ダンジョン仕組み的な話
???
「お、目が覚めた?」
「クレア?」
目を開けるとすぐに目に入ってきたのはクレアの姿だった。確か気絶する直前にクレアの声を聞いたような気がしたような気がしなくてもないけどまさか本当にクレアだったとは
「あーなんか久しぶりだね」
「そうだな」
気まずい空間。まさかたまたま出くわすとかそういう感じを想像していたのにまさか僕が意識を失っている時に合流するとかかなりひどいんですけど
「まず、なんでここにいるのか説明してもらえるか?」
「ん?それはお前を助けるため?」
「あーまあ確かに一人だと厳しいしな」
「え?」
なんとなく怒っていた気がしたからすこしばかり拍子抜けというかなんで怒ってこないんだろう。
「なんで疑問の表情を浮かべているんだ?」
「いやだってお前のことだし『なんで助けに来たんだよ!』って言いそうだけど」
「それ言ってもどうせイフリートがなんかしたんだろ?」
「それは自分の意思」
「まあ、僕にもいろいろあったってことで」
なんかはぐらかされた気もしないでもないけどそれでいっか。僕だってこの話題をそこまで長い間続けたいわけではないし。
「なあ、あのゴブリンってなんであんなに強いんだ?てかなんなんだ?キング個体じゃなさそうなのに」
それよりもあのゴブリンについて知る方が先決だ。見た目は明らかに普通のゴブリンだっていうのにあの強さはさすがに破格と言わざるを得ない。
「ああ、あれ?イフリートが特製強化したこの階のボスだよ」
「ボス・・・」
それならあの強さも納得・・ってイフリートが強化したのかよ。僕らの力を試したくてもあそこまで強化されてしまうと手も足も出ないんだけど
「まあきてる人たちに攻略させないようにしたらあそこまで強くなったんだとさ」
「つまり僕らは弱いと」
「そういうことになるね」
僕ら基準にしてしまうと弱すぎるってことは裏を返せば僕らと他の攻略者たちに実力の差がかなりあるんだろうな。
「ん?この階のボスってことはまだ討伐されていないのか?」
「そうなるね・・・まあまだそこまで時間経っていないしそのうち討伐されるんじゃないか?」
時間経っていない?あ、そう言われれば確かにまだ2、3日しか経っていないかも。でもその間なにも食わずだと厳しくないか?
「そういえば確かにお腹すいてきたな」
「その状態でよく動けてるな・・・僕のバックに幾つか乾パンが入っているから食べたらいいよ」
「いや、今はいい。もう少しなんとかなるしこの調子だと攻略がいつになるかわからないしね」
「?」
さっきからどこか僕とクレアの間に妙にズレが生じている気がするんだけど。もしかして、もしかしてだけど、異世界モノでおなじみの・・・
「クレア、お前ここに連れ去られてからどれくらい経ったかわかる?」
「え?ま、まあ眠たくならないし、動けるから少なくとも1日は経っていないんじゃないか?」
「やっぱり・・・」
「え?」
クレアは1日経ってないっていうけど実際外では2、3日経っているしダンジョンと現実世界?では時間の進むスピードが違うのだろう。これはファンタジーものでは定番だったりするし今回もそうなんだろう。
「なにをぶつぶつつぶやいているんだ?」
「ああ、ごめん」
思わず先走ってしまっていたみたいだ。この感覚はクレアにはわからないだろうし、きちんと説明しないとね。
「ああ、なるほどね」
「なあ、普段小説を読む時には全く気にしていなかったんだけど、時間の流れが違う二つの時空を行き来した場合ってどうなるんだ?」
「さあ?」
「知らないの?」
「だって普通聞かないし」
「それもそうか」
知り合いにそういう人がいたりとか自分が巻き込まれないと一切気にしないもんね。人間なんて所詮そんなもんさ。「いきなりなにを言い出すんだ?」人間ってこういう風にたまに自分悟ってますよアピールをしたくなるんですよ
「なんでそんなことをするの?」
「自己優越感に浸るため?」
「はあ」
僕だって詳しくはわからないんだけどまあそんなところだろう、人間なんて所詮そんなもんだし(二回目?)
「ま、この話題はこれくらいにしてこのダンジョンについてもう少し教えてくれないか?僕今期たばっかりだしそれに他の攻略者についても」
「ああ、りょうかい」
聞けばクレアが来て早々イフリートが現れてこのダンジョンの説明をしたらしい。このダンジョンは全部で5階+1フロアで構成されているらしい。本当はめちゃくちゃ大規模なダンジョンにしたかったらしいのだがクレア(+僕)の実力を考慮してこれくらいにしたらしい。いや実力を考慮するならもう少し敵を弱くしてくれ
「あんまり弱くしすぎると攻略者たちにあっという間に突破されてしまうらしいからってさ」
「ああ、さっきも言っていたね」
悲しいな。ま、とりあえず自分の実力を嘆くのは後にしてダンジョンの話を聞く。すでに聞いていたけど各階にそれぞれイフリートによって強化されたボスが存在していると、そしてそのボスを倒さないと次の階層に向かうことができないと。この階のボスはゴブリンで通常のモブモンスターは異世界モノ定番のスケルトンらしい。ただし、一匹に見つかれば30匹と戦わなければならないらしい。ゴキブリかよ。
それからこのダンジョンの特徴としてボス以外のモンスターを討伐したとしても遺体はすぐに消えてなにもドロップすることがないみたいだ。つまり何体倒しても無駄。さっさとボスだけを倒して次に進めばいいみたいだけど、ボスが強すぎる。また各階にそれなりに宝箱とかを置いているみたいで攻略者たちは先に宝箱の探索を行っているみたいだ。だからこうして僕らが休憩することができているからありがたいな。
「さて、どうする?」
「ボスは倒せないし・・・でもイフリートは僕らが辿り着くことを期待してるし」
八方ふさがりなんだけど。なんで僕は主人公じゃないんだ。主人公ならこういうときに普通にチート能力で解決したりするんだろうが。僕なんてさっき簡単に避けられてしまったんだけど。当てるためにはもっと魔法の速度を上げないといけないんだけど
「それは難しくないか?」
「え?」
「だって電気の速度って常に等しいんじゃないっけ?」
「あーどうだっけ?」
でも言われてみればそんな気がしてきたな。習ったことないし考えたことないけどわからないけど電気に速度ってあるんだっけ?電流とか電圧とかを強くすると電気内の電子の速度って上昇するんだっけ?
「それよりももっと先の段階を見た方が良くないか?」
「先?」
「そう、あーミライはこっちの方が慣れているかな?『無詠唱』と呼ばれる技術なんだけど」
「『無詠唱』!」
でました!なんか最近急にテンプレが出て来始めたんだけど、これまた定番だよね。無詠唱つまり詠唱なしで・・・
「ねえ、普段から使う魔法に詠唱なんてなかったんだけど」
「だから慣れてるって言ったでしょ?要は魔法名を言ってからすぐに発動するってことさ」
確かに無詠唱は突然魔法が発動するという意味ではあっているんだろうけど、それは無詠唱というよりはむしろ
「『高速詠唱』の方が近くないか?」
「あーそっちの方がいいかも」
「でも死角をついたからそれは違う気がするんだけど」
「いや、それでいい。魔法がすぐに発動するってことはそれだけ次の魔法にスムーズに移れるってわけだから」
「ああ、手数で押すのか」
反応されても避けられない状態にする。それは実質当てたことと同じだろうし確かに高速詠唱の技術を磨くのは大切っぽいな
「でもそれどうやって学ぶの」
「これからスケルトンを倒しにいくから即興でやってみよう」
「なるほど」
かなり急ごしらえになってしまうが、状況が状況だしやるしかない。やらなければ死ぬのは自分だ。どのみち強くならなければ攻略者たちに見つかってしまった瞬間殺されてしまう。それを防ぐためにも急激に強くなることを覚悟しないとね




