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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第5章 バックアップ
170/317

結局首を突っ込む

一部作者の決めつけの表現があります。

不快になる可能性がありますのでご注意ください

葉月一週目月曜日


「私の名前、ですか。そんなものを聞いてどうするつもりですか?」

「いやどうするも何も・・・」


やべ、全く考えていなかった。どうすればいいかな。どうすればこれ以上不審がられることなく情報を引き出すことができるかな。僕の考えている通りなら拒絶されたら引き出すのにかなり苦労するぞ。


『あんたまさか考えなしに呼び止めたの?馬鹿すぎる』


う、うるさい。まさか聞き返してくるなんて・・・普通考えられるな。単に僕の想像力不足です。すみませんでした。まあもうこうなったらある程度こちらも正直な気持ちとやらを話して誠心誠意頼むしかないな


『不安しかない』

「えっと、実は僕今日であなたと似た人を計3回助けているですよね。それにあなたは実験と言った。まさかとは思うけど・・・すみません。言葉が過ぎました」

「?」

「まあとにかく、親戚かもしれないので名前を知りたいってわけです」

「・・・」


なんとなく似たような話を聞いたことがあるから予想はしてるんだけど、さすがに憶測の域を出ないからきちんと情報が欲しいってところかな。僕の中では確信、でもそれが真実なのかを確認するためにちゃんとした情報が欲しい。


「わかりました。名前なら私はイヨと言います」

「イヨさんね。さっきも言ったけど僕はミライ。それで、どうして襲われていたの?というか『幽霊少女』って何?」

「それは私のことです。なんていうか、私ちょっと顔が青白いというか不健康そうなのでそう呼ばれるようになりました」


まあ言われてみれば確かに少しばかり白すぎるというけど、格別おかしいというわけではない。別に僕だってしばらくの間家から出なかったことがあったけどその時もまったく日に当たらなかったっぽくて同じくらい白くなったし。確かに不健康とは言われたけどさ


「それに一度根付いたイメージは消えないので」

「それで薄気味悪く思われてしまい襲われたと」

「いえ、それはたまたまです。単に私が一人で行動していたから」


いや、一人で行動していただけで襲われるとか治安大丈夫か?なんていうかかなり悪いところに来てしまったぞ。もう少し安全な世界だと思っていたのに


「いつもは大丈夫なんですか?」

「ええ、まあ付き添いの人がいますので」

「へえ、そうなんですね。そういえばナナさんの名前を聞いて反応していましたけどお知り合いですか?」


反応というか僕に向かって電撃を放出してきたんだけどさ。さすがにそれは受け流すことはできないな。電撃を放ってきたことは流してもいいけど放ってきた事実は追求したいからね。


「えっと・・・その、関係者かと思って」

「関係者って・・・それなら安全でしょ?」

「そうなんですけど」


この人たちは関係者となる人たちから暴行でも受けているのだろうか。だから魔法を使って攻撃してきたと。それでもすぐに僕が無関係だと気がついていた。あの時かすかにだけど微弱な電波を感じたんだよな。微弱な電波を発生してかつ情報を手に入れられる、この二つを考えるとまあ僕みたいに現代の?日本を生きる者としては身近にある携帯機器を想像するよね。この世界にはそんな物なんて存在しないけど、『電気』スキルを鍛えていればそのうちできるようになるのかな。


「でもよく気がついたね。僕が無関係って」

「・・・見たことない顔だったので」

「つまり顔見知りに攻撃されると」

「っっ!違う!私たちは・・・」


まず考えられるとしたら研究者ってところかな。それにメイさんを連れて行った男は白衣をきていた。まあイメージの衣服と実際の衣服が異なっていることなんてあると思うけどそれでも今回は同じだと考えよう。でも、今の物言いだとおそらく違う。そして何よりも「私たち」といういい方。だんだんとパズルのピースが組み合わさってきた気がする。


『へえ、しっかりと考えるのね。でもそれをイメージしたのはずいぶん前だけどどうして首をつっこむことにしたの?』


同じ顔をした人が三人いるなんてやっぱりおかしいからね。もちろん偶然ってこともあるけどそれよりも可能性の高いことがあるし・・・それに魔力の感じがほぼ同じなんだよね?『そうね・・・まあ見た目はともかく魔力まで似るなんておかしいことだわ』そうだよ。つまりはそういうこと。ちょっと流されてしまったけど普通に考えたらイフリートの発言っておかしいことなんだよな。姿とかじゃなくて魔力が似ているだなんて。そこから疑問に思ってゆっくりと考えていけば自ずと僕は一つの仮定を導き出した。


『確かにそうね・・・少し失言だったかしら』


その言い方だとやっぱり知っていたんですね。どうりでおかしいと思ったと言いたいけど今の今まで気がつきませんでした。でも、それならこれから僕がすることはわかりますよね?


『まあだから積極的に絡み出したってことよね。日本人(・・・)だものこういうこと(・・・・・・)に嫌悪感を抱くのは当然だものね』


今ので確信を得ました・・・まあ精霊を確認の道具にするなんて本来はしてはいけないことなんだけど今回は時間(・・)がない(・・・)から許してもらおう。でも、その前に


「それで、実験って」

「どうして聞くんですか?」

「いや、その・・・」


いや、もう回りくどい手段はとらなくてもいいかな。ここまで来たならばはっきりさせたほうがいいに決まっているし。


「クローン」

「・・・!」


呟かれた僕の言葉に反応する。そう、今日という短い時間にあったナナさん、メイさん、イヨさんの三人の姿がほとんど同じ(ついでにいえば魔力も)な理由を考えた時にこれが一番しっくりくる。


「その顔はあたりと見て間違いないね」

「どうして・・・」

「わかったのかって?」


まあ1から説明するとなると感覚的な部分が発生するから難しいんだけど、まずは確率の問題。合理的な説明だね。


「ぐ、偶然だって」

「あるよ。もちろん他にも理由がある」


例えば君がつい口から出してしまった『実験』というフレーズ。決まり手には弱いけどそれでも線を繋ぐのには充分だ。ついでに白衣の人物を僕は確認しているわけだし何かしらの研究が行われているのではと考えるのは自然だ。


「『幽霊』という呼び方も顔色が悪いではなく、単にありえないタイミングで何度も見かけると仮定すれば納得がいく。どうして襲われるのかは・・君の話が正しいのだろうね。一人だからただ、君が襲われやすいだけで」

「・・・」


あとはまあこれも決め手には欠けるけど名前も関係あるよね。ナナはおそらく7、そしてイヨは・・・14かな?数字の当て字っぽい感じだし。これはこじつけが過ぎるけどね。


「はぁ」

「どうして、嫌悪感を抱くのですか?」

「どうしてって」


思わずため息をついてしまう。こういう話は本当に重たいからあんまりしたくないんだけどね。で、質問には答えないと。でも、僕が日本人だからとしか言いようがないんだけどね。そんな説明をしたところで全く理解されるはずがないのでどうしようか。だってそうだろ?同じ人が存在するのを嫌うのって倫理観からして不快だと感じるからそれ以外に何も思うことはない。普通人間は一つの個体は一人だけだ同じ顔、同じ声の人が何人もいたりしたらそれは気持ち悪いよ。もし自分の知らないところで自分のクローンが作られたとして・・・いつの間にか自分とすり替わってしまったらと考えるとゾッとする。


『推理としてはダメダメね。感情論が多すぎる。でもまあ、サービスで追試は無しにしてあげるわ』


それはどうも。まあ僕がこのように考えることができた理由は単純でこういう話を聞いたことがあったからだね。人の細胞を人工的に作ることができました的なニュースを聞いたことあるしそれに、言ってしまえばクローンだなんてある意味定番ネタじゃないか。ドラマやアニメなどでよく取り上げられているし。違ったら大変すみませんって話だけど。・・・というかこれどこまで仕組んでるの?わざわざこの場所に転移してさ


『別に?ただ・・・気に食わなかったからあんたなら潰してくれるかなって。こういうの嫌いでしょうし。クレアだと流されそうだったからね』

「はぁ」


再度ため息。イフリートの手のひらで踊らされていたのかと思うとげんなりする。てかやっぱり僕の世界とこの世界とでは価値観が微妙に異なっているんだな。同じ顔の人を見ても何も感じないなんて。いや、どちらかといえば作ることはともかく作った個体を使って実験をしている方により嫌悪感を抱いている感じかな。だってそれはつまり・・・


『こればっかりは倫理観の問題だしね。それに作ってどうするのかってのも問題。あなたが嫌いなのは結局それが人体実験だから。でもこの世界ではそれはまあそこまで嫌われることではない。奴隷だって存在する国もあるし』


あ、イヨさんが何か言おうとしているから後でいいかな?後でゆっくりと話そう。


「それで聞いてどうするのですか?」

「そりゃあ・・・そんな実験潰すよ」

「なぜ?」

「だって・・・クローンだなんて本来生まれ(・・・・・)てきてはいけない(・・・・・・・・・)命だからさ(・・・・・)人工的に命を生み出すだなんて間違ってる」


次の瞬間、僕の目の前に電撃が迫ってくる。そう、僕はどうしようもない言葉を吐いてしまった。

気分を害された方がいらっしゃればすみません

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