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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第5章 バックアップ
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牢獄での問答

葉月一週目月曜日?


「う・・・うん」


目がさめる。あれ?ここどこだ?相変わらずいつもいっつも僕気絶してるな。それで?今回はどうなってるんだ?イフリートいるんだろ?簡単に教えてくれよ


「・・・あれ?」


え、あの。もしもーし。・・・いない!?嘘だろ。これあれか。あーもしかしてクレアとかに教えてくれているのかな。つまり助けるために動いてくれていると。多分敵に捕まったのだろうことは間違っていないのだし


「起きたのですね」

「・・・あ」


声が聞こえたので目の前を見てみればそこにはメイさんの姿が。


「メイさん」

「私はメイではありません。私はイヨ」

「いいや違うね。君はメイさんで間違いないよ」

「・・・」


どうして嘘をついているのかわからないけど目の前にいるのはメイさんで間違いない。


「どうしてわかったのですか?」

「いや、なんていうか魔力の感じが」

「魔力・・・」

「それで・・・ここはどこなんだ?」

「・・ふう」


しぶしぶといった体で露骨にため息をついてくる。あーそうですよね。すみません。首をつっこむなって言われていたのにこのザマですよ。あ、というか時間がどれくらい経ったのだろうか。時間がそこまで経っていないのなら別れてすぐにこんな風に捕まっている間抜けだし時間が経っているのなら・・・あ、僕不法滞在になるんだけど、また一つ罪状が増えましたね。


「ここは研究所の地下よ」

「なるほど、それでこの鎖は?」


目が覚めた時からずっと気になっているんだけど僕の両手と両足を縛り付けているこの鎖、目がさめた瞬間から『電気鎧(armor)第三形態(third)』を使って逃げようとしたんだけどまったく魔法が発動しなかったんだけど。


「それは・・・対『電気』使い拘束具。不導体の鎖」

「そのままかよ」

「要は電気系統の魔法を使う際に発生する電気を全て吸収する。だからそこから逃げようなんて無理よ」


不導体といってもそういう感じのやつでしたか。不導体っていったら電気を一切通さないっていう感じかと思っていたのに電気を吸収するってことは流れているのかよ。そしてなにより対電気使いとか準備ばっちりすぎるだろ。まるで狙ったかのように僕用の拘束具があるじゃないか


「ミライさんではないですよ。狙いはどちらかといえば」

「ああ、君たちのためね」

「えぇ、私のクローン達のためです」


まあそんなことはわかってるんだけどね。ミイさんとかかなり強かったし彼女の力を封じようとすればそりゃこんなものを作る必要が出てくるよな


「どうして首を突っ込んだのですか?関わるなって言ったのに」

「・・・クローンだって知ったからね」

「イヨにひどいことを言ったみたいですね」

「本当のことだからね」

「なんてことを言うんですか!」


予想はしていたけれどやっぱりそこを突かれるか。でもちょっと安心したな。こういう風にちゃんと怒ることができるみたいで


「なんで笑っているんですか」


あ、思わず顔に出ちゃってたのか。気をつけないと。ポーカーフェースを心がけないと。多分表情に出てしまったら口に出さなくても考えていることが丸わかり・・下手すれば誤解されることだってあり得る。現に今もちょっとした誤解が発生しているし。


「うん、彼女達のために怒れるってわかったから」

「当然でしょう?私から作られたんだからあの子達を侮辱することは私を侮辱することと同じことなんですから」

「それもそうだね・・・やっぱりメイさんが彼女達の母体なんだね」

「私と姿が同じなんだから当然でしょう。それで?どうしてそんなことを思うんですか。それにさっきからずっと彼女達(・・・)ってまるで」

「彼女達は君と同じ人間でしょ?そりゃ生まれは違うけどさ」

「・・・」


例えクローンだとしても、誰かと同じ遺伝子で造られたとしても、彼女達は生きているんだから、一人の人間として生きているんだから扱いも人間と同じでいいはずだよね。・・・そういえば作られ方僕知らないんだけど。どうやって作ってるんだろ。


「どうしてあの子達を人間だと思えるの・・・だって」

「生きてるからね。他に理由はいらない」

「・・・」

「僕からも質問。彼女達はどうやって作られているんだ?いや君の遺伝子を使っていることはわかるんだけどさ」

「それを聞いてどうするんですか?」

「単純な興味だけど?」

「わかりました」


そう言って僕に簡単に説明をしてくれた。まずメイさんが髪の毛等を研究者達に提供してそれを利用して研究者達がなんやかんやして(この過程は企業秘密らしくメイさん自身にも知らされていないようだ)メイさんと姿がまったく同じな人間が生み出される。でもその状態では姿や魔力は似ていてもまだメイさんと同じ感情(・・・・)を持っているとは言えない。だからここで一つ魔法をかけるのだそうだ


「へえ、それって誰がするの?」

「・・・」

「まさか・・・」


嫌な予感が僕を襲う。クローン問題だなんて普通どう転んでも重たい話になるっていうのにそれを受けているのが僕よりも年下で、そして目の前の彼女の反応からして間違いなく・・・


「私が魔法をかける。私の魔法『伝達(telepathy)』を使って」


他人の魔法について聞くのはマナー違反だろから詳しい話を聞く気は無かったけれどそれでもメイさんは簡単い教えてくれた。誰かに話したかったのかもしれないしそもそも普通の人間には理解できない内容だから問題ないと解釈をしたのかもしれない。『伝達(telepathy)』それはつまり他人の精神を弄る魔法。その効果によってクローン体の脳内の電気信号の流れを全てメイさんと同じにする。そうすることで同一の出来事に出くわした時にする反応を同じにすることができるようになるのだ。


「それをすればより姿も魔力も私に近づく・・・」

「そうなんだ」

「!今の説明でわかったの?」

「まあ、なんとなくは」


さすがに彼女ばっかりに話をさせるのも忍びないので僕の『電気鎧(armor)第三形態(third)』について簡単に説明してあげようかな。あれ原理がなんとなく似ているから。電気を使って脳内の電気信号弄るところとか特に


「いいです。どうせスルト達に拷問で聞かされるから・・・それにそういうのは黙っていた方が長く生きられますから言わなくて結構です」

「優しいんだね」


この状態においても僕のことを心配してくれているなんてなんていい子なんだろう。この無垢の優しさは見習うべきところがあるな。でも、それならどうしてこんなことに協力しているのだろう。たぶんだけどスキルは必ずしも同じになるとは限らない。可能性が高いのだとしても同じにならなくて成長してしまう人間だっているはずなのにメイさんの話を聞いている限りではそんな例はないみたいだ。これが意味することって・・・


「同情なんていりません。それに憐れみも」

「じゃあ」

「勝手知った口を聞かないでください。・・・こうでもしなきゃ私は生きていられなかったんです」

「どういうこと?」

「・・・」


これは教えてくれそうにないな。まあ明らかにプライベートな情報になるだろうし過去のこととなると他人があれこれと詮索してはいけないだろうしね。それだけ信頼されるようになればとも思うがまあ出会って間もないし無理だろう。むしろ内情を少し話してくれるぐらい心を開いてくれたことを喜ばなきゃ


「また来ます。お姉ちゃんとかには私の研究を手伝ってくれていると話しておきます・・・何か伝言などはありますか?」


伝言ねぇ。特にないな。何かあればイフリートがその役割を果たしてくれるはずだし。でもここで何も言わないのは不自然すぎるな。


「僕のことは気にしないで観光を楽しんでくれと伝えてくれないか?」

「わかりました」


そしてメイさんはどこかへと去っていく。また来るってことはしばらくこの場所で一人にさせるつもりなのだろうか。まあそれはそれで好都合だ。「話しておきます」というからにはそこまで時間が経っていないこと(少なくとも僕の不在に気がつかない程度)がわかるし他にも情報を整理させてもらおう。この間にイフリートが来てくれると一番ありがたいんだけどそううまくはいかないよな。

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