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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第4章契約
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ダンジョン侵入後編

文月一週目水曜日


「なんだあの魔法は!?」

「魔法だけでなく・・・人も吹き飛ばしただと?」


魔法なんて不可思議なものを吹き飛ばしていたわけだから当然実体のある人間も同じように吹き飛ばすことが可能というわけか。これでまた領域の使い心地が良くなった気がするぞ


「ミライ!」

「今度こそ、本当に使えるようになったんだな」

「先輩、ご心配をおかけしました」


短い間だけれども本当にお世話になったよ。先輩の言葉がなかったらこんなに早く立ち直ることなんてできなかったし。


「よっしゃ!もう心配いらないな!さっさとクレアの野郎を助け出してこい」

「わかりました!」

「ミライにクレア・・・かそれに月の姫。さらには例のガキに残り二人どうすぐほえ」

「うるさいですよ」


もはやみんなの名前がほとんどばれてしまっているようだけどもうお構いなしにサリア先輩は氷柱で兵士たちを潰していく。開き直ったら怖いものなしだよね


サリア先輩のおかげで僕の前にいる兵士たちが大分減った。あとはざっと20人。一気に突っ走るか!


「セリア!俺を飛ばしてくれ」

「りょうかい。『嵐』」


急に僕の隣にグレン先輩が現れる。え?というか人を転移させることができるのなら最初っから僕を転移させてくれてもよかったのに


「今のは転移魔法じゃなくて風魔法で吹き飛ばしたからね・・・体がかなり丈夫なグレンじゃないとすぐに不可に耐えきれずに死んでしまうよ」


怖!めちゃくちゃリスクの大きい魔法じゃないですか。『電気鎧(armor)』状態ならぎりぎり耐えることができるかな?試したくないけど。


「セリアにグレンかこれで全員の名前を覚えたぞ・・・これでお前らを全員処刑することが可能になったな」


そうですね・・・でも、だから先輩たちは強いんだな。今、グレン先輩もセリア先輩もどちらもわざと(・・・)、名前を呼んだ。このタイミングは無理に名前を呼ぶ必要がなく、普通に声をかけるだけで問題なかったはずだ。


これは先輩たちの意思表示。自分たちも同じ境遇になるという強い意思表示だ。それだけ先輩たちが仲間同士で信頼で結ばれているのかがよくわかる。・・・少し羨ましいなぁ


「お前もクレアとなれるさ・・・『炎の拳』」

「うわああああ」


今の先輩の拳で2人は吹き飛んだな。のこりは18名。


「お前は少し温存しとけ。ここは俺たち露払いしてやるからよ」

「ありがとうございます!」

「『雷』」


空から降ってきた雷によってまた二人倒れる。そしてさらに後ろから氷柱が飛んできてまた二人を行動不能にする。セリア先輩とサリア先輩の援護だな


「おい!おまえなぜ俺を攻撃するんだ!」

「やばい!一部の奴らがあいつらじゃなくて俺たちを攻撃し始めたぞ」


後ろから襲撃を喰らわないのがどうしてかと思ったら後ろで仲間割れが起きていたんだな。洗脳といったところかな?催眠の一種だしセリア先輩の魔法か?


「これはシェミンの魔法だな」

「シェミン先輩ですか?」


よくよく考えたら僕シェミン先輩の魔法を全く知らないな。回復魔法を使えていたから援護系かと思っていたけれど催眠の上位互換的な洗脳を使えるなんてね


「ま、あいつらがいるから後ろを心配する必要がないな」

「そうですね・・・『電気鎧(armor)』」


さっきグレン先輩は何もしなくてもいいって言ってくれたけどさすがにそういうわけにもいかない。先輩たちの思いに報いるためにできる限り早く入り口に到着しないとね


「は?こいつ電気を体にまとって・・・?」


この場面で冷静に分析するのは構わないけどアニメとか漫画じゃあるまししそういう思考タイムになった敵を放置するわけないでしょうが


「おお!いい拳じゃねえか。じゃあ最後の手向けだ『力の領域』」

「!」


出た。先輩の領域。僕のやクレアのと違って威圧感が凄まじいグレン先輩の領域。息をするだけでも苦しい・・・味方でもここまで威圧感を感じるから敵は当然


「ぐ・・うぅ」

「おい、大丈夫か?これは・・・」

「魔族の力・・・?まさかこいつら魔族の者たちか?」


いや、普通に人間です。てか魔族とかまだ一度も出会っていないというかいるという話すら聞いたことないのですが。てかさすが精鋭だな。半分くらいまだ意識を保っていやがる。逆に言えば半分一気に意識を飛ばすことができるくらいグレン先輩が凄まじいってことなんだろうけどね


「んなわけあるか」


少し耐えることができていたやつもすぐに吹き飛ばす。そんなこんなで僕の前はあと5人になっていた。


「ここは通さない『火の槍』」

「援護する!『水の剣』」

「『土の壁』!」


続々と僕にむかって魔法が降り注いでくる。でも・・・遅い!


「『電気鎧(armor)第3形態(third)』」


自分の足に電気を集中させて・・・一気に加速させる!


「な・・・急に速度が上がっただと」

「だがそのまま壁に突っ込め!」


当然、対応策ぐらい考えているっての。足に集中させていた電気を腕に回してっと


「一撃で殴り壊しただと・・・!」

「バカな。こんなガキに」

『おお!面白い魔法を使うなぁー。有象無象の兵士たちを弱らせておいて正解だったよ』


なんでこんな簡単に僕でも突破できるのかと思ったらイフリートが協力してくれていたのか。本当にありがとうございます。


「俺たちの力を弱めただと。そんなことが・・・」

『できるよー。私精霊だもんね!』

「精霊・・だと」

「ならばなぜ!魔族の味方をするのです」


いやだから魔族じゃないって。あ、夢中で弁明してなかったから彼らの間では僕らはまだ魔族ということになっていたのか


『え?いやー魔族ではないよ?変な奴らだけど』

「変とか言わないでください」

『ほらほら!あと二人だよ。頑張って』

「わかりましたよ」


残るは二人。でもどちらも僕を警戒してか少し距離を取っている。『電気鎧(armor)第3形態(third)』は近接戦闘向きだし警戒して距離を取られると厳しいな。


「『電気の領域(field)』からの『創造(creat)』そして!『爆発(dynamite)』」


ま、当然距離をとるってことは僕にとって爆発の絶好にチャンスとなるわけですよ。


「またお前そんな技を」

「しかも大分簡略に」


先輩たちからは呆れられるんですけどね


『あははははははは!面白い!そんな魔法初めて見た。爆発を使う人は今までもたっくさんいたけど君みたいに自然現象を使いこなすなんてね』


さすが精霊。粉塵爆発を知っていたか。てか僕が異世界の人間だってことも見抜いていたしかなり恐ろしいよな。


「さて・・・じゃあサリア先輩、セリア先輩、グレン先輩、そしてシェミン先輩!行ってきます」


さっきの爆発で無事に?のこり二人を吹き飛ばすことができた。これで僕の前には誰もいない


「頑張ってこい!」

「クレアを救ってこい」

「ミライなら大丈夫です」


先輩たちからエールが送られてくる。そしてもちろん


「ミライくん・・・まってるからね」


シェミン先輩からも。先輩からの言葉はやっぱり力になる。


「はい!」


僕は元気良く返事をして、ダンジョンの入り口に飛び込んだ

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