第4章エピローグ及び第5章プロローグ
今回で第4章終了です
???
「う、うう」
ここは?僕は目を覚ました。体が横になっている。ということはいつもの部屋だろうか。
『違うわよ』
「うわっ」
急に声が聞こえたからビビったじゃん。でもこの声女性だろうけどシェミン先輩じゃないな。
『悪かったわね姫じゃなくて。あんたほんと失礼よねー』
「あ、もしかしてイフリートk、ですか?」
目を開けて声のした方を見てみればそこには赤髪の美しい女性の姿が見えた。小さいなとは思ったけど口には出さない。だからまあすぐにイフリートだと断定できたんだけけどね。
「起きた?」
「あ、クレア・・・またこの展開かよ」
「ははは。そうだね」
僕が気絶して倒れていてクレアがそれをよこで見てる。いつもいつもこれと同じ状況が繰り返されているな。でも思い出してきたな。確か僕はダンジョンにきてユンさんたちと出会ってなんだかんだあって別れて結局最後にクレアと戦うことになって僕は・・・負けたのか?
「クレア、勝敗は?僕はやっぱり・・・負けたのか?」
「そうだね。僕の勝ちだ」
端的にクレアは結果だけを教えてくれた。それが少しだけありがたい。僕に遠慮して引き伸ばしたりごまかしたりしたらきっと僕は立ち直れなかっただろう。全てをかけた戦いに僕は負けた。そのうえ勝ったクレアに同情されてしまったらもう立ち直れないな
『まったく人間っておろかねー』
「イフリート?」
『確かにあんたは負けたけどさー死んでないじゃん。てかまあ私があんたたち二人を全回復させてあげたんだけどさ』
「そうなんですか」
それは・・・ありがとうございます?と言った方がいいのだろうか。いや感謝するべきだな。どんな形であれ手当をしてくれたことには変わりないんだし。
『大事なのは次でしょ?ほらよく言うじゃん、諦めなければなんとかなるんじゃなくて諦めるからなんにもならないって』
「それは・・・どうですけど」
僕は別に努力すれば必ず実るとは思っていない。努力しないから実らないと考えているタイプの人間だ。それでもそうすぐに割り切れるものではないだろう。僕はクレアに負けた。それは覆らない事実だしこれが現実だ。新人戦の時とは話が違う。あの時はお互いに意識を失っていた。でも今回は意識を失っていたのは僕だけ。この現実が僕は苦しい。
「ミライ・・・お前は僕のライバルだよな?」
「・・・ああ、そうだよ」
慰めようとしてくれているのがわかる。でもこの劣等感だけは拭いようがない。クレアもそれ以上僕に追求してくることはなかった
『まーいいわ。若いんだもの、大いに悩みなさい。にしてもあなたねー。ちょっと前までは人を殺す覚悟をしてないから悩んで今度は負けて悩んでって多いそがしね〜』
「別にいいじゃないですか」
『構わないわよ?それで一生を無駄にしないなら。人を殺す覚悟はまあ転移者だし仕方ないし負ける悩むのも若い者の特権。私はね、そういうもののこれからって結構好きなのよねー大抵面白い魔法を生み出してくれるし』
「そうなんですね」
よくわからないけどそういうものなのか。まあクレアもライバルだって言ってくれているし精霊の加護を持った状態のクレアと戦えるように新魔法を・・・いや、新しい魔法は今はいいや。それよりも基本的な能力の向上を心がけよう。もとの能力が低いから底上げしたとしても限界がすぐに来る。だから全体的に強くなろう。
『ひとまずは大丈夫かしらね。それじゃあミライが起きたことだし、これからの予定を話すわよ?』
「はい」
『まずはあんたたちの学校に戻りましょうね』
「え?」
それはクレアを拉致した時と同じように転移魔法でちょちょいって返してくれるんじゃないんですか?まさか帰りは徒歩とかそういうことになるのだろうか。
『平たく言えばそうなるわね』
「なんでそんなに力落ちたんですか?」
『契約したからね〜私は今クレアの魔力で現界しているようなものだし〜。まあ本気出せばいけるけどそれじゃあつまらないじゃない。というわけで支度して。もう時間ないし』
聞けば僕らはダンジョンをクリアした扱いになるらしく、僕の記憶が戻ったら世界のどこかに転移させられることになっているらしい。ちなみにどこに行くのかはまったくわからない。もしかしたら学校に戻ってこれる可能性もあるけど多分ないと言われた。まあ確率的にはそりゃそうだけどね。学校とその他じゃかなり分が悪いし。
「準備できました」
特にいるものないからね。てか着ている服このままでいいのだろうか。改めてみればかなりボロボロになってしまっているんだけど
『あ、じゃあ私の最後の魔力で〜えい!』
「あ、綺麗になった」
「すげえ。ありがとうございます」
『ははは〜どう?これが私の力なのよ』
「どうせなら転移させてくれよ」
『何か言った?』
「いいえ、なにも」
というわけで準備ができたので僕らはダンジョンの外に出ることにした。さあ、一体どこに飛ばされてしまうのだろうか。できれば知り合いのいるところがいいなぁ。ユンさんたちに会うのは気まずいので、できたらサリア先輩とかシェミン先輩とかがいるところがいいな
「ここは?」
「道?だね」
てっきり国の真ん中に出るものかと思ったらそういうわけではなく、どうやらここは普通の道だ。あ、国の中なのは間違いないか。えっと、要は都市の中ではなく都市と都市をつないでいる道に転移したんだな
『えーっと、ここはね〜あ、『命』の国、ライフィアよ』
「「へー」」
って言われても『命』の国が世界的に見てどこにあるのかまったくわからないからなんとも言えないんだけどね。やっぱり地理とかはきちんと勉強しておくべきだったか。異世界に来れば地理の重要性をかなり感じるよな。歴史もそうだし、社会とか大事だよな。
『あんたたち反応薄いわね〜てかここか〜』
「予想してたんですか?」
『ん〜なんとなくね〜でも理由は言わないし、ま、大丈夫でしょ』
その言い方かなり不安になるんだけどどうすればいいのかな。でもまあこっちには火の精霊がいるしなんとかなるだろう。もちろん僕も強くなるために全力で経験を積むけどさ・・・本当に強くなれるのか知らないけどさ
『まあそうね。とりあえず向こうに少女がゴブリンの群れに襲われているから助けに行ったら?』
「え?」
まじかよ。いきなりだな。日本人の性格というかなんというか、助けが必要と言われたらついついそっちの方向に足が動くよな〜。え?野次馬的なノリじゃないかって?いやいやさすがに僕はSNSにあげないしてかここSNSないからね。
「少女だから行くわけじゃないよね?」
「ねえなんでそうなるの?」
『そうなの〜?あんた姫がいるのに?』
「だからなんでシェミン先輩が姫ってなるんですか?」
「ミライ、誰もシェミン先輩だなんて言っていないよ」
「クレアうるさい」
がやがやと口喧嘩しながらも、僕らはイフリートが示す場所へと向かっていった。確かにそこには一人の少女がゴブリンたちに襲われていた。そしてその少女との出会いによって、僕は救われることになろうとはこの時まったく想像していなかった。
次回はキャラ紹介でその次から第5章、バックアップ編です




