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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第5章 バックアップ
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休息タイム

新年明けましておめでとうございます

今年も宜しくお願いします

葉月一週目月曜日


「お姉ちゃんは今寝てますので静かに移動してくださいね」

「はい」

「かしこまりました」

「お姉ちゃんへ説明はなんとか考えておくからあなたたちは休んでいてね」


そしてフタバさん、イヨさん、ミナさんたちはメイさんの寝室へと向かう。一つのベッドに三人で寝るみたいだ。あれ?ということはメイさんは自室で寝ないということ?どこで寝るというんだろう


「あの、クレアさん」

「なに?」

「もう一度精霊様と会話をすることは可能ですか?」

「あー」

『悪いけどこの子には聞かせられないわね。ミライと・・・まあクレアもギリギリいいかしら』


ん?僕は確定なのか。まあいいけどクレアにも聞かせる気があんまりなさそうっていうのも少し意外だな。そういえば確かにあんまり関わらせないようにしていたっけ。


「僕はダメなのかい?」

『ダメではないけれど・・・倫理感的な問題ね。これはミライとクレアとで全く異なるから』


まあ要はそういうことだろうな。倫理感っていうものはその人の育った環境とか生きてきた経験とかに左右される。だから僕とクレアとでは異なるとかそういうわけね。そして僕とクレアとイフリートはクレアが割り当てられていた部屋に入る。あんまり部屋の外で話すのもアレだしそもそもそろそろゆっくりと座って話したいと思っていた頃だ。


『話を進めるわよ。研究者たちが行っていたのは人間の複製、そしてそれを手伝っていたのが魔族の誰かね』


・・・は?


「魔族?」

「魔族だって?」

『二人とも食いつくのはそこなのよね』


いやだって。今の中で気になるところっていったらそこっていうか何さらっと重大な情報を流しているんだよ。


『そろそろ頃合いかと思ったからよ』


いや頃合いって言われてもさクレアはクローンの話とかで情報が多すぎて・・・ああ、そっか。全く触れていないな。つまりはそういうことなんだろう。この世界ではまあクローンというものはそこまで忌避されるようなものではないってことだな。だからイフリートも僕は関わるように仕向けたわけだ。


にしても魔族ねぇ。そもそも僕たちはこの世界に来たのだって魔王が生まれるかもしれないっていう話だったもんね。それがまったく音沙汰無しということでなんでだろうと思っていたらこう水面下で着々と進行していたわけですね


「でもどうして魔族が絡んでいるってわかったんだ?」

『まあ理由はいくつかあるけどクローン体をあんなに簡単に量産できることが一番の理由ね』

「人間だけでは限界があると?」

『人間っていうかこの世界に生きているものたちでは、ってことね』


でもそれだともしまったくの無関係だったらかなり恐ろしいことになるんじゃないか?いや考えたくないからここは都合よく解釈するとするけどさ


『他にも理由があるっていったでしょ?なにより彼らは依り代を求めていた・・それを使って死者蘇生も考えられるけどそれこそ神の領域だわ』

「神なら人を生き返らせることが可能だと?」

『・・・今までに生き返ったものはいない、とだけ言っておくわね』


つまりは可能というわけか。そして同時に神と呼ばれる存在がいることも示唆されている。これが単なる概念なのかそれとも・・・いや魔王は王か。魔神なら神だったんだけどな。日本にも八百万の神がいるわけだし・・これは関係ないか。


「でもなんのために?もしかして魔王を復活させるために」

『いいえ、悪いけど彼女たちは魔王の器じゃないわ』

「魔王の器なんてものがあるのか?」

『まあ・・・あるわね』


言いにくそうに僕らを眺める。ん?もしかして僕たち?でもそんなこと言われたことないし・・・


『それは今はいいわ。少女を生贄に呼び出されたのは魔族の細々を束ねている王クラスね。あーミライに分かりやすく説明すると四天王クラスといえばいいかしら?』

「魔族の王だって!?」

「いや四天王クラスって・・・しれ普通にヤバイじゃねえか」


そんなのを僕らだけで倒すことができるかといえばたぶん無理だろう。こうなったら一刻も早く知らせに行かないと


『それは悪手よ。今ならまだ依り代と完全に結合したわけではないからあなたたちでも充分に戦えるわ』

「逆に完全に乗っ取られるとまずいと」

『ええ、次から次へと魔族の王が蘇るでしょうね』

「ちょっと待って!」


今のイフリートの言い方だとまるで王たちは封印されているというかすでに亡くなっているように聞こえるんだけど。いやそもそも魔族ってなんだよ?特に習った覚えがないんだけど


「そういえば僕も知らないなかつてこの世界を支配した悪の種族としか伝わっていない」

『ええ、そうよ。それしか知らなくてもいいもの』

「つまりは何かあるってことか」

『そうなるわね』


下々の者には知らなくてもいい情報ってことか。もしかして精霊たちにとって都合の悪い情報なのか?『そんなわけないでしょ』ならどうして教えてくれないのですか


『まだ、その時じゃない。ついでに言えば聞く資格がないってとこね』

「・・・」

『ヒントを与えすぎたわ。・・・まあ一応話せる範囲で言うと魔族は王が蘇ると同時に復活するわ。そしてそれならなぜ今手伝えることができたのかって疑問が生まれるでしょうから言えば王たちを封印することに成功しても・・・いや封印することしかできなかったから当然だけど』

「意識がある、ということか」

「それでこの世界に干渉することができるわけか」

『そういうことよ』


あのーすみません。拗ねないでもらえますか。確かにセリフを取ってしまって申し訳ないのですけどまあ考えていることが口からすぐにでてしまうお年頃なので『なら早く口閉じなさい』


「うわっ」


いや・・・本当にすみませんでした。ですので燃やすのだけはやめてください。あの熱いです。灼熱地獄かと思いましたよ


「それで研究者たちを唆して自らの器となるべきクローンを作り上げたというわけか?」

『ええ、とにかく体が強いことが条件だからミイって子になったでしょうね』

「でもイフリート」

『何かしら?』


それならば疑問が残る。ムツキさんたちの話を聞く限りではクローンはかなりの数生み出されていたらしい。だがイヨさんみたいにきちんと自我を持っているというか自由が許されているような人間は少ない。それにこう言いたくはないが彼女たちの番号から推測しても一番大きいのはムツキさんの62だ。いくらなんでも少なすぎる。もっと時間をかけたほうがよかったんじゃないかな?


『もっといたけど全員死んだかもしれないわ。その中で一番体が強かったのがミイって子なわけで』

「でも僕が勝てるくらいの子ですよ?」


そこが気になる。それならばもっと強い人間が生まれることがなかったのか。それにいなかったとしてもそこらの人間と同レベルだとわかっているのになぜ依り代になんて利用したのだろうか


『それは簡単よ。タイムリミットが来たからよ』

「タイムリミット?命の?」


もうすぐ消えるのだろうか


『いいえ。(精霊)というタイムリミットよ。(精霊)に気付かれてしまった以上潰されるのが目に見えているもの』

「なるほど・・・」

『ま、もっと詳しく説明してあげてもいいけど・・・先に話しておくわ。魂が完全に同化するまでおそらく二日から三日かかるわ。だからそれまでに中止させなさいね』

「はい!」

「まあわかったよ」

『それと・・』


クレアを見るにもう話が終わったような安心感を持っているから僕だけに話しかけているのだとわかった。つまりそれだけ悪い話なのだろう。イフリートの表情がかなり暗いことからたぶん気分のいいことを話すわけがないと思っていた。だから覚悟をしていたつもりだったけれど・・・・やっぱり無理だった


『ミイを殺しなさい』


今度は自分の意思で人を殺すことになるなんてね

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