プロローグ前編
よろしくお願いします
主人公チートでは多分ないとは思いますが読んでもらえると嬉しいです
「はあ、退屈だなぁ」
そんなことをなんともなしにつぶやいてみる。
「まあまあ、そんなもんだって現実はさ。紅、そんなことを言ったってなんにもならないしさ。あきらめろよ」
僕のなんともなしなつぶやきに反応して言葉を返してくれたのは角先 達也。僕の友人。ああ、自己紹介がまだだったから言うけど僕は紅 美頼。名前が中性的なのは諦めて
「でもさぁ。最近話題じゃん。異世界に転生しましたとか、転移しましたとかさ」
「それは小説とかアニメとかの話な。そもそもアニメとか二次元のものなんて三次元に生きている俺たち人間の勝手な妄想とか理想とか願望とかの詰め合わせみたいなもので現実には起こりえないことだろ」
「つれないなあ」
少しくらいは興味を示してくれたっていいのにさ。僕だってそんなことが現実に起こりうるなんてこれっぽっちも思ってなんかいない。それでもちょっとくらいはさ、期待したってもいいんじゃないのかなぁ。現実がどうしようもないんだし。
「おい、お前なにぼけっとしてんだよ」
「ご、ごめんって赤髪くん」
ほら、今も「いじめ」が公然と行われているし。・・・僕がいじめられていると思った?それならもっと異世界転移に興味を持っているよ。転移してアニメみたくチートな能力を与えられてハーレム形成してなんやかんや主人公してるような人たちって確かにいじめられっことか多いけどさ(偏見)。まあ、だからもしこのクラスで異世界転移でも起きると仮定したらチート能力を授かるのは今いじめられている楠まことくんだろうなぁ。そんでもって僕はいわゆるモブBくらいの立ち位置なんだろうね。
「まったくだよ。ほんとお前どんくさいなぁ」
「たっく。これでよく今まで生きてこれたなあ。もう俺たち高校二年生だぜ?そろそろ受験ですよ?」
「青目くん、それに緑肩くん・・・」
積極的にいじめに関与しているわけでもないし
「まったく、お前俺の昼ご飯の後のおやつのパンを買ってこいよ。あー・・・メロンパンと牛乳な」
張り込み?あ、いや刑事ドラマでは鉄板ネタはアンパンだっけ?ま、そんなことはどうでもよくって
「おい、お前らなにしてるんだ?」
「楠くん大丈夫?」
彼らみたいにとくにやめさせようとするのでなく、ただ淡々と傍観に徹している。そんな僕が主人公みたくで動き回れるなんてそんな展開があるわけない。
「ち。このイケメンが、なにしにきやがった」
「そりゃこんな風に昭和のいじめを見逃すわけにはいかないだろ?」
いや・・・そこかっこつけなくてもさ。颯爽()と助けにやってきたのはクラスの人気者で・・・その、イケメンなあいつ。
「いや紅・・・ちゃんと名前呼んでやれよ」
「え?声に出してた?」
そんなつもりなかったんだけどなぁ。
「なんでお前があいつに対して厳しいのか知らないけどさ・・・。確かに一ノ瀬はちょっとナルシストが入った感じがしてムカつくのはわかるけど。さすがに教室でそんな発言はしないほうがいいぞ」
角先のいいたいことはわかる。悔しいことに、というかなんでか知らないけど「おい、俺の話聞いてたか?」一ノ瀬はイケメンなんだよ。そして、イケメンということはだな、イケメンというだけで起こりうることはだな
あそこで目をハートマークにしてる女子たちが大量に発生するということだな。うん、つまりは下手なことを言ってしまったらクラスの女子たちから変な目で見られかねないということだ。今のちょっとかっこつけた感じの・・・まあぶっちゃけて言うならばクサイ台詞を言ったとしても黄色い悲鳴が響きわたった。うん、イケメンってだけでほんと人生勝ち組だよなぁ。爆ぜろ
「それはイケメンじゃなくてリア充じゃね?」
「知るか。とにかくイケメン憎し」
「うん、お前が相変わらず一ノ瀬のことを嫌っているのがよくわかった。それで?もうひとり楠を助けたあいつのことは?」
そう、楠を助けたのはあいつの他にもう一人、クラス一の美少女こと日暮ことりさん。うん、可愛い
「お前・・・」
「なに?」
「ああ、お前日暮のファンクラブに入ってたっけ?」
「いや、入ってないよ」
「そう・・・」
僕の反応から見てもわかるように僕は日暮さんに好意的な感情を抱いている。といってもまあそれが恋愛感情なのかわからないけどさ。
「そんないじめはやめないか。楠だって困ってるだろ。な?楠」
「そうだよ。いじめはよくないよ」
「日暮さん・・・」
あ、なんか話進んでるなぁ。まあいつもならイケメン()しかいないから少し悶着とかあるんだけどさ、今回は日暮さんがいるせいか赤髪たちもたじたじな感じだなぁ。さすがクラスのヒロイン。いじめっこも美少女には勝てないってね。
「く、覚えとけよ」
そんな言葉を吐いていじめっこ三人組は撤退していった。去り際の台詞といいなーんか小物クサイなぁ。これはあれかな、異世界にいったとして楠の最初の当て馬になりそうな奴らだな。
「まったく・・・大丈夫か?楠」
「あ、う、うん大丈夫だよ。日暮さんもありがとう」
「どういたしまして。でも気をつけてね。まだ諦めてないみたいだから」
「そうだな・・・できれば放課後も一緒に帰宅したほうがいいんだが、あいにく俺も真も部活があって難しいしな」
今会話に出てきた二宮 真は一ノ瀬の親友でこれまたイケメンなやつでクラスのもて男だ。しかもしかもさらにこいつはあの日暮さんの幼馴染みでもある。まったく天は二分を与えずとはよく言ったものだよ。なんか天罰でもくらえ。
「いやさすがに幼馴染みは関係なくないか?」
「その幸運が憎たらしいんだよ」
「ええ・・・お前もいるじゃん上原さんという可愛い幼馴染みがさ」
「あいつは女の子とは言わねえよ・・・」
「またまたぁ・・・」
今こいつが名前を出した上原 実琴は確かに僕の幼馴染みだ。でもあいつはなんというか、男勝りな性格のせいで女の子という認識がないんだよな。まあそれが逆に良いとかで男子の人気はそれなりにあるみたいだ。だが、残念ながらあいつには好きなやつがいるらしい。・・・一応いっておくが僕ではないからな。なぜ知っているのかというと、一年前に告白してるからだ。その時に断られた。好きな人がいるからって理由で。
もういいだろ。話を楠たちに戻すぞ
「それなら・・・わたしが楠くんと一緒に帰ってもいいかな」
ナンデスッテ
僕の心の声は他のクラスメイトたち(男)が思ったこととほとんど同じだろう。怨嗟の声が教室中のあちらこちらから聞こえてくる。日暮さんのファンというか、日暮さんに恋焦がれていた人たちかな。あれ?思っていたよりも多い・・・
「え?いいの?で、でも日暮さんに迷惑がかかるし・・・」
こら、日暮さんのお誘いを断るんじゃない。悲しそうな表情をしてるだろ。・・・あれ?よくね?よし、断れ。そして日暮さんからの好感度を地に落とせ
「お前そんなんだからもてないんだよ」
うるさい。
「・・・やっぱりお願いしようかな。僕と一緒に帰ってくれる?」
「う、うん!」
あ、あいつ一回落としておいてそれから持ち上げるだと。というか、さりげなく「自分」からお願いする形をとったぞ。こ、これが天然たらしの実力なのか。て、テストに出そうだ
「なんのだよ」
「天然たらし検定4級」
「そんなのねえよ」
ユーモアのかけらもない奴め。・・・そんな風に過ごしていた今日この頃。これが異世界転移する1日前の僕らの日常
多分一回の分量は3000文字程度と短いですがよろしくお願いします