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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第5章 バックアップ
179/317

結論

葉月一週目月曜日


「ねえ」

「なんですか?」

「研究を潰す前に、君たちの感情を取り戻させてあげたい」

「取り戻す?私は別に失っていない」

「あー」


人間には本来感情というものを持っているんじゃなかったっけ?あれ?発達段階に応じて育っていくんだっけ?となるとこの子達って人間で言うところの何歳になるんだ?


「そういえば君生まれてからどれくらい経つの?」

「生まれてから?それはどの当たりからなのですか?」

「自我が芽生えてから、でいいよ」

「それならそろそろ3年だと思います。私はほぼ初期なので」


そういえばイヨさんだから14って考えればそうなるか。三年かー三歳児を考えるとまああれに自我とか感情とかを要求するのは間違っているよな。


「それが何か問題あるのですか?」

「うーんとね、君はおそらく何かの・・・魔法かな?によって強制的に成長させられたんだと思う。じゃなきゃクローンって言われているのにメイさんと歳が近い理由が思い当たらない」


あ、でも女の子は成長が早いって聞くけど・・・さすがにないな。どう考えても15歳と3歳ならいくら僕でも見分けがつくよ。いや僕じゃなくてもほとんどの人が見分けがつくな


「そういうものなんですね」

「うん、だから君にもいろんな感情を表せるようにしてほしい」

「それでどうなるんですか?」

「え?・・・あー僕が嬉しい」

「・・・」

『何口説いてんの?』


違うから!でも確かに字面だけを見てみたら告白しているようにも見えるか?いや見えなくも・・・見えるじゃないか!曲解すれば告白いけるぞこれ。色々な感情を笑顔と訳せば完璧だ。君の笑顔が見れると僕が嬉しい、うんまごうかたなき告白だわ。


『あんたねー姫に惹かれてるのに他の女口説く?信じられないわー』


いやいやいや。まだシェミン先輩に対しての思いは恋愛感情だと決まったわけじゃないですし『まだ?』揚げ足を取らないでください!


「あなたの嬉しい感情のために私に感情を取り戻させるというんですか?」

「まあ、そうだね」


一応言うけどね!あれだから!クローン研究をしているところには僕の勝手な考えだけど二種類の研究者がいる。クローン体が感情を持つことを良しとするところとしないところだ。見たところここは後者だろうな。イチカさん・・・おそらく1番目に生み出されたであろう彼女に何の感情が見られないのは明らかにおかしい。というわけで彼らの研究を潰すことに成功するわけだ


『言い訳を重ねてるの見苦しいわよ』


現実逃避ぐらいさせてくれよ。僕こんな女たらしになった覚えなんてないんだからね。まあ今回はイヨさんが特になにも思ってくれなかったのでなにも問題ないのだけれどね。


「・・・あなたは、面白い人ですね」

「はははよく言われる」


『まあもうあんた大分狂ってきているんでしょうね。人間の防衛本能よ』


つまりこの世界に順応しようとしてこうなってしまったと。まあありえなくもないね。僕自身には何にも自覚がないけれど


「ですが、まだあなたを信頼するわけにはいきません」

「そうだね。無理に外してとはもう言わないよ」

「いえ、そういう意味ではなく・・・」

「ん?」

「あなたは信頼できませんが私たちがおかしいという言葉は信用できます」

「そうだね。厳しい言い方になるけど、今の現状に満足しているかい?」

「それは・・・」


悩んでいる。色々な感情を持つことが普通の人間にとって当たり前のことだと話してから少しづつ揺れてきている。今まで考えたことがなかったんだろうな。自分たちの世界が当たり前のことだと思っていたから。


「今でも食事は出るし寝床もあります・・・仕事はありますけど・・・でも」

「仕事?なにしているの?」

「薬を打ち込まれます」

「え・・・」


いや、今まで聞かなかった僕が悪いけどさ、クローンを作って薬の効き目を試すだけならばこうして今もなお生活している人がいるわけないじゃないか。


「それに・・・私の仲間を殺しました」

「あ・・・」

『まああのミイって子もなかなか戦闘経験豊富そうだったし予想できたことね』

「殺したって・・・どうして?てか部屋に入っていたらいつのまにか死んでいたって」

「知りません。ただ、部屋に入るとそこに私の仲間がいて殺せと言われました。ええ、ですがそれでも生き残る個体はいます。ですがこうして自由に動き回れる個体数は限りがあるみたいです」


クローンを殺す?いや殺すように命令を受けている?もしかして僕みたいに外の人間が何かいった時に反乱を防ぐ目的で数を制御しているのではないだろうないや、普通に制御の問題なのかな。でもそれにしたってそれなりに数がいるのは謎だけどな


『これではっきりしたわ。この実験の真の目的を。要領を得ないと思っていたらそういうことね。・・・メイも可哀想に。この研究が人を助けるためと思っているから大勢の自分のクローンの死を受け入れようとしているのに』


イフリート?何かわかったのなら教えて欲しいんだけど


『そのうちわかるわ。てか多分この研究を潰せばかならず。そしておそらく・・・そうね。だから簡単にクローンを量産できているのね』


あのー何がなにやらわからないだけど『とにかく早く脱出してクレアと合流しなさい。時間があるかないかわからないから・・・そうね。ミイって子が連れ去られたかどうかだけ聞いて』


なにを言っているのか僕には全く理解できていないけどイフリートがここまで慌てているということはそれだけ大事が進んでいるとみて間違いないだろう。なので僕はミイさんについて聞いた?ミイさんがどこかに連れ去られていないかと


「ミイですか?彼女は確か今日部屋に行きましたね・・いつも私たちが殺し合いをする部屋に」

『よかった。ならまだ少し時間があるのかしらね』

「ただ・・・今日新たなステージに進んでもいいとも言っていましたけど」

『!』


新たなステージ?それがイフリートのいうまずいことなのか?


『まずいわ。早くここから脱出しなさい。そしてこんな研究を潰すわよ』


いや脱出しろって言われても僕今鎖につなぎとめられているし『それをなんとかしなさいって言っているのよ』はいはい、わかりました


「イヨさん、さっきも言ったけど今の現状に不安を抱いているのなら選んで。選択肢は三つ」


さっき言いかけた最終手段。多分今なら押し通せると思うから使うけどこれ下手したら本気で修復不能になるからな。今までの行いはなんとかなってきたけどこればっかりはね。


「一つ目がこのまま知らず存ぜぬを貫き通すこと。まあ僕と会話はするけど一切協力をしないルート、それから協力はしないが、僕の言葉だけは受け止めて次に誰かがー僕より優れた誰かが来ることを期待することこれが二つ目、そして三つ目が」

「あなたに協力すること、ですねミライさん」

「そうなるね」


急に思われるかもしれないけれど時間がないみたいだからこうする。


「質問いいですか?」

「いいよ」

「まず、なぜ急に?」

「えっと、なんかやばいことが起きてるらしいんだ」

「謎の魔力源ーおそらく精霊からの言葉、ですか」

『もう言っていいわよ。クレアが契約していることも』


イフリート自身が言っていいと述べているからもう隠さなくてもいいよね。これからどのみちクレアの力は借りなければならなくなるからその時はすぐにバレちゃうんだろうし


「そうだね。僕は契約していないけど知り合いが契約しててねそれ経由で色々な情報が伝わって来るんだ」

「知り合い・・・」

「そうだよ」

「私にはそう呼べる人がいない・・・強いていうならそれはあなただけになる」

「それはどうも」

『よかったわね女の子の初めてになって』


ねえそれ著しく誤解を招きそうな発言になると思うんだけど大丈夫なの?てか精霊のくせしてだいぶ俗物にそまってない?耳年層かよ


『私が何年生きてると思うのよ。そんなのピュアな純愛からドロッドロの沼恋愛まで全部見てきたわよ』


やっぱり亀の甲より年の功というのか。多分この手の話題だと一生イフリートに勝つことができないんだろうな。


「私は・・・」

「正直な気持ちを言えば協力してほしいでも一番確実なのは次を待つこと。三つとは言ったけど外に出たいんでしょ?」

「それはそう」


彼女との会話から外の世界を望んでいることだけは感じ取れた。これが僕の傲慢だと思っていたけど当たったみたいでよかった。まあ僕と会話を続けているから確率は高いと踏んでいたけど


「でも正確にはマスターを開放してあげたい。マスターの顔はいつも辛そう」

「ああ・・・」


確かにかなり抱え込んでいたもんな。この内容を15歳が抱え込むとか無理だよ。いつパンクしてもおかしくない。『もうパンクしてるわ』え?


『気づいてなかったみたいだけどあなたの「第三形態(third)」と同じ魔法を使っているわ。無意識かもしれないけれどね』


まあミイさんが使えていたから主人である名産が使えないのは明らかにおかしいもんな。てことは嘘発見もできるっていうことかよ。恐ろしすぎるぞ。え?てかスキル同じだよね?『電気』スキルってこんなことまでできるんだ


『彼女には才能があったからね。それに奢らず努力した結果よ。あなたにできるかと言われれば・・・難しいわね。科学が発展した世界から来たものらしく少し論理的だもの』


確かに嘘発見とか理論どうなっているんだよとか色々と突っ込みたくなるところだし僕自身も使えるようになるとは到底思えそうにないからね。


「決めました・・・私は、協力します」

「お!」

「ですが条件があります」

「条件?何かな」

「・・・」


イヨさんから言われた内容は僕の予想を超えていた。イフリートできる?


『ええ・・・あなた次第だけどできるようになるわ』


僕次第?少しきになる言葉ではあるけれども解決した。これでイヨさんの協力が得られることになった。まあ正確にはここから脱出することができるようになったという方が正しいけれどね。

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