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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第5章 バックアップ
197/317

新技『誘導』

葉月一週目火曜日


「!・・・え、私」

「よかった。正気を取り戻した」


イヨさんの手が動いて彼女自身の頬を叩いた。それによってルドーの洗脳が解ける。やっぱりそこまで深く洗脳されていたわけではなかったみたいだ。


「私、もしかして」

「ルドーの魔法にかかっていた。でももう大丈夫だから」

「あ、ありがとうございます」


お礼を言われて少し照れる。でも僕がしたことって結構ヤバイことなんだよな。自分の電気を使って相手の脳波をいじり強制的に行動させる。今回はルドーという別の人間に操られていたこととイヨさんの電気を僕が纏っていたこともあって実際に行動に移させることができたけど多分これ普通にしようと思ったら動きを制限することぐらいしかできそうにないな。まあ人を操ることが好きじゃないからこれくらいでちょうどいいんだけど。


「あれ?なんだか電気が消えた?」

「あー洗脳が解けたついでに魔法自体も解けたみたいだね。どうする?もう一度お互いに電気を交換しておくか?」

「そうですね。その方がいいです・・・ミライさん、私に電気を送っていたんですか?」

「え、あ、うん」


これ黙っておいた方がよかったか?でもなにも話さないとなると騙している気がして嫌なんだよな。これってあれかないわゆる自意識過剰とかいうやつなのかなぁ


「そうなんですね。なんだか違和感を感じていたんだけどミライさんの電気があったんですね」

「あー気づいていたの?」

「なんとなくですけど」


気がつかれていたのならもう特に隠す必要なんて何もないね。ならもう隠している必要性なんて何もないし全部話すとするか。そういえばイフリートのやつ今何をしているんだろう。メイさんを探しに行くって言ってどっかに行ったんだけどそれっきりだな。まだ僕らがこの場所にいることに気がついていない感じなのかな


「あとここにいるのって・・・」

「ミライさんが知っている人だとミイとイチカ、それにソラさんの三人は確定ですね。ナナは何をしているのか知りませんけど多分いると思います」

「あーほかに研究者は?」

「まだ10名前後います」

「だよね」


ここまで大掛かりな研究をしているのだもの当然それなりに人員はいてしかるべきだよな。でもそれにしても10っていうのは多いのか?それとも少ないのかな?魔族が絡んでいるから人を絞りたいっていうのもあるのだろうけど普通クローン研究ってなれば100人単位じゃないのかな。あ、魔法を使うことで補っているのか。


「とにかく・・・」


イヨさんにこれからの行動を話そうと思ったけどどうしよっか。一番はイフリートたちと合流を目指すってのが安定なんだけどどのみちここから移動しなければいけないことには変わりないよね。そうなった時にもしほかの研究者と出会ってしまったらと思うとうかつに動けない?いやひとまず


「『感知(feel)』」


これでよし。ミナさん系統の魔法を使う人がいたら意味はないけれど・・って聞けばいいのか


「さあ?正直あんまりほかの人の魔法は知りません」

「そっか」


まあ普通研究対象としてしか見ていないから教えるはずがないよな


「助けになれなくてすみません」

「え?いやいやいいよ」


かなり申し訳なさそうな顔をしているのをみてこちらまでもが申し訳ない気持ちになってくる。もちろん期待を全くしていなかったかと言われれば嘘になるけど大抵お互いに能力がわからない状態で戦うのが普通なわけであって能力が分かりきっている敵と戦うのがむしろ稀だ。・・・僕の能力は知れ渡っているけどまだ隠し球は幾つかある。今日は乱発しているけど粉塵爆発のことは知れ渡っていないだろうし。


「ひとまず合流を目指そうか」

「そうですね」


つまりはここから脱出をしようとそういうわけなんだけど、ここってどこにあたるのかな?昨日はここを通った気がしないけれどどこに向かえば出口にたどり着くことができるんだ?


「出口の方向わかる?」

「向こうです」

「うん・・・わかるところで助けてくれるだけでいいんだよ」

「え?」

「僕は出口を知らないだからイヨさんがいてくれて助かる」

「・・・」


・・・え?い、今のフォロー何かまずかったか?さっき何も助けることができなかったって悩んでいたから助かっているよって言葉にしたんだけど・・・・なにか気に触ることを言ってしまったのかな。その言葉を聞いた瞬間に黙ってそっぽを向いてしまったんだけど。うーん、乙女心はよくわからん。


「ありがとうございます」

「ん?」


なにか言っていた気がするけどよく聞こえなかったな。でもまあこういう時って大抵お礼だしそういう風に解釈しても何も問題ないよね。


「どういたしまして!さ、向かおうか」


僕の感知魔法に何も引っかかっていないから多分出口の方向には誰もいない。・・・厳密には直線方向にはって話だけど。当然横に逸れたりするけど・・・あー


「研究所を爆破してもいい?」

「・・・」

「ダメか」

「ミイたちが巻き込まれないのなら」


あーそれを言われてしまったらもうどうしようもないな。僕特に建築に詳しいわけじゃないしどこを爆破したらどこに被害が出るとか考えるのも難しいしな。


「ちゃんと進もう」

「それがいいですね」


イヨさんの案内で進んでいく。ふと、昨日のことが思い出される。昨日もそういえば案内してくれたムツキさんがあんなことになってしまったからな・・・いやいや昨日の二の舞になることだけはさけたい。てか阻止するように動いてみせる。


イヨさんの後についていくけれどもやっぱり昨日とは全く別のところに来てしまったんだな。まったく景色に見覚えがない。そりゃこの壁の感じとかは同じようなもんだけどそれは言ってはいけないことだろうし


「止まって!」

「どうしたんですか?」


上の方に人の電波を感じる。間違いなく敵だろうけどこれはイチカさんたちなのかそれとも研究者の方なのかわからないな。無視したいところだけどイチカさんとかだったらできれば助けたいんだけどな


「上に、いるんですね」

「そうなんだよね・・・」

「私たちかどうかわからないんですか?こう、纏っている電気とかで」

「うーん、こっちが視認できていれば誰か判別することはできるんだけどそれが無理だと判別することは無理みたいだな」

「そうなんですね・・・!」

「『電気の領域(field)』」


イヨさんと話していたら急に上の天井が壊れた。どうやら見つかってしまったみたいだ。そりゃ真下でボソボソと話していたらバレるのも当然と言えば当然なのかな


そして天井が崩れた関係で瓦礫が落ちてくる。それを吹き飛ばすために『領域』を使ったんだけど・・・切り札を早めに使うのはさけた方が良かったのかな?切り札と言えばさっきからずっと『電気鎧(armor)第三形態(third)』を使い続けているんだけどそろそろ一回切らないとダメージが嵩んでしまうな


「お前は・・・誰だ?」

「ぐふふふふふ、小生はね」

「やっぱりいいや『放電(thunder)』」


落ちてきた人影に話しかけたけど帰ってきた返事が予想以上に気持ち悪かったから電撃をはなつ。なんなんだこの喋り方は。普通に気持ち悪い


「慣れてください。確かに頭のおかしな方なんですけど」

「イヨたん、気持ち悪いだなんてひどいよ」

「無傷・・・」


こいつ、僕が放った電撃を受けてもまったくの無傷だと。何事もなかったかのごとく普通に立ってやがる


「ん?なんで男がイヨたんの横にいるのかな?・・・」

「悪いか」


こいつの視線から逃れるように僕の後ろにイヨさんは避難してくる。あのー隠れるのはまったく構わないのですけど腕にしがみつくようにしないでくれません?その、当たっているので


「きさまあああああああああ小生のイヨたんになんてことを」

「いやお前んじゃねえから」


じゃあ僕のか?って聞き返されたらどうしようもないけどイヨさんの反応からして少なくともこいつではないことは間違いないな。


「黙れ黙れ黙れぇ・・・てめぇは絶対に殺す」

「なんでそんなに怒ってるんだよ」

「・・・小生の名はケンゴ。愛に生きる研究者」

「その説明いらないよ」


さっきから会話の途中途中に電撃を放っているんだけどなんでこいつなんともないんだ?こいつもルドーと同じく電気を吸収する服でも着ているのだろうか。ま、そんなことはどうでもいい。見つかってしまったんだ


「いろいろと気持ち悪いしあんたを叩き潰してやるよ」

「かかってこい侵入者ぁあ」


僕とケンゴは向かい合う。いや侵入者っていうか僕拉致られてここに連れてこられたので厳密には被害者ですよ

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