4階層決着
???
「それじゃあ・・・ってやること変わらないよ。僕もそれ以外考え付かないし」
「了解」
まあ、敵についてだいたい掴めてきたし立ち回り方もわかった。だからあとは気を抜かないで集中して攻撃を継続させていけばいい。
「『地雷』」
クイーンの足元に罠を設置して動きを抑える・・・さすがに図体がでかいだけはあって痺れるのも一瞬か。でもその隙にクレアが視界から外れた所まで移動できたからそれでいいか。
「クレア!初手だけは少しだけ試したいから攻撃するかはよく見極めてくれ」
「は?お前この状況で・・・わかったよ」
まあそこまで新しいことをする気はないんだけどね。さっきハルさんから電撃の援護をもらった時に僕は『領域』なしで砂鉄を操ることができた。そもそも『領域』をわざわざ最初に発動していたのは自分の力不足を補うためだったからね。つまりそろそろ援助なしで砂鉄を操ることができるのではないかと考えたわけですよ。最初に『創造』を使ったのっていつだっけ?ま、さすがにそれからきっと強くなっているはずさ。
「『電気鎧・第三形態』」
さすがに0から操ることができるとかそこまで思っていない。まあいつでもだいたい『電気鎧』は使うからこの状態で使えれば十分だ。拳を地面に打ち付けて電流を流す。そして・・・クイーンの足元に集めて、
「『串刺し』」
「キチギリィ!?」
うまくいった。地面の中の砂鉄を集めてそのまま槍の形にして地面から突き出させる。胴体を貫くぐらい大きわけではないけど、足を一本刺すくらいの大きさはしっかり確保できた。ん?体が硬直して、動けなっ
「ミライ!」
いつのまにやら振り下ろされていた他の足で攻撃され吹き飛ばされる。あーこれも一時的に自分の体にある電気をほぼ使うために硬直が発生するみたいだな。
「追撃はさせないっての『電気の領域』」
でもその分『領域』をすぐに発動できるというメリットがあるな。これによって追撃を防ぐことができた。うーむ、一長一短というかこれどちらかといえば遠距離用だな。近接戦闘ができる人と組んだ時ぐらいしかできなさそうだ。そして、槍となって地面から出てきた砂鉄はまとまる力を失い、空気中に散布される。クイーンが動いたことによって風が巻き起こりいい感じに広がっていく
「『火の玉』」
またしてもクレアが火の玉を放って粉塵爆発を巻き起こさ・・・・ん?
「キエエエエエエエ」
クイーンが急に口を上に向けて咆哮を上げたかと思うとー今回は僕にも聞き取れたークイーンの周りにあった砂鉄が全て吹き飛ばされ、そして近くにいたクレアも同様に吹き飛ばされる。僕は距離が取れていたからそこまで被害がないけど・・・これは
「まるで僕らの『領域』だね」
「みたいだね。おまけに・・・またゾロゾロと」
またしても通常のキメラアントたちがゾロゾロと出てきた。その数10匹。やっぱり数がそこまで多くない。あの大群は一体どこに行ったんだ?
「やっぱクイーンに遠慮しているのかな?」
「それだといいけどね」
「ミライがクイーンの足止めをしておいてくれ。その間に僕が通常個体を倒していくから」
「了解」
気をつけなければいけないのはさっきの僕らの『領域』みたいに咆哮で全てを吹き飛ばす技。足の振り下ろしとか酸はそこまで強くない。『電気鎧・第三形態』使用中の反射神経や身体能力ならば余裕で避ける事ができる。
「『地雷』」
僕に通常のキメラアントからの攻撃はこない。だってクレアが戦ってくれているから。だから僕は全力でこいつの足止めに専念できる。もう一度動きを止めて、
「『放電』」
クイーンの頭めがけて電撃を投げる。やっぱりこいつそこまで強くないな。
「ミライ!こっちは倒したから止めに行こう」
「オッケー」
足に力を込めて高く飛ぶ。その時、僕は向こうに見てしまった。大きくて黒い何かがこっちに向かってきているのを。慌てて僕と同じように空中に来ていたクレアに聞く。
「おいクレア」
「ああ、ほとんどのキメラアントは最初に僕らがいたところの近くにいたんだろう。ユンさんの魔法で一気に移動したせいで僕らの居場所を見失っていたからここにはほとんどいなかった」
でも二度にわたるクイーンの咆哮によってクイーンの身に危険が訪れている事が明らかになってしまった。だから今この場所に向かってきているのだろう。てか、ちょっと待て。そんなに最初の位置から距離離れているのかよ。確か10分間って言ってなかったっけ?こいつの飛行速度ってどんだけなんだよ
「いやあなんか下見ても下見てもキメラアントしか見えなかったから焦ってね。『領域』などを使ってかなりブーストをかけたんだよね・・・てか途中に川とかあったし。あれでかなり遠回りしてるんじゃないか?」
そんなことがあったのか。確かに飛び去っていったこいつの速度なかなか早かった記憶があるし途中急に吹き飛んだかと思うほど急加速していったもんな・・・ま、今はそんなことどうでもよくって
「時間がない次の一撃で決めないといけないよ」
「おっけー」
全部の力を込める魔法といえばあれしかない。自分の全魔力を込める魔法・・・てことは僕飛んだ意味なくね?なんで飛んだんだよ
「いや、ミライは上空から連続で電撃を放ち続けてくれ」
「え?おい!」
いうが早いかその場ですぐに急降下していく。しょうがないな
「『地雷』」
気休めにしかならないけどこれで滞空時間が延びたぞ。
「『放電』」
こうやって気を引いていればいいんだっけ?てかあいつ地面に降りてなにをするつもりなんだ?チラッと様子を見てみるけど、あの構えって
「『全力・魂の火剣』」
クレアが全ての力を注ぎ込んで一つの大きな剣を作り出す。え、あれって確か自分の全ての魔力を返還させる魔法だよな?そんなことをしてしまったらこのあとあの群れと戦うのに魔力がなくて終わってしまわないか。いや、そもそもあれで倒しきれるのか?
「大丈夫、これがあるから」
そういってクレアが口に含むのはさっき僕が食べたのと同じ薬、シェミン先輩からもらっていたやつのもう一つはクレアの元に飛ばされていたのか。
「多分これを食べれば魔力が全回復する」
クイーンは剣が刺さっているのでそっちに集中しているから地面に降りてクレアの元に向かう。確かに魔力は回復するけどさ、それで大丈夫なのか?
「そして・・・『全力・魂の火剣』」
「は?」
今全回復した魔力をまたしても全て消費するとか・・・こいつ一体なにを考えているんだ?2本目の剣というありえない状況が発生する。え?いやまってこれほんとどうなっているの?
「これで、終われええええええ」
クレアが一人で盛り上がってクイーンに襲いかかる。さすがに2本は耐えることができなかったようでその巨体が崩れ落ちる。
「まだ生きてる」
「まじか!『全力放電』」
本来ならもっと落ち着いた行動をするべきだったかもしれない。でも、なんでか知らないけど僕も魔力を全て消費して魔法を放ってしまった。合計で3回分の全魔力攻撃によってクイーンの息の根を止めることに成功した。こうして僕らは4階層のボスを倒すことに成功した。
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