二日目開始
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葉月一週目火曜日
その後僕らは何も会話することなく眠った。・・・正確にはクレアは眠ったようだけど僕はただ目を閉じただけだった。イフリート、まだいる?
『眠れないの?そりゃいるけど・・・』
よかった。ねえ、あの研究者たちがこの家を襲ってくるとかそういう展開は流石にないよね?あったらかなりまずいんだけど。
『今の所くる気配はないわね。てか安心しなさい。この家は魔除けが貼られているわ・・・たぶんメイって子が結界を張っているのよ』
結界?そんなもの何も感じなかったけど・・・あ、今張ったのかな?それなら今まで気がつかなかったとしても不思議じゃない
『何ていうか、末恐ろしいわね。人間がここまでの魔法を使うなんて正直今の私と同じぐらいだわ』
つまり制限を受けている状態の精霊と同じと。それってかなりすごいことなんじゃないか?どれだけの才能と修練を積み重ねたらそこまでの境地にいくんだよ。少なくとも僕がすぐにたどりつけそうにはない。
『あれはさすがに天才の領域にいるからきにするだけ無駄よ。てかそんなことを考えるくらいなら早く寝なさい。あんた体がボロボロなのよ?いくら回復魔法をかけられたとは言っても』
それはそうなんだけどさ。この1日のことを考えるとなかなか眠れなくて・・・それにムツキさんのこともある。結局、彼女を救うことはできなかった・・・
『彼女は救われていたと思うけどねぇ。彼女も彼女なりにこの状況を憂いていたようだし』
でも今はもう確かめようがない。死んでしまった人間には何も語ることもできないんだ・・・あ、蘇生『そんな中途半端な状態で考えるのはやめなさい』わかったよ。それにイフリートがいうようにちょっと疲れがきたかも・・・ごめん、おやす・・・み・・・
『』
何かイフリートが返事をしていたような気がしたけれども僕は疲れからか半ば意識を失うようにして眠りについてしまったので何を言っていたのか正確に聞き取ることができなかった。まあどうせおやすみって言い返しただけだったんだろうけどね。あ、そういえばミイさんを殺すことについて少し話したかったんだけど・・・まあ僕が眠ってしまったのだからしょうがないな。起きて思い出した時にまた、聞こう。
「ミライ!ミライってば」
「うう、あと五分」
『その定番のやり取りは今いいから』
「あっつ!」
眠っていた時にいきなり起こされたものだからついつい反応してしまったけれどなんか気がついたら体の一部が燃やされていたんだけど!?なんて刺激的な起こされ方・・・うん、どうせなら幼馴染みの女の子に起こされたかったな・・・いやあいつはいいや。やっぱりこの案はなしで
『あなたまだ夢の中なの?』
「いや、大丈夫・・・うっ」
起きたのはいいんだけどやけに頭がいたい。まるで二日酔いみたいだ。いや僕酒なんてもの一回も口にしたことないから知らないんだけどさ
「頭いたいのか?大丈夫か?」
「ま、まあなんとかなるよ。それで?どうしたんだ?」
「もう朝だよ。フランさんが朝を作ってくれているみたいだから食べようか?」
『そのあとメイたちと作戦会議ね』
あーやっと頭がはっきりしてきた。そういえばどうやってごまかすんだっけ?昨日は顔を合わせていなかったから問題ないけどさすがに今日は出会うこともあるだろうしメイさんの感じからいってフランさんには何も話していないようだからさ
「まあ大丈夫じゃないかな?メイちゃんも気にしていなかったし」
気にしていなかったからこそ僕としては気になるというかさ。ま、部外者である僕が何を言ったところで無駄なんだけどさ『うわーここまで絡んで部外者として逃げるのって男としてどうなの?』・・・確かに意気地なしが過ぎたかもしれない。気をつけよう
まあ待たせているようなのですぐに下に降りていく。そこには簡単な食事を準備していたフランさんたちの姿があった
「あ、ミライくんおはよー」
「おはよう」
そういえば昨日僕がいなくなっていた時に誤魔化してくれていたんだよな。その言い訳を聞いていないんだけど口裏を合わすためにもイフリート教えてくれよ『問題ないわ』え?
「まったくメイももっと早く言ってよね。朝早くに友達が三人もくるなんてさ」
「ん?」
「あ、ミライくんは初めましてだよね?こちらメイの友達のイヨちゃん、フタバちゃん、ミナちゃんよ」
「あ、どうも・・・」
え、あの、イフリート。これどういうこと?あ、クレアも固まっている。え、だってこの反応まるで・・・
『メイって子がフランの記憶を操作したのよ。だから昨日あなたは家にいてあの三人はメイの友人ってことで朝早くにこの家に来たことになっているわ』
そんなことまでできるのかっていうかしたのかよ。いくら巻き込みたくないからってそこまで・・・
『ま、当然の処置ね。寧ろ甘いわ。親のことがあるからでしょうけどね』
「うん?どういうこと?」
「どうしたのクレアくん」
「え、ああ」
「大丈夫だよ。フランさん。ほらクレアも早く食べよう?」
「あ、ああ」
なるほど側から見ればあんな感じに見えるのか。確かに過剰に反応なんてしてしまったらかなり頭のおかしな人ってことになってしまうな。でもさっきイフリートが言ったことを考えて見る。遠回しに僕が甘いって言っているんだけどさ。確かに今回の件で人が一人死んでいる。もしかしたらもっと増えるかもしれない。それなのに何も知らないフランさんをここに置いておくのは普通に危険だ。いっその事記憶を消してどこか遠くの国にでも避難させたほうがいいのかもしれない。
『今回はそんな時間がないけどね〜』
遅くとも明日にはミイさんが完全に死んでしまう。それまでに何としても先に彼女を殺さなければいけない・・・
「あれ?ミライくん顔色悪いけど大丈夫?もしかして風邪でも引いた?」
「う、うんちょっと寝付けなくてね」
「ふーん」
『怖い?』
そりゃ怖いって。今回は自分の意思で人を殺すことになるんだからさ『確かにクレアのほうがダメージは少ないわね。でも』
それだときっと、彼女を人間として死なせてあげることができない。クローンであることをある意味受け入れているクレアだからこそきっとクローンとして殺すだろう。メイさんならきちんと人間として殺すだろうがそんなことまでも背負わせるわけにはいかない。
「ご馳走様。美味しかったよ」
「ふふっありがとう」
食事を済ませてから僕とクレアは部屋に戻る。部屋の中にはメイさんがいた。あ、食事の席にいなかったと思ったらもうすでに済ませていたんですね
「メイさん、おはよう」
「おはようございます・・・何か?」
「いや、特にないよ」
フランさんの様子を見て確かに思うことはあるけれどもそれを口にする資格なんてないし
「なら、今日の予定を決めましょう。精霊様」
「クレア」
「わかったよ『精霊召喚』」
『わかったわ。メイ、ミライにクレアも聞いて。今日の予定を決めるわよ』
そう言ってイフリートは僕らを見渡す。まあどうせ今日やることなんてほとんど決まっているようなものなんだけどね
『襲撃は午後にだから午前中は好きにしていいわよ』
「え?いいの?」
だからまさかの休みをもらえたことに少しだけ動揺してしまった
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