様ってのやめてくれない?なんだか恥ずかしい』

「いえ、精霊様を呼び捨てにするなんて」

『それが普通の反応よね』


私だって知っている。精霊様と契約した人間は立場が対等になるので基本的に呼び捨てというかいささか敬意が欠けた感じになる。『フレンドリーっていう便利な言葉があるわ』そんな言葉があるのですね。フレンドリーいい言葉ですね。しかし私から見てミライさんの対応はさすがに不遜と言わざるを得ない。なんであんな態度をとることができるんだろう。精霊様のことが怖くないのだろうか


『ま、あいつは少し特殊なのよ。気にしなくていいわ』

「わかりました。精霊様がそう言うのなら」


それにもうこれ以上無駄話をするわけにはいかない。研究所が見えてきた。もうすぐでたどり着く。イヨの話だと出入り口からわりと近いって聞いてたけど………


「あれは!ミライさんの閃光」

『ミライの「閃光(flash)」ね。まずいわ。急いでもらえる?』

「はい!ごめんイヨ、先に行くわ『加速(アクセル)』」


ミイが使うのと同じ系統の魔法を使い走る速度を上昇させる。イヨに合わせてペースを落としていたけどそれはやめた方がいいみたいね。


「なんでまずいのですか?」

『あの魔法を使ったら今のあなたみたいな魔法が使えなくなるのよ。つまりかなりの反動がきちゃうわけ。それにイヨって子の話では向こうでそれなりに戦闘していたみたいだし』


ミライさんの魔法の仕組みはすでに聞いている。私はそれを聞いてゾッとした。狂っているとしか思えない。身体能力を底上げするだけではなく、痛みといった感覚や恐怖といった感情を抑制することができるだなんて。それではまるで戦えと言われたら死ぬまで戦い続ける人形となにも変わらない。何かのはずみで発動したのならわかる。でもミライさんは好んで使い続けている………とても正気を保っている人間だとは思えない


『まあ、それも少しだけ原因があるけど今はそれを議論しても仕方がないわ………見えたわね』

「はい。私も視認できました………戦います」

『ええ、ごめんなさい』


何を誤る必要があるのだろう。もしかして心配してくださっているのか。でもそんなことはもう大丈夫。私は、戦い抜くと決めたのだから。そのためにこれまでずっと我慢していた。このチャンスを逃すことはあの子に対する裏切りになる。だから私は迷わない。私の持てる全ての力を持って、あいつを殺す


「『電気の矢』『放電』『電気の領域(territory)』」


電気の矢を大量に生み出しミイに降り注がせる。電撃を放ったのはミライさんと引き離すため。そして同時に私の『領域』を展開する。


「『なんだ貴様、戻ってきたのか。この者がここまでしたというのに、情けない』」

「いいえ、私はあなたを殺しに来たのよ」

「『………どうやら先程の小娘とは異なるみたいだな。やれやれ我ながら同じ物を作りすぎて区別がつかなくなったとはな。それに、これは………炎の精霊よ久しぶりだな』」

『ええ、久しぶりね。会いたくなかったわ』

「『ははは、釣れないことをいう。………もしかしてその小娘が契約者なのか?』」

『いいえ、違う人よ』


私のことは放っておいて精霊様と話している。この隙にミライさんの元に駆け寄る。油断なんてしないけど………あら、すんなり駈け寄らせてくれたわね


「『なるほど。炎の精霊が来ているのなら………そのものを生かしておいてもいいかな』」

『どういう意味よ。私としてはありがたいことなんだけど』

「『なに、簡単なことよ。明日そのものとお前の契約者を我の元に連れてこいそれが見逃す条件だ』」

『そんなことでいいの?どうせあなたを殺しに来るわ』

「『ははは、だからそれでいいのだ。それに貴様も気がついているのだろう?』」

『ええ、そうね。………わかったわ。伝える。だから今日は引いてちょうだい』

「『もちろんだ。我は引かせてもらおう。では明日だ』」


そのままどこかへと去っていく。あ、待って『気持ちはわかるけど待って』………はい。


『ごめんなさい。あなたの気持ちがこのままじゃ晴れないわよね』

「先程の謝罪はこういう意味だったんですね」

『ええ、だから………せめてもの償いとして一つだけ話してあげる。どうしてあいつが見逃したのか』

「マスター!」

「イヨ………」

「ミライさんは………ミライさんは生きていますか!」

『大丈夫。命は繋ぎ止めているわ』

「大丈夫よ」


私は駆け寄ってきたイヨに伝える。きちんと診たわけじゃないから正確なところはわからないけれど精霊様がおっしゃっているのならばなにも間違っていないだろう。


『早く移動しましょう………メイ帰り道に話すわね』

「はい」

「マスター?」

「なんでもないわ。私がミライさんを持つわね」

「はい!」


ふふっ。ミライさんの無事をそこまで喜ぶなんて。嬉しいわ。この子にも感情が芽生えたのね………でもその根源を考えると不思議で仕方がないけど。それに今のやりとりで私は一つのことを思い出した。急に叫び声をあげたミライさんのことだ。そっか。あのとき精霊様と会話をしていたんだ。あのとき私は声を聞くことができなかったからだからミライさんが一人で勝手に奇声をあげたりしていたんだ。


『それじゃあ落ち着いて聞いてちょうだい。………これは言うまでもないことだけど他言無用。さらに今も出来る限り反応は無しで』


はい。わかっています。普通魔族があの様な状況で見逃すなんてありえませんし。それにイヨの話とあいつの力を考えればこうして私たちが回収に来ることを予期していた様にさえ思える。これから精霊様が話されることはきっとそれらに関係あることなのだろう。そう思い私は精霊様の話を聞いた
















『そういうわけなんだけど………顔色悪いわよ』


だって………それって………そんなのって………私より………私は今、後悔しています。だって語られた内容があまりにも酷だったから。そんな私に精霊様は優しく声をかけてくださる


『そんなことないわ。ーーーー』


………ありがとうございます。それに、きっとそうなると私は信じています。もっと言えば彼女たちの選択を。

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