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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第5章 バックアップ
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精霊を馬鹿にしてはいけない

葉月一週目月曜日


これ以上同じ場所に止まって会話を続けているとどこから僕の心にダメージが飛んでくるのかわからない。なので場所を移動するように提案する。これ以上はもう勘弁してください。すでにかなりのダメージがきてるんです。


「そうね、あんまりからかいすぎると遅くなっちゃうから帰ろっかメイもいい?」

「お姉ちゃんがそう言うなら」

「じゃあ案内お願いします」

「はいはーい、任せなさい」


フランさんの案内に従って僕らは移動を開始する。フランさんと再会してから出発するまでに結構時間がかかっている気がするけどまあ久しぶりに同級生に会ったらそれくらい普通だよね?


『半分以上あんたが弄られていたけどね』


僕ってそういうキャラだっけ?どちらかといえば弄られる人よりもいじる人の方がいいんだけど。キレのいいツッコミとか僕できないんだけど。


『えぇ!?その性格で』


ねえいろいろとひどくない?僕そんなに根暗なの?『うん』はい、そうですか。うう、辛い。


「そういえばミライくんってクレアくんと何しに旅してるの?」

「え?ああ、武者修行?」

「武者修行?・・ああ、そういうことね」


何に納得してくれたのかわからないんだけど多分あれかな?精神修業的な。僕がメンタル的に回復するためにいろいろと治療を兼ねて旅をしていると思ってくれたのかな?今までの話で納得してくれるとしたらそれしか思いつかないんだけどね。


「へえ、ミライさんってそれなりに強いんですね」

「まあ、そこそこはね」

「なーにがそこそこよ。1対1でクスノキに勝ったくせして」

「楠?あいつそんなに強いのか?」


言ってしまってからすぐに失言だと気がついた。僕があいつに勝つことができたのは相性が良かったということと楠の魔法に制限がかかっていたって云うのが一番だからな。お互いに全力で戦ったとすればおそらく僕に勝ち目がない。現実を変える魔法とかチートにもほどがある。


「あ、ミライくんは知らないと思うけどね、彼かなり活躍してるのよね」

「へえ、まあ確かに強いよな」

「そうそう、こないだなんて『水』の国の一大事を救ったんだって」

「へえ〜」


あいつ国を一つ救うとかなにその主人公ムーブ。てかすごいなぁ。国を救うってことは国のお偉いさんと会う機会があったってことだよな。そこで臆さずに自分を出すことができるとか本当に大物だよ


『あんた尊敬するところそこなのね・・・』


だって王族とかだよ?いきなり目の前に現れたとしてもどもってしまってまともなコミュニケーションができるとは思えないんだけど


『クレア、セリア、サリア、ユンetc』


そういえば、そうでしたね。でも、言い訳させてもらうとさ、クレアはもう王族とか関係なしに一人の親友だし、セリア先輩とサリア先輩はもう先輩でしょ?そしてユンさんは先生。つまり後出しな訳。いきなり実は・・・って言われたところで感あるじゃん。・・・あ、そういえば王族と発覚してから先輩二人とまだ一言も喋ってなかった。


『そしてダンジョンでユンに感じた恐怖が強すぎて敬うとかそういう考えが消え去ったと』


そうそう、そういうことですよ。でも楠は違うでしょ?今から王族にあいますよーってことがわかっている状態で王族と会うわけでしょ?それってかなりすごいことだけどかなり緊張するよな。


「しかもすごいことにさ〜彼『水』のお姫様と婚約したんだって!」

「ブフォぇ」

『汚な!』


まじか!思わず吹き出してしまったんだけど。なにあいつどんだけテンプレというかフラグ構築しているの?一級フラグ建築士かよ。てかイフリートさん、ナチュラルに汚いとか言わないでくださ・・・あ、僕の唾がかかってしまったんですね。それは本当に申し訳ないです。


『あなた私の扱いがだんだん雑になってきてない?』


いや、その慣れたといいますか、『私の方が格上なんだけど?』それはそうですよ。人間と精霊、どっちが上・・・いやそもそもなんの上下関係なんだ?まあともかく上であることはわかっていますよ。


「あいつ、そんあことしてたのかよ。てか水の国でなにがあったんだ」

「え?なんでもお姫様がとある病に冒されていてそれの材料を仲間とともに全て集めてきて病を治してしまったんだって」

「へえ、そうなんだ」


材料があれば治すことができるのか。病ってそんな簡単に治るもんだっけ?


『まあ、月桂樹の蜜とか使えばある程度の万能薬は作れるわね。あとはそうね・・・不死鳥の尾羽とかヒュドラの毒とか使えるものは多いわ。あとはそれを扱うことができる術者がいればなんとかなるでしょうね』


そういうものなんだ。だからこの国で病の研究が盛んなんだろうな。明らかに名前的に入手難度がやばそうなんだけど。一つとってくるだけでかなりの命がけになることは明らかなんだよな。それくらいならもっと手軽にできないか考えるのはなにもおかしなことはないな。そういえば、不死鳥とかヒュドラとか僕のいた世界に伝わる伝説の生き物の名前と同じなんだけど・・・それを言ってしまえばイフリートも朱雀も全部そうなんだけどな。これっていわゆる、翻訳機能が働いているってこと?それとも本当(・・)に同じ名前なの?


『まあ、そこらへんはねぇ。世界の成り立ちになるから詳しくは言えないんだけど、転移一つとってもさ、まったく異なる世界線から引っ張ってくるわけではないの。なにか、があるとしか言えないのだけどね』


だから名称も同じものが存在していてもおかしくないと?それも姿形も同じで。


『そこまで不思議なら自分で探しなさいよ?ここはあなたの世界の・・・法律?とかはなにもないの。あなたは自由にこの世界の謎を見つければいいわ。私も答えを教えることはできないけどヒントぐらいは与えてあげる。私はイフリート、世界の4大精霊の一人にして炎を司る存在よ?』


おお、急にイフリートがすごい存在に見えてきたんだけど『吹き飛ばすわよ?』あ、い、いえその、いつも以上!いつも以上にすごい存在に見えてきたってことですよ。てか、そうだな。なにもやることがないのなら、そういった方面について探してもいいかもしれないな。帰還方法だってつかめるかもしれないし。仮に疲れなくたって・・・僕が生きた軌跡を残せるというのなら、それはそれでいいか。


「仲間って普段楠ってどんな仲間といるの?」

「え?ああ、確かヒグラシちゃんとか、あのほら、覚えてる?彼と一緒に調理実習をしてた人たち」


見事に女性ばっかりじゃねえか。なにそれ羨ましい!・・・ん?別にそこまででもないな。なんでだろ


「あれ?同期の男どもは嫉妬で狂ってたけどミライくんはそんなことない・・・ああ、そりゃそうよね〜」

「なにを邪推してるのか知らないけどその訳知り顔をやめてくれ」


なんでこういった話題になると誰しもがそういう顔になるんだよ『みんなお年頃だもんねー、ミライだってそうでしょ?クレアが恋愛に悩んでいたらどうする?』


全力でネタにしてからかう。『相談相手を間違えたわ』まあ、でも楽しそうに見守ることは間違いないだろうな。ああ、だからまあフランさんを初めとする方々の行動もわからなくもないんだけど、いざ自分のこととなるとなんだかむかつくな。


『人間ってほんとそこらへん理不尽よね〜だから面白いけど・・あ、ついたみたいだよ?』


イフリートに言われて前方を見る。話し込んでいたせいかいつの間にやら路地裏を抜けて少し中心部から離れたところにきていたようだ。さっきの場所と比べるとかなりのどかで平和そうな場所に、ポツンと一軒屋が立っていた。


「さ、ついたわよ」

「へえ、結構大きんだな」

「まあね〜さ、気楽に気楽に。メイ、私はまたちょっと出かけてくるからミライくんと二人で昼の準備をしてもらえるかしら?」

「うん、わかった」

「了解。食材とかはどこにあるんだ?」

「地下の涼しいところに置いてあるわ」


なるほど地下ね。確かにこの世界には冷蔵庫とかないから保存とか不便そうだな『氷魔法を使える人がいれば問題ないけどね』科学の代わりに魔法が進歩した世界ねぇ。イフの世界だからなんともいえないけどもし、っって考えたらこんなもんなのかな。あ、イフリート、クレアの案内よろしくお願いします


『はいはーい』


そしてイフリートはどこかにふらっと消えていった。やっぱ精霊ってすごいんだな。さて・・・と、僕は周りを見渡す。フランさんも出かけてしまったので今この家にいるのは僕とメイさんだけ・・・どうしよう

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