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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第4章契約
152/317

ライバルだから、負けたくない

???


クレアと対峙する。さっき言いたいことはお互いに言い合った。これからはもう全力で自分の力をぶつけるだけ。お互いにわかっている。こういう時はなにを言おうが結局は勝ったものが全てだ。勝たなければならない。だからもう・・・余計なことばはいらない


「『電気鎧(armor)第三形態(third)』」

「『炎の鎧』」


クレアと本気で戦うのはこれで何回目だろ。でも最後に戦ったのがいつかは覚えている。学校の試合という全力だけれども命のやり取りのない戦い。・・・ああ、そういう意味ではこうしてお互いに殺しあうのは初めてなのか。


戦いの流れは変わらない。お互いに使える種類の魔法は増えたけれども僕が接近戦が得意でクレアが遠距離戦が得意なことは何もかわらない。


「『火の領域(fire・field)』」

「遅いよ!」


一気に距離を詰める。後ろに回りこんで回し蹴りをする。適度に体のどこに電気を集中させるか意識して効率よく体が動くように操作する。もう大分手慣れたもんだ


「ぐうう」

「防がれた・・・」


クレアの体にまとわりついている炎が頭の、僕が蹴った場所に集中して集まって綺麗に防がれた。炎がここまでの質量を持つなんて。ってまずい


「『放電(thunder)』」


クレアから距離を取る。やっぱり自分がいたところの空間が燃えている。


「『火の玉』」


ここで追撃か。距離を詰めるつもりが逆にとってしまったのは不覚だったな


「『電気の領域(field)』」


『領域』で全部弾きかえす。やっぱり思うように主導権を握ることができないな。こういう時は搦め手を混ぜるべきかそれとも正攻法でゴリ押すべきか。どっちが正しいのかな。


「『創造《creat》』」


砂鉄を集めて剣を作る。といっても相性的にちょっと不利だよな。砂鉄って加熱されると反応して酸化するんだっけ?そして酸化することで性質が変わったりするのかな?よくわからないけど気をつけたほうがよさそうだな。


「『炎の壁』」

「壁は超えればいいんだよ」


接近を防ぐためにクレアが『炎の壁』を選択することは読めていた。だから足に力を込めて高く飛ぶ。そしてすぐさま『創造《creat》』を解除して砂鉄をあたり一面にばらまくこれで火魔法は使いにくいだろ


「『炎の剣』」

「え?」


横から剣が飛んでくる。あ、空中だから避けることができない。むりやり体をひねってみるけど全部はやっぱり無理だったか。致命傷を避けるので精一杯だ。なんか矛盾が起きてないか?


前にいるクレアのほうを見てみればかすかに揺らめいている。それにさっきの攻撃は横からきた。これらが意味するのは・・・なんかアニメのトリックで見た記憶があるんだけど、確か・・・そう


「分身・・・いや、蜃気楼か」

「今まで隠して良かったよ。うまくいった」


声が聞こえる・・・姿が見えるけどそれはどっちだ?蜃気楼によって見えている幻か?それとも本物か?なるほどね火を操るということはある程度操作できるようになればあたりの気温操作までできるようになるということか。


蜃気楼、温度差などによる条件によって光の屈折が発生しそれによって幻を見せる現象。よく夏の暑い日に遠くのアスファルトを見てみれば揺らいでいる風に見えることがあるけどそれも同じ現象。砂漠で何もないところにオアシスが見えたりするのも同じ。つまりそれを利用してクレアは自分の幻を作り出した。初見だったら絶対に見抜けない。でも・・・所詮は幻、実体はない


「『感知(feel)』」


実体がないということは人間がかすかに発している電波も発していないということ。感知魔法を使えばすぐに位置を割り出すことができる。そこだ


「『放電(thunder)』」

「やっぱ一回きりか」

「そんな魔法があるなら・・・使えないな」

「一回見せちゃうと警戒されちゃうしそもそも対人用だからね。というかミライの感知魔法もずるいよ」

「そんなこと言われてもな」


確かにな。僕の魔法は電波を感知する魔法だ。正直にいってしまえばクレアと認識しているわけではない。だいたい人間が発している電波がそこにあるからクレアだと予測しているようなものだ。その分入り乱れていれば敵味方区別することはできないというデメリットは存在する。でもだからこそクレアの幻を一発で見抜くことができる


「一度きりだけどダメージ与えられたからいいか」

「そりゃあね・・・『地雷(trap)』」

「っと、動けないな」


クレアの周りを中心にトラップをしかけていく。すぐに効果時間がなくなるけれどそれでも移動の牽制になればいいかな


「『浮遊(sky)』」

「あ」


こいつ空飛べるからなんの意味もないじゃないか。くっそ、移動されたことによってまた蜃気楼に気をつけなければいけないから感知魔法を使い続けなければいけない・・・何が一回きりだよ。それ以降ずっとこっち警戒しなければならないじゃないか。なるほどね綺麗に決まるのが一回って意味ね納得。


「『放電(thunder)』」


空中に浮いているクレアを撃ち落とすように魔法を放っていく。ちょろちょろ避けやがって。そういえばさっき通常の『領域』を発動していたっけ。だからこっちの攻撃に対しての反応がかなりいいのか。


「『火の玉』」

「にゃっろ」


そっちが新技でくるっていうのならこっちだってやってやる。


「『(light)』」

「目くらまし・・?」


閃光(flash)』と原理はほとんど同じで視覚を奪うことに特化した魔法。閃光弾だ。まったく『放電』もそうだけど僕のネーミングセンスは本当に悪いよな。名前を一度固定してしまったらもう変更がきかないみたいだし(もうイメージで固まっているみたいだ)微妙に単語と効果がずれているんだよね。


「でも僕は感知魔法が使えるし、近くにくればすぐに把握できる。ほぼ無意味といってもいい」

「そうかな?」

「だってそこにいることがわかるからね『火の玉』」


まあ、僕のところに攻撃が来ることはわかっていたしそもそもこれで自分の位置を隠すことができたなんて微塵も思っていない。僕の狙いは本当に単純にクレアの視界を奪うことだ。これで僕が何かしてもそれを視認されることはない。


「命中したよ?これでまたダメージが・・・っておいまじかよ避けずに突っ込んでくるのか」


だってこのまま突っ込んでいかないとせっかく視覚を奪った意味がないじゃないか。そのまま僕は何事もなかったかのようにクレアの元にたどり着き、


「『電気鎧(armor)第三形態(third)』」


電気鎧(armor)第三形態(third)』を発動して急加速。そのまま一気に後ろをとってさっきと同じように回し蹴り。虚をついたしおまけに一気にギアを上げたからこれで僕を捉えることはたとえ直前まで探知していたとしても不可能だ。


綺麗に回し蹴りがクレアの後頭部に決まる・・・しかしながらクレアが衝撃で吹き飛ばされることはなかった。


「・・・まじかよ」

「なるほどね。その反応からして、ミライも僕と同じ結論に達したわけだね」


まったく本当にクレアは僕のライバルだ。まさか次に考えた魔法がまったく一致するなんてね。

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