#18 トマトを食べよう
ノスビーが取り出したのは、紙箱に入ったトマト。
「家を出るときに、親から持たされたんです」
「重ね重ね、すまない」
マリセラは渡されたトマトをしげしげと見つめる。
完熟した果肉はツヤツヤと赤く光って、宝石のようにも見える。頑丈な紙箱に入れなかったら、すぐに潰れちゃうだろう。
「これは、すごいな」
表面に歯を立てる。途端に果汁が溢れ出てきて、こぼれないように慌ててすすった。
「甘い」
驚くマリセラに、ノスビーは自分がほめられたみたいな笑顔を見せる。
「でしょ? 糖度が高いから、ジュースやゼリーにしてもいいですよ。サラダにする場合は、お酢を利かせたドレッシングが合います」
「業者にゃりか」
「どうして君は、こんなすごいトマトを……?」
「実家がトマト農家なんです」
業者だった。
水分が加わったことでパンをスムーズに食べられるようになったマリセラは、程なく完食した。
「本当にありがとう。おかげで助かった」
復活したマリセラが立ち上がり、ノスビーに頭を下げる。
「いえ、先に助けてもらったのは僕たちですから」
「では、お互いさまということで」
「そうですね」
クスクスと笑みを交わすふたり。
「何にゃりか、この生ぬるい空気は。アタイが求めてるのはもっと殺伐とした、ヘイト&ウォーな世界にゃりよ。ウォーでがんす」
「じゃあおまえだけ自力でここから抜け出せよ」
「マジごめんにゃさい」




