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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第4章契約
134/317

今後の方針について

ブクマありがとうございます

励みになります

???


仕方なく僕は全部話した。こうなったのも全部天衣たちが見境もなく自分たちが異世界から来たんだと吹聴して回っていたからに他ならない。こうなったらここから生きて帰ることができたら一発ぶん殴ってやる。死亡フラグ的に言うならば


「僕、帰ったら天衣を一発殴るんだ」

「お前急に何言っているんだ?」

「えっと、地球・・・僕がいた世界ではこれを戦場とかでいうと大抵その後で死んでしまう呪いがあるんだ」

「それだめじゃねえか」


それだけヤケになっているってことなんだよ。一応ヤマトさんたちも僕らの存在を受け入れてくれたみたいで僕らの身柄はこのダンジョンを脱出するまでの間は保留することになった。そう、クレアも結局その出生を全部吐き出さされた。ここは嘘でも「陽」の国だって言ったほうがよかったのかな。いやでもユンさんが協力してくれたかなんてわからないし結果論でしかないね。


「にしてもミライの世界って魔法とか全くないんじゃないの?でも呪いはあるんだね」

「いやー呪いってのは後付けで実際はこういうことが相次いでいるからそう呼ばれるようになっただけなんだ」

「はあ」


だってテレビとかアニメとか漫画とかそこらへんの話を出したところで理解してくれるとは思えないしな。いや、そこまではそういうもの、として理解できるかもしれない。でも、そこからオタク特有の早口と羅列をこれあまた基本スキルのボキャブラリー貧弱を駆使して語ったところで死亡フラグがなんたるかを説明するのって難しいからね。「俺、帰ったら幼馴染と結婚するんだ」はもはや定番すぎて元ネタがなんであるのか説明できないし。あと有名どころだと「もう何も怖くない」かな。こっちは・・・うん、ちょうど世代だし説明はできる。


「お前たちの境遇はわかった。だがそれは今は些細なことだ。ユン、あの二匹のドラゴンを倒す秘策はあるのか?」

「ああ、この二人を主軸にして戦う」

「そうか。だが、こいつらで大丈夫なのか?こう言ってはなんだが貧弱だぞ?まあ死んでも構わないという点ではこいつらが一番なんだが」

「大丈夫ですよ。ヤマトさん。僕、こいつらのこと全部思い出しました。こいつら噂の『領域』使いの一年です」

「ほお!『領域』使いか。それはまた妙なやつを連れたものだな・・・うーむ。となると殺すのも惜しいな」

「それは後回しだ」


そんなに噂になっているのか。でも僕の噂なんてロクなものがなかったような気がするけど有望な新人を卑怯な手で半殺しにしたとか、強い先輩たちに取り入って威を借りて偉ぶっているとか。


「ああ、その噂も聞いたけどそんなのは気にしてないよ。これはセリア会長から聞いたから」

「セリア先輩と仲がいいんですか?」


あのセリア先輩と仲がいい人なんていつも一緒にいる人たちだけかと思ってた。そりゃ尊敬はされているだろうけどどことなく近寄りがたさを感じて遠慮してそうなんだよね。そう質問した僕をハルさんは不思議そうに眺めていたけど、少しして合点がいったような顔をした。


「そっか、君あんまり学校のこととか知らないんだっけ?サボリがちだし」


それは非常に事実と異なっているのですけど。知らないというか・・・あ、それはさすがに否定できないや。自分から調べようともしなかったし。こういう風にハルさんが言うってことはハルさんは学校でそれなりに有名なのだろう。でもサボリがちというほうは否定したい。サボリがちなんじゃなくてずっと寝込んでいるだけなんですよ。毎回毎回ことあるごとに重傷を負ってしまうので


「あ!もしかしてハルさんって第三ギルド『旅人の休息所』のギルドマスターですか?そういう名前を聞いたことがあります」

「え!そうなんですか」


第三ギルドってことは・・・天衣や一ノ瀬を始めクラスメートがそれなりにいるところじゃないか。ついでに言えばーついでで申し訳ないけどーミロンさんも。


「そうだよー。ったくセリアの野郎が興味を持ってるって聞いたからどんなやつかと思ったらね・・・案の定訳ありかよ」

「すみません」


異世界から来たことはこの際無しにしてくれませんかねぇ。それも天衣たちが勝手に吹聴して回っていただけだし


「ま、とにかくこの二人の実力はそれなりに保障する・・・それに対ドラゴンにおいて『領域』使いの有用性は知っているだろ?おまけにこいつらは自然災害系の魔法まで使えるし正直下手なやつより使えるぜ」

「そうか・・・ユン、悪いがこいつら欲しいな」

「だが、こいつら・・・特にクレアのほうは生かしておくとまずいぞ」

「なぜだ?」

「・・・」


あ、黙った。でもこの調子だと僕は生き延びれそう・・・?でもクレアを犠牲にしてまで生き残りたくはないなぁ。


「はあ、お前らには元同級生の好として教えてやるよ。ここのダンジョンの最高報酬は精霊『イフリート』。んで、そこのクレアは『イフリート』に拉致られる形でこのダンジョンにやってきたらしい。真偽のほどは分からないが、こんなところで嘘をつく理由もないし、俺は真実だと見てる」

「むむ・・・ん?じゃあつまりミライは」

「そう、数多の国々が交わした決まりを破ってここにきている。クレアを助けるためにな」

「ほう」


あ、これかなりまずい流れだな。ヤマトさんたちの目がかなり険しくなった。やっぱりそこ突かれるとどうしようもないな。


「まいいさ。俺は・・・まあ犯罪者ならまずいが強いやつなら申し分ない。それにユン、こいつらをいつ殺すっていうんだ?この先も使うかもしれないぞ」

「イフリートに出会う直前。正直イフリートがクレアに着いたらもう負けだ。今の戦力じゃまともに戦っても勝ち目が薄いし」

「ま、それより先にドラゴンが先決だ」

「そうだな。基本的にミライとクレアを壁にしてそれぞれが一体ずつ殴っていくとかどうだ?」

「それが現実的だな」

「じゃあどっちがいい?」

「そうだな・・・お前らはどっちがいい?」


ふう、とりあえず問題は先送りにされたな。でもこれからどうしよう。まだ僕が生き残る可能性が残されている分救いか。


「そうだな。俺はクレアのほうにしようか」

「了解」


決まったみたいだな。つまり僕はユンさんたちのほうになるわけか。ここまでくれば個人の戦力差なんてたかが知れているから人数が多い分クレアには悪いけど楽かもしれないな。その分早く倒してクレアのほうに応援に行かないといけないけれどさ。


「ではでは!ミライさん。あなたの使える魔法を教えていただけませんか?他にもオリジナルな魔法たくさん使えますよね」


・・・・クレアー変わってくれ。てかユリさんがかなりぐいぐいくるんですけど。まあ、別に隠す必要もないし、話すか。特に『電気鎧(armor)第三形態(third)』はその作用をきちんと説明していれば回復の援護をしてくれそうだし


「あ、そうだ。ヤマト。他には冒険者いないのか?俺たちは最初に突入したからわかんないんだが」

「ああ、基本的にほとんどの国は一ヶ月をまつつもりだぞ。来てるのは俺たちだけ」

「どういう意味だ?」

「今、魔物の軍隊が発見されてほとんどの国は軒並みそっちに行っているんだ。ここに来れるのは王族が優秀なお前らと継承権を放棄した俺がいるところぐらいだ」

「そうだったのか・・・・それはある意味チャンスだが、この状況が悪い。確かに一気に攻め入ったほうが楽だな」


いや、この状況だからこそイフリートは現れたのだろう。もっとたくさんの冒険者が来ていればきっと僕らよりも先に攻略されたはず。ここまでお膳立てされたんだ


ー力を手に入れないとね

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