#90 メンテナンスを手伝おう 2
「けど、運営ちゃんたちが大変な思いをしてるのに、僕だけジッと待ってるなんてできませんよ」
ノスビーがしつこく言い続けると、モビィはため息ひとつ。
「しょうがないですねえ」
そう言って、事務所に通じる魔法陣を広げる。
「大丈夫にゃりか。また行き先間違えてる可能性もあるにゃりよ」
「前の失敗をいちいち引きずらないで!」
モビィが叫ぶ。それはそうと、ベリリアのキャラがだんだん元に戻ってないか。
そして事務所に転送されてみると、前に来たときよりもさらに荒廃してる。
「これは……」
「まさしく修羅場にゃり」
書類やライフポーションの空き瓶は前回の倍以上散乱してるし、力尽きたモンスターたちが通路で目を見開いたまま気絶するように眠ってる。
そんな死屍累々な事務所の中を、スボラスがアンデッドみたいにうつろな目で徘徊してる。かなり怖い。
「どうしたんですかスボラスさん!?」
スボラスは「小僧こそどうした」と驚きつつ、多少は正気に戻った様子。
「シナリオチームはテキスト関連さえできてしまえば後はすることがないからな、デバッグに駆り出されたのだ」
「デバッグ?」
ノスビーも何度か耳にした単語だけど、意味はわからない。
理解できてないのを見て取ったのか、スボラスは例の邪悪な笑みで問いかけてきた。
「せっかくだから、やってみるか? 吾から運営に話をつけてやろう」




