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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第5章 バックアップ
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積み重ねは大事だが壊れるのは一瞬

ブクマ登録ありがとうございます

これからも頑張ります

葉月一週目月曜日


「えっと・・・どうしましょうか?」

「どうして敬語なんですか?お姉ちゃんと同い年なのに」

「え?あー」


女子と二人っきりって字面だけ見ればかなり羨ましい状況なんだけどなんでこんなに気まづいんだ。うぅ、イフリートもクレアを探しにどっかいってしまったし、フランさんもどこか出かけてしまったし。誰か本当に助けてくれよ。今だけでいい一ノ瀬ぇ、お前の女子とのコミュニケーション能力を分けてくれよ。あ、あいつは普通にイケメンだからしょうがないか。くそぅ、誰でもいい誰か助けてくれ。とりあえず会話だ。幸いこれから一緒に食事を作ることになるんだしそこらへんからせめていこう


「じゃ、じゃあタメ口でいくね?それで何作る?」

「ミライさんは何を作れるんですか?というか料理できるんですか?」


別に男女差別とかを議論するわけではないけれどやっぱり昔を考えてしまうと男性よりも女性の方が料理を作るのが自然という考え方になるけどね。今は料理男子とかも流行っているけど・・・テレビで取り上げられるのなんて・・・止めとこう。察してくれ。・・・今イフリートいないから語りかけるようにしても意味ないんだった。


「まあ、寮生活で料理しているからある程度は大丈夫だよ?凝ったものは無理だけど普通に切ったり炒めたりはできる」

「わかりました。では昼ご飯だし、サンドイッチを作りましょう。野菜を持ってきて切ってくれますか?」

「うん、わかったよ」


地下に行って野菜を取り出す。取り出すのは何がいいのかな・・・サンドイッチって言ったしえっと、かあさんはどんな感じなのを作っていたっけ?確かキャベツ・・・間違えたレタスとハムとチーズと卵?それくらいだな。手軽に準備できて下ごしらえもほぼ不要なやつ。あんまり時間かけなくてすむから楽だよな。でもこういうのって家庭の味ってやつが出るし、ここはメイさんの方針に合わせるか。


「ねえ、いつも具材はどんなのを使うの?」

「別にあるものを使います」

「そっか」


会話が続かない。いやまだ諦めるなたかだか一回や二回でへこたれてはいけない。100回目のなんとやらっていうドラマのことを思い出せ。見てないからにわかになってしまうけどタイトルだけ浅く見ればそれだけ挑戦したってことでいいんだよな?まああんまり言うと見たことある人たちから怒られるのは間違いないのでこれくらいにして。とにかく挑戦あるのみだ。


「じゃあ、夏だし・・・夏だよね?」

「・・・」


返事がないってことは多分それでいいのかな?てか暦と季節の関係どうなっているんだろう。これもイフリートに聞いておけばよかった。あれ?そもそも夏という概念なんてあるのだろうか。いやぁ、学校という閉じられた世界にいるとこういう当たり前のことをつい見逃してしまうな。日本が当たり前なんてことはないし、世界的に見ると色々と気候とかあるって勉強したじゃないか。えっと、亜熱帯とかだっけ?うろ覚えだしやめとこ。


「このトマトと・・・後はあーなんだっけ?パプリカ?でいいかな?それからここにある卵と肉は何かない?」

「ミノタウルスの肉がそこに」

「あ、うん」


ミノタウルスってあれだよね?よく神話ととかで出てくる迷宮の守り人・・・いや牛?迷宮ラビリンスの話の時に登場する生き物。それがこんな簡単に市場とかで手に入れられていいのだろうか。てか複数いるのか?


「それはミノタウロスこれはそれの亜種生物の牛、ミノタウルス。微妙に違います」

「そうなんだ」


確かに一字違うけど・・・これ発音だけだと分かりづらいからね?初見で聞き分けることなんて不可能だからと誰にでもなく言い訳をして。食材がそろってことだし、調理場に戻って食事の準備でもしますか


メイさんと調理場に戻り、調理を開始する。といっても作るものが作るものだしまずはお湯をわかす。金属製の器に水を張ってそれを火にかける・・・どうやって火を起こせばいいんだ?一応かまどみたいなものがあって薪がくべられているけど


「私に任せて『発火』」

「おぉ」


メイさんの指先からちょっと火花が走ったかと思うと薪に着火して燃え始めた。これで火は問題ないな。そこの上に器を置いて火にかける。で、この時にすでに卵を一緒に入れて置いてっと


「野菜を切っていこうか」

「それはお願いします。私は肉を軽く焼いておきますので」


一応ミンチ状・・・いやひき肉?燻製?よくわからないけど肉の塊を切ってそれを軽く焼いていく。あのままでもそのまま食べることはできそうだけど日本的に考えると今は夏だし念のために火にかけておいたほうが安全だよね。僕はトマトとパプリカみたいなものをひたすら切っていく。4人分にもなるとそこそこ量があるな。定期的に料理をしていると言ってもここ一ヶ月はまるまるしていなかったわけだしそれで調子を戻すのに手間取ってしまい、全員分のを切り終わった時にはすでに卵は茹でられていて肉もしっかりと焼かれていた。


「できた?じゃあフランさんが帰ってくるまで少し待とうか?冷めてても問題ないし」

「そうですね」


会話続かないよー。「でも意外でした」あ、今回は続いた。


「それなりにちゃんと料理できるんですね。見たところ片付いていますし」

「まあね、片付けは適宜しておかないと一気にしようとすれば面倒だからね」


それに片付けに時間がかかりすぎると学校に遅刻してしまうしって冗談めかして話すとクスッとだけど笑ってくれた。ああ、やっと笑ってくれた。あ、でもそういえば


「そういえばさ、さっきの発火魔法だけど・・」

「え、あはい。あの火属性魔法・・・・・がどうしたんですか?」

「え?」

「?」


今メイさん火属性魔法っていった?おかしいな。僕の見間違えか?確かにあの時発動していたのって


「電気魔法だよね?さっきの」

「っっ!」


メイさんが息を飲むのがわかった。え?なんでここまで警戒するんだ?そんなにマズイこと言ったのかな僕。特に何か言った覚えないんだけど・・・


「あれどうやったの?超高電圧の電気を発生させて発火させたよね?あれだけ電気を集めてかつ範囲を最小限に抑えているってかなり修練を積んでるよね?どうすればあんなに扱えることができるのかな?」

「え・・・」

「あ、そっかえっとね。さっき僕の発動魔法を見たからわかると思うけど僕のスキルね『電気』なんだ。だからさっきの魔法が電気系統の魔法だってすぐに気がついたんだよ」


それに電気を放出して火を起こす練習は僕もしたことあるからね。いやぁ懐かしいなぁ。森の中のサバイバルでやったよ。なかなかうまくいかなくて苦労したのを覚えているなぁ。そんなことをメイさんに話す。それでもなおメイさんの表情は硬い。スキルを話すのって初対面の人にはしないんだっけ?だから同じスキルを持っていますよってことでアピールしたんだけどまだ信頼に足りなかったかな?


「それとも『雷』魔法だったのかな?区別つかないからわからないけど・・」

「ほっといてください」

「え?」

「ほっといてください。というかこれ以上私のスキルについて聞いてこないでください!」

「は、はい・・・」


お、怒られちゃった。なんでだろ?あーそういえば最初にメイさん火属性魔法って言ったな。自分のスキルを隠したい理由でもあるのだろうかそれなのにあんまりグイグイ聞くのってよくないよね。それに僕はお世話になっている身だ。気分を損ねささてしまい追い出されでもしたら大変だ


「ただいまーミライくん。メイ。あ、そうだ。ちょうど家の前で会ったんだけどクレアくんもいるよー」

「おーミライ急に言うなよ」

「悪かったな」

「まあ伝言は受け取ったし構わないよ・・・ああ、昼はもう準備してあるのか」

「そうみたいだねーじゃあ食べよー」


何か言おうとしたけどちょうどタイミング悪くフランさんが帰ってきてしまった。あーこれ食後にでもタイミングを見て謝るしかないな。てかやっぱりスキルって大事なんだな。別に話してもいいだろうって思うけどこれはおそらくこの世界で生まれていないからの感想なんだろうな。

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