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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第4章契約
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慣れって恐ろしい

今回ちょっと短いです

また、1前の話において少しだけ変更点があります。混乱させてしまいすみません。

???


あまりの急展開に僕は頭が真っ白になってしまっていた。いやユンさんたちがなにをしたのかはわかる。感覚としては理解できている。僕とクレアを囮にして一足先に次の階層に向かった。そもそも出会った時から捨てられることはわかっていたしいつかこういう時が来るとは思っていた。でも・・・いや、認めよう。なんやかんやで来ることがないと心のうちのどこかで思っていた。ユンさんたちと共闘して絆を感じて認められて僕もユンさんたちのパーティーなんだって思い込んでいた。厳しい現実から目をそらしていた。だからその時が急に訪れて僕は今、頭が真っ白になってしまっている。


そんな僕を正気に戻してくれたのは、やっぱり、クレア(親友)の声だった


「ミライ!ぼけっとするな!」

「は!」


見れば、クイーンキメラアントが僕の方を向いてその脚を僕の方に叩きつけてきていた。


「『電気鎧(armor)第三形態(third)』」


使用を控えておきたいけど今この状況では使わないと避けることができない。電気によって無理やり身体能力を底上げしたことによってなんとか避けることができた。


「クレア!」

「しっかりしろミライ!・・・裏切られるのは、いやこうなることは覚悟してただろ!だからこいつ倒して生きようぜ?」

「・・・」


覚悟、か。クレアはすごいな。僕なんて気が動転してしまっていたのにすぐに立ち直ることができるなんてな。僕ももっとちゃんとした覚悟を持っておいた方がよかったのかな・・・


いや、もう過ぎてしまったことが仕方がない。今できることをやるしかないんだ。幸いユンさんたちは今ここにはいない。これはある意味チャンスだ。ユンさんたちがいないから無事にクイーンを倒すことができれば晴れて自由の身になれるかもしれない。待ち伏せされていたらもうどうしようもないけどまあその時はその時ってことで


「クレア!僕がクイーンの気をひくからクレアが攻撃を頼む」

「おう!」


キメラアントのクイーンであるならば当然弱点はキメラアントと同じ火属性。僕よりもクレアの方がアタッカーに向いている。それに敵がでかいだけならなんとでもなるからね。


脚に力をこめて跳躍する。狙うは・・・頭!


「『放電(thunder)』」


頭めがけて電撃を放つ。所詮蟻だから・・・って油断はしない。油断をすればすぐに死ぬことは僕の失われた片腕が証明している。


「ギチギチィ」


ほら、口から何か液体を発車してきた。あれは・・いわゆる硝酸か?確か蟻は酸を口から吐き出すって聞いたことがあるしあの酸がそうなのだろう。硝酸ではなかったな。知らんけど。(蟻が持っている酸はギ酸と呼ばれる酸です、またすべての蟻が持っているわけではありません)


当たってしまうと溶けるよな、さすがに。さてどうしようか。って、あ!


脚の一本が振り下ろされていたことに気がつかなかった。気がついてガードしようにも『領域』はさっき使ったばっかりだし防ぐことができない。そのまま叩きつけられるように地面に振り落とされる。


「うぐぅ・・・」

「ミライ!」

「・・・大丈夫だ」


普段の使い方から『電気鎧(armor)第三形態(third)』は攻撃用だと誤解しがちだが普通に『電気鎧(armor)』の一種であるから防御力もそれなりにある。これぐらいならまだなんとかなる。・・・まあ片腕を失っているからすぐに立つことは難しいけどね。やっぱり普段あるものが急になくなってしまうと一気に不便になるな。失ってわかる当たり前のことの大切さって奴かな。そんな大層なものなのかわからないけど


「すまん、『火の剣』」


それでも僕の方に攻撃が集中しているのは事実でクレアが側面から攻撃に入る。


「ギチィ?」

「な!」

「え?」


急にクイーンの体が銀色になっていったかと思うとクレアが放った火の剣がことごとく跳ね返されてしまった。まさかあれは・・・


「メタル化?」

「?なにそれ」

「え、あああれだよゲームとかでよくある防御力が大幅に上がるやつ。その分経験値が美味しいんだけどね」

「何の話をしているんだ?」


あ、まだ動揺していたのかゲームとか経験値とかよくわからない単語を連発してしまったな。反省せねば。ま、でも一番大切なことは伝わったしいっか


「要は体が金属化して防御力が大幅に向上したとそういうことだな」

「そうだね」

「まあ、そうでもしないと今までのボスに比べたら弱すぎるからな」

「そうなるよね・・・・」


メタル化(正しい名称がわからないからこう言う)したクイーンは口を上空に向けている。あれは一体何をしているんだ?まるでなんか呼んでいるようだけど・・・ってまさか


「ミライ!一旦合流しよう」

「ああ、そうだな」


後ろを向けば、いや地中から続々とキメラアントが顔を出し始めた。ん?でもそこまで多くない。10匹ぐらいか。なんでだ?クイーンの近くだから近くに来るのが恐れ多いとかそういう感じなのか?いや蟻にそんな制度があるのかわからないんだけどさ


「なんにせよ。助かったね」

「そうだな。数が多ければ間違いなく死んでたよ。ミライ、『領域』は?」

「回復したよいつでも」

「おっけー。じゃあまた合図は僕が」


「せーのっ」

「『電気の領域(field)』」

「『火の領域(fire・field)』」


さっきと同じように同時に『領域』を発動してクイーンを足止めする。切り札を切ってしまうけどその隙にキメラアントを全て倒してしまおう。こいつらは僕らでも倒すことができるからね


「『放電(thunder)』」

「『火の玉』」


お互いに遠距離魔法を放ってキメラアントを倒していく。


「クレアあと何匹?」

「あそこにいる一体だけだね」

「了解」


魔力の消費を避ける意味でも直接ぶん殴るか。高く飛んで、そのまま落下の勢いもプラスして・・・いっきに拳を叩きつける。


「キシャアアアアア」

「よし!」


一撃で絶命させることに成功した。そのままキメラアントの体から拳を引き抜く。普通なら体液とかが腕に付着しているんだろうけどそこも安心、だって電気で腕を覆っていますからね。


「ミライ!」

「!」


クイーンが復活したか、だがそうなることは想定していた、もう片方の腕で電撃を放てば防ぐことができる


「『放電(thunder)』」


・・・あれ?発動しなぐふえ


なぜか電撃が放たれなかったので僕はそのままクイーンの体当たりを喰らって吹き飛ばされる。なぜだ。なぜ電撃が放たれない


「あ、腕なかった」


ちっ。やっぱりすぐに慣れることはできないか。なかなか腕がなくなったという事実を脳が受け入れてくれない。ついついあるものとして扱ってしまう


「『火の剣』!。ミライ大丈夫か」

「ああ、大丈夫」


クレアの手を借りて立ち上がる。やっべ、どうすればいいんだろう。


その時、立ち上がった僕の体から、何かが落ちた。

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