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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第4章契約
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ダンジョン侵入前編

しばらくの間更新頻度がガタ落ちします

多分週に3回から4回程度になると思います

文月一週目水曜日


「さて、たどり着きました。ここが『月』の国です」

「なるほど」


「月」の国はなんていうか大都会とまではいかないけれども田舎というにはあまりに発展している感じでなんていうか微妙な感じだ。僕の語彙力では思うように表すことができそうもない。


「さて、ここから歩きます」

「場所はわかるのか?聞いてなかったが」


そういえば今まで全く気にしていなかったけどもどうして場所がわかるのだろう。なんか優れた魔法でも使ったのだろうか。あ、でもここが故郷だっていっていたし古い友人からでも聞いたのだろうか


「いえ、わかりませんよ」

「え?」

「『召喚』」


僕らの目の前に氷の精霊フェンリルが現れる。いやこんな簡単に精霊を出してもいいものなのだろうか


「セリア」

「わかってる『隠密』」

「?」

「ああ、今のはセリアの魔法『隠密』です。私達の姿を隠しただけです」


相変わらずセリア先輩の魔法の範囲には驚かされるんだけど。あの人の属性というかスキルが未だにわからない。なんであんなにたくさんの魔法を使うことができるのだろうか。てか隠密魔法ね、いまいち実感はわかないけど僕らの姿は周りの人に認知されなくなったってことでいいのかな。


「じゃあリル、案内をよろしくね」


なるほど、今回のダンジョンは精霊・イフリートによるものだから同じ精霊であるフェンリルの力を借りるわけか。精霊同士位置とかわかったりするんだろうな


「まあダンジョンの中にいると感知は無理なんだけど、魔力の流れがおかしな場所になっているからそこを探してもらっているだけです」

「え?」

「見つけました。では移動しましょう」

「え?ええ?」


それ普通に僕らでもできないのか?というか精霊をそんな風に扱う人を初めて見るよ、いや実際に精霊を従えているのはサリア先輩だけなんだからそれも当然と言えば当然か


「リルちゃん・・・」

『あとでちゃんと報酬はもらうだから心配するな高貴なる姫』

「余計なことは言わないでください」

「姫?」


姫って誰のことだ?話の流れ的にはシェミン先輩で間違いなさそうなんだけど。先輩ももしかして貴族の一人なのか?いやほんと名字持ち多いなぁ


「それは時期が来れば話しますよ。それよりも今はクレアが優先です」

「それもそうですね」


情報が与えられなかったからといって特に死ぬようなことはないけれどもクレアは今現在死にそうな目にあっているんだから急がないとね


「ま、体力を無駄に消耗してもあれだから歩くんだけどな」

「そうですね。幸いそこまで距離がないみたいですし」


サリア先輩の案内で歩くこと1時間。夕方に出発したからってのもあるけど大分暗くなってきた。とは言ったものの今は文月つまりは7月だ。なかなか日が暮れない。夏至はとうに過ぎているっていうのにこの時期って本当に日が暮れるのが遅いよね


それでも月が昇る前になんとか入り口までたどり着くことができた。


「これが・・・ダンジョンの入り口」

「そうですね。どこが入り口かわかりますよね?」

「まああれしかないでしょう」


ダンジョンは見た目はピラミッドのような形をしていた。そしてその一角に謎に切り取られたような場所があって怪しく光っている。普通に考えてあそこから中に侵入するので間違いないだろう


「ダンジョンって段々登っていくんですね。てっきり下に潜るのかと思っていましたよ」


偏見に過ぎないけどもそう思ってしまう。もちろん階段をどんどん登っていくような形もあることは間違いないんだけどね


「いえ、あれはイフリートの趣味みたいです。中がどうなっているのかは誰にもわかりません」

「趣味・・・」


なんていう趣味なんだろう「目立ちたがりみたいです」あ、はい。確かに突然こんなのが現れたら人目につくし発見もされやすいだろうなぁ。そして相変わらずというべきか、中は異界扱いになるようで外からでは地形が判断できないと。つまり中はめちゃくちゃ広いってわけですね。どれくらい広いんだろうか


「さすがに国一つ分とまではいかないでしょうが・・・それでも広い部類であることは間違いないみたいです」


派手好きってことだしダンジョンの中に罠とか設置されている可能性も非常に高い。さらに恐ろしいのが定期的に設置されるボスクラスのモンスター。キング系統とは違った強さを持つ個体だ。通常の個体とは異なりダンジョンの言い換えれば精霊の加護をもらっている。精霊の持つ属性の魔法を問答無用で使ってくることになる。さらに超強力な耐性持ち。もはや倒されることを目的としていないモンスターとでも言えばいいのか。侵入者を阻むためだからそれも当然か


「今はそれよりも中に入ることを優先しましょう・・・見張りの兵士はおよそ15名」

「少なすぎませんか?」

「まだいる」

「・・・近くに・・・大勢の・・・気配」


どうやら宿舎などが近くに設営されているみたいだな。随分と合理的だ。働く場所と寝る場所を近くにすることによってすぐに援軍が駆けつけられる。つまりそれは見張りの人数を減らすことができ、またその分しっかりと休息を取ることができるようになる。デメリットなどももちろんあるのだろうが、ダンジョン発見が近いことを踏まえると最初の混乱に生じて入ろうとする輩がいるかもしれないということで厳重なのだろう


「うまい具合に分かれていますね。セリア全員を眠らせることは可能ですか?」

「たぶん無理10人が限界」

「10人ならねむらせられるんですね・・・」


どんな魔法を使ったらそれが可能なんだろう。固有魔法とかか?僕の周りの人たちなんやかんやでオリジナル魔法しか使っていない疑惑が僕の中で出始めているけどそんなことないよな。一之瀬が炎魔法使っていたし大丈夫か


「それなら、俺がむこうでちょっと人騒動起こしてこようか?全員は無理でも少しぐらいなら惹きつけられるぞ?」

「そんなことをしても人を呼ばれておしまいです」

「それもそうか」


なら援軍を呼ばせなければいいって話だけどそれも難しいな。どういう仕組みで連絡を行っているのかわからないし。


「考えてもらちが明きません。正面突破です。ミライ今から全力で入り口に向かって走ってください」

「わかりました」

「合図は一瞬。セリアが魔法を唱えた時です」


見逃さない。集中する。タイミングなんて掴めないから目の前の兵士が眠った瞬間に走りだそう。先輩には申し訳ない話だけどたぶん空気とか読めないので!


「『催眠』」

「今です!」


なんだかんだで優しいな。そうやってでも合図を出してくれる・・・いや、兵士たちの意識を自分に集中させるため?そこまで考えてくれているのか


「誰だ!」

「おい援軍を呼べ!」

「了解!・・・ぐう」

「おいしっかりしろぉ」


目の前の兵士たちが眠りにつく。しかし耐性持ちというかそういう手段を取ることも想定していたのだろう。眠ったのはわずかに5人。僕の前にはまだ20人ほどいる。・・・え?増えてないか?


「『潜伏』魔法。人数が少ないのもわざとですか」


人数が少ない時に最も有効な手段は正面突破。だが、それは逆に敵が大勢になった瞬間無意味になる


「『氷柱』・・・数が多すぎる。保険を発動します」

「任せろぉ『雷脚』」


グレン先輩の姿が急に消えたと思ったら僕のすぐ横まで来て近くにいる兵士を蹴り飛ばした。魔法が使えないとこんなにも効率が悪いのだろうか。でもあと半分先輩たいの援護があればきっとたどり着ける


「『炎の玉』おいあの黒髪を狙え!あいつが侵入しようとしているぞ」

「了解『放電』」

「ぐ!」


さすがに相手もバカではないようで僕が、僕だけが侵入しようとしているのがすぐにバレてしまった。僕に数多の魔法が降り注いでくる。幾つかはサリア先輩やグレン先輩が防いでくれたけどそれでも数が多すぎる。一発当たってしまった。


衝撃なんて当然吹き飛ばすことができず、横に飛ばされる。まずい、どうすればいい。


「私たちは無視して突っ切ってください『氷柱』」

「『雷』」


先輩たちも数の多さと本気を出せないことによって思うように数を減らすことができないみたいだ。こういう時に『電気鎧(armor)第3形態(third)』が使えればこれくらいの距離なんて一瞬で突っ切れるのに


「ミライくん!」

「あ・・・」


油断していたわけではない。注意していた。でも気がつけば、まるで忍び装束のような衣装をまとった者に僕は背後から斬りつけられていた。シェミン先輩の声でとっさにジャンプしなければ僕の首は飛ばされていただろう。背中あたりが斬られたのか痛い


「ぐ・・・」

「なるほど、お前ミライって名前かどこの国の者だ」

「どこの国の者でもない」


そのまま別の兵士に掴まれてしまう。そしておきまりの応酬だ・・・まあ僕が言っていることはなにも間違っていないんだけどね


「嘘をつくな!」

「ぐふえ」


腹を思いっきり殴られる。まずい。今ので意識が飛びかけた。大人の力ってやばいな


「・・・しかたがありません『精霊召喚』」

「先輩!」


むこうで先輩が精霊を召喚しようとしていた。でもそれはさすがにまずい。精霊使いだなんてすぐに見つかってしまう。先輩の将来が


まさしく精霊が召喚されようとした瞬間、僕らはそのを聞いた


『えーもう終わりなのー?がっかりだなぁ』

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