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電気使いは今日もノリで生きる  作者: 歩海
第3章エルフの森
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再会(不本意)

100話目到達しました

これからも頑張っていきます

???


天衣のあとについてギルド内に入っていく。よくよく考えれば他の寮に入ったのは初めてかもしれない。自分のところとついつい比較してしまうな


「こっちだ。なんか昔俺たちと同じで異世界転移してきた人が空間魔法で拡大させたから個室が与えられてるんだ」

「そんなの初耳なんだが」


まあうちは人数的にほとんど問題ないな。悲しい話だけど。あれ?来年ってもしかして僕一人?うっわ、寂しい生活になりそうだな


「あ、テンイくん、帰ってきたんだ・・・あ」

「ミロンさん、ただいま」

「ミロンさん」


なんでここで会っちゃうのかな。会ってしまったものは仕方がないけどさ。


「ミライくん・・・久しぶり、だね」

「久しぶり、ミロンさん」


き、きまずい。気まずすぎる。例えで言うならば、エロ本を部屋で読んでいる時に母親が入ってきた的な?いやそんな本なんて持っていないからわからないけどさ。クラスメートの女子の着替えを覗いてしまった的な?うん、なんか違う。やっぱり今日調子悪いな


「紅、今日大丈夫か?なんか変だぞ」

「紅?」

「あ、いやミロン・・・その・・・」


また勝手に僕の名字を言うんじゃない。面倒なことになるだろうが。


「ごめんなさい」

「あ・・・」


とりあえず謝罪しないとな。多大なる迷惑をかけたことは間違いないんだし。心配は・・・かけたのかどうかはわからないけどミロンさんの性格的に気に病んでいただろうし


「その・・・」

「一旦俺の部屋に行かないか?ここだと目立つし」


確かに少しずつだけど視線を感じる。これから先きっと増えていくんだろうな。あんまり目立つ行動は避けたい「今更?」・・・


「紅?」

「案内してくれるか?天衣。ミロンさんもいいかな?」

「ええ、大丈夫テンイくん、案内できる?」

「わかったけど・・・」

「はやく!」


どこか不満げな顔をしているけど僕としてもできるだけ人の少ないところに行きたいんだ。こうも衆目の目にさらされてしまっていては思うように話せないだろうし


そのまま僕らは人目を避けるように天衣の部屋へと移動する。移動中も天衣は僕に積極的に話しかけようとしていたけど僕はそれを全て無視した。


「よし、ここが俺の部屋な」

「おう」

「お、お邪魔します」


部屋に入ってみたけれども質素な部屋だなぁ。まあ娯楽品が少ないんだからしょうがないかな。僕の部屋にもなにもないし。


「さて」

「あーその、ミロンさん。その・・・」

「うん」


なかなか切り出さない僕に対してもきちんと待っていてくれる、なんて優しいんだ。でもその優しさにいつまでも甘えているわけにはいかない。


ちゃんと話さなければいけないんだけどなにから話そうかな。切り出そう切り出そうって思っているうちに結構時間がかかってしまったな。多分、僕はずっと悩んでいるだけだったからあんまり時間とか気にしなかったけど多分二人にはかなりやきもきさせてしまったのではないだろうかな。


「ごめんなさい」


やっとひねり出せた言葉はなんの変てつもないただの謝罪の言葉。(多分)時間をかけた割にはなかなかにひどい言葉じゃないかな。彼らが求めていた言葉とは全く違うと思う。でも、本当のことは言いたくないからね。


「紅!お前どうした。さっきから変だぞ」

「僕はいつも通りだけど」

「いや・・・そのな」


まあ普段とはかけ離れているだろうけど今はそれで押し通させてもらいたいな。それで一方のミロンさんはっと


「・・・」


なにも言わない。それが少し不気味だな。正直かなり色々なことを言われると思っているんだけどね。さすがになんでしばらくここにいなかったのかの説明だけはしないといけないだろうし。


「なにがあったの・・・」

「・・・」


なにを考えているのかはわからなかったけどきちんと義務は果たそう


「エルフの里に行ってた」

「「なんで?!」」


あ、予想外に大きな反応をいただきました。そんなに驚くべきことかな。エルフなんてそんなに珍しいものでもないし学生がふらっと行くぐらい別になにもおかしいことがないでしょ


「どこでエルフを引っ掛けたんだ」

「私たちを放っておいてエルフの女と」

「ん?」


なにか雲行きが怪しいんだけど。そしてミロンさんのキャラが少しおかしい。


「お前にエルフの友人がいるなんて信じられない」

「・・・え?」


そこで驚いていたのか。僕に友人がいるのがおかしいと。そんなに悲しい学校生活を送っていませんよ。それに無二の親友クレアがいますからね


これはきちんと全て話したほうがよさそうだな。要点だけまとめて簡略に説明しようとしたのが仇となったか。


「正確には拉致られたんだけどな」

「どういうこと?」

「天衣はわかると思うけどさ、僕、一ノ瀬との戦いで粉塵爆発使ったじゃん」

「ああ、そういえばそうだな」

「粉塵爆発?」


粉塵爆発について天衣がミロンさんに簡単に説明してくれている。でもこれ『朱雀』のことはまだ言わないほうがいいな。神獣がどこまで知れ渡っているのかわからないけどあんまり名前だしたくないし。


「それで?粉塵爆発と拉致とどんな関係があるんだ?」

「エルフの里で爆破事件が発生しているらしくてその参考人として連れ去られた」

「まじかよ」


かなり呆れられたけどこれ真実だからね?やっぱり側から聞いてもおかしな話だったか


「お前どうすればそんなのに巻き込まれるんだよ」

「知るかよ・・・」


そんなもん僕に言われたってわからないよ。なんでこんなに色々なことに巻込まれてしまうんだろう。僕は別に主人公ではないっていうのに


「それで?そこでなにがあったの?」

「うん?」

「ミライくんがあそこまで沈むなんておかしいから、何かあったんだと思ったんだけど」

「・・・いや、別に」

「何かあったな」


ミロンさんが予想以上に鋭かった。かなりおっとりしてて癒し系だと思っていたのに。


ミロンさんと天衣。二人に詰め寄られて思わず僕が全部さらけ出しそうになった時、救いの手が偶然やってきた


「紅!帰ってきたって聞いたよ」

「一ノ瀬!おま、ノックしろ。それからタイミング悪すぎ!」

「え、あ悪い」

「イチノセくん。どうしたの?」


急に扉が開いたと思ったら一ノ瀬が入ってきた。なんて面倒なタイミング。やっぱりこいつ何から持っているな。僕がここにいる時に限ってこうして顔をあわせることになるんだから。


「紅がいるって聞いたからな・・・なあ、紅、俺と勝負しろ!あんな決着じゃあ納得いかないからな」

「は?」


あーつまりきちんと再戦をしたいっていうことね。でも悪いんだけど今そういう気分じゃないし。僕の負けでいいからさ。


「そんなこと言わずにやろうぜ。確かに結果は俺の勝ちってことになるけど俺の気分的にさ」

「悪いけど嫌だ」

「なんでだよ」

「あー一ノ瀬悪い。今俺たちと話してたんだ」

「もう終わっただろ」


もうここにいる意味もないし帰るか。さっさと帰って寮で一人落ち着くとしますかね


「ミロンさん、ごめん・・・今はそれしか言えない。それから天衣、ありがとな」

「ちょ、紅!」


「お前、逃げるのか?」


そのまま去ろうとした僕だったけど一ノ瀬の言葉を聞いて立ち止まる。今あいつ、なんていった?


「どういう意味?」

「言葉どうりさ。紅、負けるのが嫌だからって俺と戦わずして逃げようっていうのか?」

「いいよ、それでも」


今は他人になんて言われても僕の心にはなにも響かないからね。悪口だって今までも言われているのにそれに一つ追加したって別になんともない


「全く、聞いたよ?俺に圧勝できるって言ったんだって?」

「・・・」


いや最初の試合の時そうだっただろうが。お前僕に対してなにもできなかっただろうに


「そうなの?」

「それさすがにひどくないか?そして敵前逃亡。だっせぇ」


おい、お前なに野次馬連れてきているんだよ。それに、なんでこんな時になってまで、誰も僕を見ようとしない(・・・・・・・・・)。辛いのがわからないのかよ。


ストレスは自分で発散するしかないみたいだな。ここにいてこれ以上こいつらが何か言ったら余計なものまで抱えそうだ


「わかったよ。やってやる」

「そうこなくっちゃ。・・・悪いな挑発して。お前に勝てるように俺努力したからさ」


はいはい、いい人ムーブご苦労さん。じゃあさっさと行って勝つとしますか


でも、僕は自分が思っている以上に自分が傷ついていたことを理解していなかった。

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